プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

【当該組合員の手記】解決 イオンDS訴訟勝利和解!「嫌なら変えればいい」をスタンダードに

解決 イオンDS訴訟勝利和解!

イオングループの警備会社、イオンディライトセキュリティ株式会社(ADS)に対して、休憩・仮眠時間の実態は労働時間であるとして、群馬高崎警備隊で警備員として働く組合員4人が原告となって未払い残業代など約1400万円を請求していた2018年6月に提訴した裁判で、2021年1月、前橋地方裁判所高崎支部で、勝利和解をすることができました。代理人は、群馬労働弁護団の藤倉眞弁護士(藤倉眞法律事務所)、鈴木智之弁護士(鈴木智之法律事務所)。ADSは、イオングループで、イオン店舗などの警備業務を担う警備会社です。同社では千葉地裁で、仮眠時間とされた時間の賃金支払いを命じる判断も出されています。

【当該組合員の手記】
 季節は3度巡り、長い闘いのなかで定年を迎えた仲間もいました。新型コロナウィルス感染症による世界的な危機を迎えていますが、このほど、私たち4人が原告となった裁判は、厳冬と呼べるような世間の季節よりも少し早い雪解けを迎え、ようやく和解することができました。私としては、勝った、といえる結果でした。
■職場で闘う意味を知った
 会社に対しモヤモヤとした気持ちだけで抗う術を持たなかった我々に、「闘う意味」や「闘い方」などの武器を与えてくださり、共に闘ってくださった清水委員長をはじめプレカリアートユニオンの同士の皆々様に深く感謝を申し上げます。本当に有り難うございました!
 3年間の闘いのなかで、私たちの勤務形式は何度も変わり、モデルタイプと称した社内で唯一ではないかという働き方をさせられることにもなりました。裁判による問題提起が報われたとも思っています。
 日本では、かつて「士農工商」という身分制度の下、身分によって強制される職業の下での働き方に耐えるかのように、終身雇用制度の下、勤めた会社で定年を迎えることが美徳とされる時代がありました。そして、時代が変わり「転職」という選択肢も与えられるなかで、「嫌なら辞めればいい」という考えが生まれました。しかし、私が思うのは、「新しい働き方」を作り、同僚や後進たちにそれを啓示していくことが、これからの時代に必要で大事なのではないかということです。
■嫌なら変えればいい
 「嫌なら辞めればいい」でなく、「嫌なら変えればいい」ということ。どんなに酷い労働環境であったとしても、プレカリアートユニオンと共に闘い、これからも色々な労働条件の改善を求めることは可能です! 周りに伝え、そして広め、プレカリアートユニオンの仲間たちと時代を変えていきましょう!
 K(イオンディライトセキュリティ支部支部長/組合員)

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裁判所での和解のための話し合いを終えて。

 

「くらしのマーケット」アカウント停止をきっかけに協働リサイクルショップを開業、知恵と力を結集して仕事を作ろう!

協働リサイクルショップを開業、知恵と力を結集して仕事を作ろう!
「自分たちの仕事を自分たちで作る」

  東京都北区に便利屋さん・リサイクル屋さん計5名共同でリサイクルショップ「よろず屋いちばん」(以下、よろいち)を開業しました。

 よろいちを開業することになった理由のひとつに「自分たちの仕事を自分たちで作っていく」という共通の目的があります。今後、私たちのような小さな自営業者が団結して仕事を作っていくことの重要性はより増していくのではないかと考えています。

 多くの方がご存知のように各種インターネットサービスは成熟し、良くも悪くも私たちの生活に不可欠なものとなっています。それは「働く」という面でも同様です。配送業であればウーバーイーツ、クリエイティブな仕事であればランサーズなど、様々な業界においてインターネットサービスを仲介して仕事を受注する流れが定着しています。

 便利屋業・リサイクル業においても、他の業種同様にインターネット仲介サービスといった「黒船」が来襲しています。その代表的なサービスのひとつがテレビでCMを流したりなどもしている「くらしのマーケット」です。

 昨年春頃、私たちの仲間の内2名がこの「くらしのマーケット」のアカウントを運営本部の判断によって凍結されてしまいました。きっかけはSNS上で「くらしのマーケット」を批判したことです。

 もちろん「くらしのマーケット」のサービスにも良い面があります。しかし、そこに体重を預け過ぎてしまうと、アカウントを停止されたり、報酬の比率が変わったり、もしくはサービス自体が終了したりなどの、自分では対応のしようがない突然の逆風で事業に大きなダメージを被ってしまうことになります。そして、このような状態に陥ってしまう仲間は少なくありません。

 インターネット仲介サービスは私たちでは太刀打ちできないレベルの宣伝力を持っているため、仕事が一挙に集中します。ついつい、仲介サービスの「専従」のような状態になってしまいます。しかし、私たちはこのような仲介業の進出に迎合するだけでなく、また打ち負かされるだけでもなく、新しい団結によって立ち向かっていかなければならないと考えています。

■団結すれば「よろず」の事ができる
 では、どのように立ち向かっていくのか。

 その答えは「地域の中で信頼される仕事をちゃんとやっていく、やり続けていく」ことです。一撃必殺の回答とはいきませんが、これしかないでしょう。

 インターネットは地域を問いません。そのため、仲介サービスを通した場合に私たちは東京、神奈川、千葉、埼玉と関東中を走りまわることになります。私たちはここに真っ向勝負を挑むのではなく、特定の場所・特定の地域で「信頼できる集団がいるぞ」と街から愛され、頼りにされるような「顔の見える」仕事を作っていくことを目指します。当然、こういったことはインターネット仲介サービスではできません。

 そして、このために信頼できる同業者との団結が不可欠です。私たちは一人では出来ることは限られています。しかし、仲間と仕事を作っていくことによって、遺品整理の資格を持っている人がいる、エアコンの取り付けをできる人がいる、配送の許可を持っている人がいると、よろずのことに対応ができます。

 これは理想論かもしれませんが、日本中の多くの場所でこういった集団ができて協力しあうことができたら仲介サービスに太刀打ちでき、より良いサービスをお客さんにも提供できるのではないかと、そのように考えています。

■雇用ではない関係性
 現在、私たちは便利屋・リサイクル屋以外の仲間も加わり約10名でリサイクルショップを経営しています。ここでは、全員が出資をし、平等な関係性での経営を出来るようにと努力を続けています。

 一般的に想起される働き方は、株主や社長がいて労働者がいるという、「経営する人」と「働く人」は別という状態です。私たちが現在目指しているのは「ひとりひとりが経営者であり、労働者である」という関係性です。

 もちろん、これは一般的な企業と比べた際に難しい面もあります。私たちが直面した具体例をひとつあげます。

 現在、私たちは板橋駅の近くの物件を貸して頂いていますが、実は別の場所でリサイクルショップを開業する予定でした。しかし、候補としていた物件は他の人が先に借りてしまって流れてしまいました。

 しかも物件が流れたのは一度だけではありません。実は3回も契約の前に他の方に物件を借りられてしまうという事が続きました。

 このようになった理由として、「ひとりひとりが経営者であり、労働者である」ということがあります。私たちは全員で内見をして(そのため日程の調整に時間を要します)、全員が納得してからでないと物件を借りないと考えていました。当然、一般的な企業よりも多くの時間がかかってしまいます。

 結果的に板橋の物件を見つけて全員が大満足しており、結果オーライです。しかし、結果オーライというだけでなく、時間がかかってしまうけれどもこういった関係性の方がより良い仕事を作っていけると確信しています。商品のレイアウト、料金、チラシ作り等々、全てのことに時間がかかってしまいますが、それでもいいのです。

 私たちの方法では、全国に支店を作って雇用して収益を拡大するというような飲食チェーンやコンビニ、もしくは各種大企業のような「スピードを前提とした」成功を作ることはできないでしょう。それはできませんが、私たちのような働き方をする集団を全国にどんどん増えていくことは可能だと思っています。

 もちろんそうなったとしても、直接的には私たちの収入を増やすことにはなりません。しかし、そういった働き方や関係性の中にこそ、社会を個々の人生を、より良いものにしていく可能性があるのではないかと考えています。

■未来の展望
 2020年末、労働者協同組合法が可決されました。この法律は、組合員の出資等の原則で運営される組織を官庁の認可を必要とせずに3名以上の発起人で届け出のみで設立ができるというものです。

 労働者協同組合法の可決までに尽力してきた先輩方に改めて敬意を示すと共に、この法律が私たちの働き方を後押ししてくれる可能性もあるのではないかと期待しています。施行は2年以内ということなので、今後の動向に注視したいです。

 そもそも現状の日本国内において「仲間と協力しあって働く」ことへのバックアップは非常に希薄です。私たちも当初は事業協同組合をつくろうとしていましたが、私たちのような零細自営業者では認可をもらうことは難しいとのことであえなくお払い箱となりました。

 労働者協同組合法を契機として、「仲間と協力しあって働く」ことが今後より定着していく社会になることを願ってやみません。そして、当然ながら私たちもそういった社会を作っていく一員として尽力していきます。

 最後になりましたが、「くらしのマーケット」でアカウント停止された仲間2名がプレカリアートユニオンとして裁判闘争を展開する予定です。仲間の内1名は「くらしのマーケット」での収益が拡大していたこともあり、新車のトラックを買った矢先でのアカウント停止で事業に大きなダメージを負いました。

 リサイクル業・便利屋業の仲間はもちろんのこと、インターネット仲介サービスに関連するフリーランス・自営業者など多くの方に裁判闘争にご支援・ご注目頂きたいです。仲介サービスの肥大化と暴走に歯止めをかけ、仕事と生活のための闘いを共に展開していきましょう!
※お店にもぜひ遊びに来てください。空き家片付け、エアコン取り付け、家具組み立て等々、その他生活の困りごともご相談ください。知恵と体力を結集してあなたのお悩み解決します。

菅谷圭祐(生活者生活事業労働者協同組合

リサイクルショップ よろず屋いちばん
住所 東京都北区滝野川6-63-6
ツイッターアカウント @yorozuya1ban

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パワーハラスメント問題、未払い賃金問題について交渉していた神奈川県内で介護事業所を運営する会社と和解!復職に向けて協議も

パワーハラスメント問題、未払い賃金問題について交渉していた神奈川県内で介護事業所を運営する会社と和解しました。

パワハラが原因で退職した元社員、パワハラが原因で休職中の社員を含む、3人の組合員について交渉していました。所定労働時間前に行われていた朝礼や30分単位で切り捨てられていた未払い賃金、休憩時間とされながら労働から完全に解放されていない時間の未払い賃金問題やパワーハラスメント問題について解決し、休職中の組合員については、パワハラ対策を講じた上で復職することで合意しました。

ハラスメント加害者と会社が一定の事実を認めて謝罪、ハラスメント相談窓口の設置と周知、管理者へのハラスメント防止講習受講の義務づけで合意するなど、建設的な解決ができました。引き続き、安心して働くことができ、ご利用者にとっても安心できる介護事業所となるよう取り組みます。

 

労働相談は 誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
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TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
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メール info@precariat-union.or.jp

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未払い残業代問題などについて交渉していた東京都内の運送会社と和解!賃上げも実現

未払い残業代問題などについて交渉していた東京都内の運送会社と和解し、複数の組合員の待遇改善を実現しました。
不明瞭な「歩合給」を基本給に組み込み、今後は1分単位で時間外賃金を支払うことで合意。賃上げも実現しました。引き続き、ドライバーとして働く仲間の待遇改善に取り組みます。

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年収2千万円から土木作業員、除染作業員、“下級国民”に至る実話。『下級国民A』(赤松利市著/CCCメディアハウス)

年収2千万円から土木作業員、除染作業員、“下級国民”に至る実話
『下級国民A』(赤松利市著/CCCメディアハウス)

 ゴルフ場コンサルタントの男性が、経営不振から、東日本大震災の復興バブルに乗らんと被災地へ向かうも、ことごとく搾取されるリアル。
 主人公の男性は、作中で何度も旨い話しに乗ろうとするも欺かれ、搾取されている。他方では、包み隠さず自身の暗部をさらしている。バブル期の乱痴気騒ぎのこと、原発避難民や外国人研修生を食い物にしようとしたこと、娘への仕送りという大義名分など、いろいろいってはいるが結局は、「(経営不振といいながら、それでも生活苦ではなかった時期を振り返り)月に2日働いて、生活に必要な金額が得られるのだから、どうしてあの時点で小説を書こうとしなかったのか。精進しなかったのか。……過去の栄華が忘れられず、……ビジネスネタを探していたのだ」と自白している。
 プロフィールから、主人公が小説家になったのは、もっと後の出来事だとわかる。主人公は自らを「ゲス」と自称しているが、彼の半生を読むと私はそう単純に言い切ることはできず、人間の本来ある欲や脆さを感じた。
 作中では“娘への仕送りのため“というワードが何度も登場する。おそらく主人公の行動原理なのだろう。もしかしたら、私も同じ境遇なら、主人公と同じ判断をしないとは言い切れない。
 そうであったとしても、不条理な環境におかれた主人公の痛みを想像すると苦しいものがある。たとえば石巻の現場。タコ部屋ともいえる労働環境、格差社会の申し子ともいえるような暴力的な作業員たちの存在、熱中症や腹膜炎になっても一切の労いがない職場、極めつけは誰もやりたがらない極寒の中でのダンプカーのタイヤ洗浄作業だ。この作業を主人公は、いじめる周囲の人間から離れられるとの理由から喜んで行う。
■同じ境遇の仲間がいると信じて
 思うのは、人の心はいじめなどの不条理にあうと、過酷でも孤独であるほうがマシという選択をするのだろう。そして精神安定のために「不幸ではない」と脳内で変換するのではないだろうか。
 どうか労働者のみなさんは、現実から目を背けない勇気をもってほしい。そして同じような境遇の仲間がいるのを知ってほしい。一人では弱くても、皆で力を合わせれば、それは大きな力になると信じてほしい。
 Y(組合員)

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『朝日新聞』2021年1月20日朝刊にプレカリアートユニオンが取材に協力したコロナ禍による「希望退職 冷静に判断を」とする記事が掲載されました

朝日新聞』2021年1月20日朝刊にプレカリアートユニオンが取材に協力したコロナ禍による「希望退職 冷静に判断を」とする記事が掲載されました。

デジタル版にも掲載されています。

www.asahi.com

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外資系企業の内定取り消し問題を解決した組合員による報告

この度はプレカリアートユニオンにて団体交渉を進めていただいたことにより、外資系企業からの内定取り消しの和解が成立しました。
その企業との雇用契約書にサインした段階で、前職に退職を申し入れ、前職の退職の手続きを進めていた矢先に突然先方から内定取り消しの連絡が入りました。契約破棄の明確な理由の説明もなく、コロナ禍で仕事の募集も少ない上に、世間では失業者が溢れている状況で目の前が真っ暗になりましたが、先方からはとにかく雇うことは出来ない、和解金を払うから破棄をしたいと一方的に言われ、取り合ってもらえない状況でした。

雇用契約が成立している為、内定取り消しは不当だと訴えても、私個人では交渉さえも出来ない状況でしたが、今回ユニオン経由で団体交渉申し入れをしていただいたことにより、先方も事の重大さ、違法性に気づき、徐々に歩み寄りが見られ、最終的にはスムーズに解決することが出来たと思います。私一人の力では到底解決出来ませんでしたが、ユニオンで皆さんのお力をお借りすることができ、本当に感謝の気持ちで一杯です。
コロナで日々雇用が不安定になっている中、一人の労働者ではどうしても解決が難しいことも、ユニオンで皆さまのお力をお借りし、交渉をしていくことで、一人ひとりの労働者の権利を保つことが出来ると強く感じました。この度はご協力いただき、ありがとうございました。 M(組合員)

 

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