第50回衆議院議員総選挙公開質問への各政党の回答(回答到着順)
[質問1]日本政府は、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「芸術家の地位に関する勧告」を批准しているものの、社会での認知や法的な整備は未だ不十分です。その結果、文化芸術や芸能に従事する人々は重層的な下請け構造の最下層に位置し、報酬や活動環境が劣悪であることが指摘されています。芸術家の権利向上や文化芸術分野に関して予定している取り組みついて、具体的にお聞かせください。
◆国民民主党
文化芸術活動は社会全体の健康や幸福を維持し、私たちが生きていく上で、必要不可欠なものであると確信しています。ユネスコ等の文化遺産・記憶遺産登録等への積極的な対応を図るとともに、文化芸術立国としての文化政策を強力に推進します。工芸・芸能・祭りなどの伝統文化の保護と後継者養成、映画や音楽、アニメ・漫画・ゲーム等の振興助成を推進し、国内外における発信を支援します。子どもたちが学校教育などを通じて文化芸術に触れる機会を増やし、文化財保護を強化する必要があります。フリーランス、ギグワーカーなどに対応した教育・雇用環境を整備します。無形知財を適正に評価する仕組み(下請けの利益を吸いあげない、マージン取得に制限を設ける仕組み)の導入などにより、大企業が資源価格高騰、人件費上昇の負担を強いることがないようにします。
◆日本維新の会
施設等の箱モノ整備や補助金支給にとどまりがちな文化芸術施策を見直し、文化施設のコンセッション方式やアーツカウンシルの導入を促進するとともに、各種法令の規制緩和を行うなど、芸術家等が自立して活動・発表できる機会を多面的に提供します。若年層が文化芸術に触れる機会を増やすため、学生割引の対象から外れてしまう18歳から25歳までの若者が無料あるいは低額で文化芸術にアクセスできるような「カルチャーパス」クーポンの仕組みを検討します。表現の自由を最大限尊重し、マンガ・アニメ・ゲームなどの内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指します。MANGAナショナルセンターの設置による作品アーカイブの促進、インバウンドを意識した文化発信やクリエイターの育成支援などを行います。文化的コンテンツ等をデジタルデータとしてブロックチェーン上に記録したいわゆるNFT(非代替性トークン)について、イノベーションを阻害しないルール作りによる市場の拡大支援を行い、日本の強みであるマンガ・アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業・アート市場のさらなる発展を後押しします。
WEB3(ブロックチェーン技術などを基盤とした非中央集権的なインターネット)事業、メタバース(インターネット上に作られた3次元の仮想空間)産業について、日本の成?戦略・文化産業振興施策として位置づけ支援拡充を図るとともに、国や地方公共団体など公的機関での導入・活用を推進します。
◆れいわ新撰組
文化・芸術の現場の担い手の賃金は低いことが指摘されています。「日本アニメフィルム文化連盟」の調査では、アニメーターの賃金の中央値が東京都の最賃を下回ったという結果が出ました。最低賃金の底上げがやはり必要です。まずは全国一律1500円を早期に実現するために、我々は事業主の社会保険料負担の減免や補助金を充実させることを提案しています。自営業やフリーランスであるアニメーターは個人事業主であるゆえに、最賃法や下請法が適用されないことも多いという現状も併せて直ちに改善していくべきです。
◆日本共産党
文化・芸術は、人々に生きる力を与え、心豊かな暮らしに欠かすことができないものです。しかし、文化・芸術活動を生業にしている方々は、フリーランスも多く、一般の労働者に比べ低収入であり、収入増と社会保険の充実はまったなしであると考えています。この11月からフリーランス新法が施行されますが、契約やハラスメント対策など最低限のルールです。日本ではフリーランスを「個人事業主」として「労働者性」を認めていないため、労働法制の保護の対象になっていません。日本共産党は、「非正規ワーカー待遇改善法」を提案しました。その中で、労働者性の判断の見直し、労災補償の拡充など労働基準法の改正、また、個人加盟の組合結成や団体交渉権、ストライキ権の保証など労働組合法の改正を求めています。文化・芸術分野は、長時間間・過密労慟になってしまう現楊でもあります。業界の努力もありますが、民間任せにせず、時間外労働規制、インターバル時間の確保など国が責任を持つべきです。日本共産党は、「自由時間拡大推進法」を提案しています。中小企業、個人事業主を直接支援(社会保険料負担の支援)し、全国一律時給1500円、労働時間は1日7時間、週35時間をめざします。また、フリーランスを苦しめている消費税は廃止をめざし、当面5%への減税を行うこと、文化・芸術潰しのインボイス制度は廃止を求めます。
◆社会民主党
文化芸術活動は、各分野におけるアーティストによる表現活動であり、私たち市民社会へ、とりわけ精神的な豊かさをもたらす人間にとって必須な活動です。先進諸国でも低い文化予算を増額し、市民の文化活動への取り組みを応援し、舞台芸術、映画、音楽などへの助成を改善・充実をしていきます。
◆自由民主党
公開質問状への回答なし
◆公明党
公開質問状への回答なし
◆立憲民主党
立憲民主党は、日本の伝統的な文化芸術を継承し発展させるとともに、新たな文化芸術の創造をさらに振興していきたいと考えています。そのため、文化芸術を担う芸術家の地位と権利を守り、生活基盤を支えるための法整備を進めていきます。
具体的には、以下のような取り組みをしていきたいと考えています。
・芸術家の地位と権利を守り、生活基盤を支える「芸術家福祉法」を制定します。
・フリーランスや芸術家・芸能従事者のために、ハラスメントとメンタルの相談窓口や第三者調査機関をつくります。
[質問2]来月11月から施行が予定されているフリーランス新法に関連し、文化芸術分野においても一定の報酬基準を明確化するべきであるという動きが近年高まって来ています。芸術家の報酬ガイドラインは、イギリス、フランス、カナダを始めとする欧米各国で整備されているだけでなく、韓国においても導入への動きが加速しています。日本における芸術家の報酬ガイドラインを整備することが必要だと考えます。この考えに賛成ですか。下記より選択し、その理由をお聞かせください。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①はい ②いいえ ③わからない ④その他( )
◆国民民主党
①はい
理由:フリーランス新法制定の際、「本法の実効性を確保するため、本法に基づく省令・指針等を定めるに際しては、業界・業種によって契約内容が大きく異なるため、それぞれの業界及び当事者の意見を踏まえた省令・指針等を定めること。」を記載した附帯決議を付している。
◆日本維新の会
①はい
理由:芸術家が安定した生活基盤の上で自由な表現活動を行える環境を整備することは重要であり、また仕事の種類や内容、場所や期間等によって適切な報酬基準を定めることは、契約の透明性を高め、芸術家の自己実現を支援する意味でも重要であると考えます。
◆れいわ新撰組
①はい
理由:現代社会において、芸術家は庇護のない「フリーランス」という立場で活動するのが通常になっている以上、その報酬が大資本によって搾取されないようにすることは当然であり、我々としてもこのガイドラインの整備、法的根拠の付与に向けて、諸外国の最新の動向を踏まえつつ実現に向かって尽力したい。
◆日本共産党
①はい
理由:文化・芸術に携わる実演家やスタッフなどは、本業の他にアルバイトなどをして双方の収入で生計をたてている方が少なくありません。しかも、コロナ禍、物価高騰、インポイス制度などで実収入はコロナ禍前よりも減っています。また、仕事そのものが不定期であり、仕事がキャンセルになった時の保障もありません,しかし、国の政策は、文化・芸術分野では、インパウンド対策やクールジャパンなど、経済的価値に目が向いて、それを作り出す芸術家やスタッフの地位向上は二の次になっています。文化庁が策定した「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」では報酬の決定に当たっては、適正な金額となるよう、発注者と受注者が十分協識することにとどまっています。協議すらなく一方的に報酬が決められる立場が弱い芸術家にとって一定の報酬基準を明確にすることは意義のあることです。創造活動に対する助成金も使い勝手の良いものにしていくことも求められますが、例えば、行政が製作を依頼する作品やそれを展示する展覧会、行政が主催するイベントなどのスタッフ、実演家の報酬は最低ラインを明確にするなど、芸術家が生活のめどをつけ、安心して創造活動に打ち込むためにも必要なことだと考えます。
◆社会民主党
①はい
理由:芸術家が基本的な生活を維持しながら、創作者として芸術活動に専念できる権利と地位を保障することが必要であり、報酬ガイドラインの整備を進めるべきだと考えます。
◆自由民主党
公開質問状への回答なし
◆公明党
公開質問状への回答なし
◆立憲民主党
①はい
理由:日本本以外の先進国では、「芸術家は、文化国家の実現及び国民の生活の質の向上に重要な貢献を行う存在として正当に尊重されなければならない(韓国の芸術家福祉法)」といった考え方が主流となっています。政府が標準契約書を作り、それに従った対等な契約が行われていたり、文化芸術・芸能従事者の社会保障や労働環境が整えられたりしています 。
キャンセル料や経費、著作権などでフリーランスが損をしないように、国の作った標準契約書による安全で対等な契約を推進するとともに、芸術家の地位と権利を守り、生活基盤を支えるため、報酬ガイドラインの整備について諸外国の事例を踏まえて検討すべきです。
[質問3]
令和5年度の一般会計予算において、文化芸術に関わる文化庁の予算の割合は全体の0.1%でした。これは先進諸国の中では圧倒的に低い水準となっており、文化芸術に従事する人々の活動を圧迫する遠因とも考えられています。日本の国家予算における文化予算の割合はどのくらいが望ましいと考えますか?その理由と、それを達成するための具体的な政策をお聞かせください。
目標値(%) 目標達成のための具体的な政策をお書きください。
◆国民民主党
目標値:無回答
日本の伝統的な文化芸術と独創性のある新たな文化芸術を振興するため、確実に予算を確保していくべきと考えます。
◆日本維新の会
目標値:無回答
政策:わが党は地方政府に権限と財源を移譲することによって、地方政府が主体的に住民意思を反映しながら住民に身近な行政を行っていく、地方分権国家を目指しています。文化予算についても現状国事業として行われているものと、都道府県事業、市町村事業として行われているものが融合しており、国家予算の多寡だけで文化振興を評価することは難しいのが日本の行政の特徴です。文化芸術振興に対する予算は総論としては増額すべきと考えていますが、それぞれの地域でそれぞれの地域住民の意見を反映しつつ、地域の歴史や特性、文脈を踏まえて主体的な予算組みがなされるべきと考えております。
◆れいわ新撰組
目標値:2%
(理由)韓国は国家予算の1.23%の金額を投ずることで「韓流」を一大産業に育て上げた。日本のアニメーション文化は、今や中国や中東の人々が「今の日本」を知るきっかけとなる手段となっており、広告宣伝費だけはなく、この分野に従事するアーティストやクリエイターに直接回るように予算を充実させることで、世界の国々の人々と草の根交流のきっかけを作ることは日本の目指す「平和外交」の目的にも資すると考えます。実現のためには国債発行を含め未来への投資を官民で行うことが必要です。
◆日本共産党
目標値:0.5%
日本の文化予算は、国家予算に対する比率でフランスの1/8、韓国の1/12など、あまりに少なすぎます。コロナ禍のもとでの補正予算で950億円がプラスされたこともありますが、毎年1000億円程度では、現在の物価志騰による経費の上昇に、芸術家も芸術団体も対応できません。予算を抜本的に増額し、国民の文化を創造し享受する権利を保障するべきです。2010年に芸団協がとりくんだ「もっと文化を」署名は、60万筆が集まりましたが、その時の諸願内容の中心は文化予算の割合を0.5%(5000億円規模)へ引き上げるというものでした。日本の軍事費は5年間で43兆円という大軍拡をすすめようとしていますが、国がその気になれば、そのごく一部を文化・芸術に回すことはすぐにでもできます。そのためにも、今後も文化・芸術に携わる団体・個人のみなさんと文化予算を引き上げる運動をご一緒にとりくむとともに、国会論戦に力を尽くします。
◆社会民主党
目標値:1%
先進諸外国と比較して最低水準の日本の文化予算を他の先進国並みもしくはそれ以上の文化予算にしていく必要があります。文化予算増額のためには、膨れ上がる防衛予算の削減など歳出改革で対応します。
◆自由民主党
公開質問状への回答なし
◆公明党
公開質問状への回答なし
◆立憲民主党
文化芸術基本法の規定に基づく文化芸術推進基本計画を踏まえ、先進諸国と比べて予算に占める文化予算が極めて低い状況を改善するため、文化芸術を振興させていきます。
学校教育などで実演芸術等をはじめとする多様な文化芸術の鑑賞・体験が享受できる機会を増やします。
文化芸術振興基本法の支援対象に「場」や「担い手」を加えることや、劇場法(劇場、音楽堂等の活性化に関する法律)の支援対象に映画館や小規模音楽会場等を加えることなどを含めた、さらなる文化芸術振興の在り方を検討します。
http://artistsunion.jp/assets/auj_%e7%ac%ac50%e5%9b%9e%e8%a1%86%e8%ad%b0%e9%99%a2%e8%ad%b0%e5%93%a1%e7%b7%8f%e9%81%b8%e6%8c%99%e5%85%ac%e9%96%8b%e8%b3%aa%e5%95%8f%e3%81%b8%e3%81%ae%e5%9b%9e%e7%ad%94.pdf
第50回衆議院議員総選挙にあたっての公開質問状
私たち労働組合「プレカリアートユニオン」は、雇用形態を問わず、誰でも、ひとりでも入れる労働組合です。芸術表現にかかわる当組合員による、現代美術家による日本で初めての労働組合「アーティスツ・ユニオン」(プレカリアートユニオンアーティスト支部)の取り組みも注目されています。
そのような多様な組合員を擁するプレカリアートユニオンから、この度の衆議院選挙に際し、投票の参考とするため貴党のご見解をお聞かせいただきたく、公開質問状をお送りいたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、2024年10月20日までに、ご回答をお願いいたします。なお、ご回答は、当団体の機関誌、ウェブサイト、SNSなどで公開いたします。
[質問1]
日本政府は、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「芸術家の地位に関する勧告」を批准しているものの、社会での認知や法的な整備は未だ不十分です。その結果、文化芸術や芸能に従事する人々は重層的な下請け構造の最下層に位置し、報酬や活動環境が劣悪であることが指摘されています。芸術家の権利向上や文化芸術分野に関して予定している取り組みついて、具体的にお聞かせください。
[質問2]
来月11月から施行が予定されているフリーランス新法に関連し、文化芸術分野においても一定の報酬基準を明確化するべきであるという動きが近年高まって来ています。芸術家の報酬ガイドラインは、イギリス、フランス、カナダを始めとする欧米各国で整備されているだけでなく、韓国においても導入への動きが加速しています。日本における芸術家の報酬ガイドラインを整備することが必要だと考えます。この考えに賛成ですか。下記より選択し、その理由をお聞かせください。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①はい
②いいえ
③わからない
④その他( )
[質問3]
令和5年度の一般会計予算において、文化芸術に関わる文化庁の予算の割合は全体の0.1%でした。これは先進諸国の中では圧倒的に低い水準となっており、文化芸術に従事する人々の活動を圧迫する遠因とも考えられています。日本における国家予算における文化予算の割合はどのくらいが望ましいと考えられますか? その理由と、それを達成するための具体的な政策をお聞かせください。
目標値( %)
目標達成のための具体的な政策をお書きください。
以上、ご回答をお願いいたします。回答は、下記【回答送付先】まで、FAX、メール、郵送いずれかの方法にて、お送りください。お忙しいとは存じますが、よろしくお願いします。
【回答送付先】
労働組合 プレカリアートユニオン
〒160-0004 東京都新宿区四谷4丁目28?14 パレ・ウルー 5F
FAX:03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
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