プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

ブックレビュー

原文次郎さん(反貧困ネットワーク 外国人支援チーム)によるレビュー/一次情報・速報を元にした他国の運動の「評価」の難しさ しかし、私たちはこれを他人事として観ていて良いのか?『ヤナマール - セネガルの民衆が立ち上がるとき』(ヴュー・サヴァネ著 バイ・マケベ・サル著/勁草書房)

「セネガル」「民衆運動」このテーマははたしてどこまで日本の読者に身近な問題といえるだろうか。本書『ヤナマール セネガルの民衆が立ち上がるとき』は分厚い大著ではないが、しかし必ずしも読みやすい本とはいえない。しかし、評価は読み手にもおよぶ。セ…

福島みずほさんによるレビュー/すべての女の子に、あなたには力があって、あなたにはあなただけの良いところがあると伝えたい。『わたしは無敵の女の子』(ケイト T. パーカー著/海と月社)

最近、『わたしは無敵の女の子』という本を読んだ。とっても元気になるので、手元に置いて繰り返し読んでいる。 これは4歳から18歳までの約200人の女の子たちの様々な写真とメッセージから構成をされている。どの写真もどのメッセージも本当に素晴らしい。本…

労働法は自身の身を守る強力な武器になる。『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』(佐々木亮著/KADOKAWA)

『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』は2021年3月31日にKADOKAWAから発売された著書で、執筆されたのは、旬報法律事務所の佐々木亮弁護士です。佐々木弁護士にはプレカリアートユニオンも大変お世話になっており、労働者の働きやすい環…

参政権獲得のために果敢に闘った女性たちから学ぶべきこと。映画『未来を花束にして』(サラ・ガウロン監督)

参政権獲得のために果敢に闘った女性たちから学ぶべきこと 1918年はイギリスで女性に参政権が認められた年です。この参政権の獲得は、1860年代から粘り強く続けられた女性参政権獲得運動の成果です。映画『未来を花束にして』は、そんな参政権獲得運…

自分が自分らしく生きるための問い。『いのちの女たちへ - 取り乱しウーマン・リブ論』新版(田中美津著/発行:パンドラ・発売:現代書館)

自分が自分らしく生きるための問い 『いのちの女たちへ - 取り乱しウーマン・リブ論』新版は、1972年に刊行された田中美津氏による同タイトルの著作に資料やその後の著者などからのコメント、あとがきなどを書き加えた新装版です。日本のウーマンリブ運…

労使関係の歴史と展望。『働き方改革の世界史』( 濱口 桂一郎著・海老原 嗣生著/筑摩書房)

労使関係の歴史と展望 人事専門誌『HRmics』に掲載された連載「原典回帰」を1冊にまとめたのが、『働き方改革の世界史』です。労働政策研究所長である濱口桂一郎氏と雇用ジャーナリストで上智大学経営学部客員教授などを務める海老原嗣生氏の共著によ…

抵抗としての助けあい。『コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた』(雨宮処凛著/かもがわ出版)

抵抗としての助けあい 2020年4月7日、安倍首相(当時)は7都府県に緊急事態宣言を行い、同月16日に対象を全国に拡大した。「ステイホーム」に慣れてきた4月末、ある夜コンビニへ行こうと外に出ると、一人の男性の姿が目に留まった。雨なのに傘をさ…

困難に対処していくための実践書。『実践 セルフ・コンパッション 自分を追いつめず自信を築き上げる方法』(メアリー・ウェルフォード著、石村郁夫訳・野村俊明訳/誠信書房)

困難に対処していくための実践書『実践 セルフ・コンパッション 自分を追いつめず自信を築き上げる方法』(メアリー・ウェルフォード著、石村郁夫訳・野村俊明訳/誠信書房)は、人がどういったときに、どういう心理状態になり、それはいったなぜ起こるのか…

弱者の痛みを強烈に描いた喜劇作品。『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督/1993年・イギリス)

弱者の痛みを強烈に描いた喜劇作品 『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督/1993年・イギリス) 『レイニング・ストーンズ』は1991年にイギリスで製作された映画です。監督はケン・ローチ。失業者の生活の苦悩を描いた社会派の喜劇です。これ…

30年変わらない「企業中心」社会への問題提起。『企業中心社会を超えて‐現代日本を〈ジェンダー〉で読む』(大沢真理著/岩波現代文庫)

30年変わらない「企業中心」社会への問題提起『企業中心社会を超えて‐現代日本を〈ジェンダー〉で読む』(大沢真理著/岩波現代文庫) 私たちの暮らす世の中が、企業を中心に構成されていると聞いても、多くの方は何の疑問も抱かないでしょう。大沢真理著『…

日本の労働組合の将来あるべき姿とは。『労働組合とは何か』(木下武男著/岩波新書)

日本の労働組合の将来あるべき姿とは『労働組合とは何か』(木下武男著/岩波新書) 私たち労働組合は、日々さまざまな職場の労働条件を維持向上するために活動をしています。木下武男著『労働組合とは何か』は、そんな労働組合の生まれる前の原風景、黎明期か…

海を受け取る私たちへのメッセージ。『海をあげる』(上間陽子著/筑摩書房)

海を受け取る私たちへのメッセージ『海をあげる』(上間陽子著/筑摩書房) 2020年11月半ばの土曜日に「今日はゆっくり本が読めるな」と、少し前に上間陽子さんが書かれたノンフィクション『裸足で逃げる沖縄の夜の街の少女たち』を読んでいたけれど、それと…

「一番低い場所」から社会を問う-地べたのポリティクス。『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(ブレイディみかこ著/みすず書房)

「一番低い場所」から社会を問う-地べたのポリティクス『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(ブレイディみかこ著/みすず書房) イギリス南部・ブライトンを舞台にした、ノンフィクション『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっ…

キング牧師が黒人革命で実践した「非暴力直接行動」。 『黒人はなぜ待てないか』新装版(マーチン・ルーサー・キング 著・中島 和子 訳・古川 博巳 訳 / みすず書房)

キング牧師の名前は、誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。マーチン・ルーサー・キング『黒人はなぜ待てないか』は、1963年に行われたバーミングハム運動について論じた1冊です。出版されたのは1965年、この前年にキング牧師はノーベル平…

監督ケン・ローチが怒りをもって撮らなければならなかった、イギリスの社会福祉制度の闇と置き去りにされた人々の声。映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』

「ゆりかごから墓場まで」―。福祉国家としてのイギリスを象徴したとして有名な言葉です。映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、そんな福祉国家イギリスの社会保障制度の闇を鋭く描き出した作品です。2016年に社会派の巨匠ケン・ローチ監督、ポール・…

BLM運動を組織化し、育てた若きリーダーからのメッセージ。『世界を動かす変革の力―ブラック・ライブズ・マター共同代表からのメッセージ』(アリシア・ガーザ 著・人権学習コレクティブ 監訳/ 明石書店)

公民権法が制定されて60年近くがたった今なお、アメリカでは黒人に対する差別が公然と行われています。2020年5月に起こった、白人警官が黒人のジョージ・フロイドの首を圧迫し殺害するという痛ましい事件に端を発し、ブラック・ライブズ・マター(B…

NASAで人種差別と女性差別をはね返した実話。『ドリーム』(セオドア・メルフィ監督/2016年・アメリカ)

NASAで人種差別と女性差別をはね返した実話 『ドリーム』(セオドア・メルフィ監督/2016年・アメリカ) 1962年、NASAがマーキュリー・アトラス6号を打ち上げ、有人地球周回飛行を成功させます。このことによってアメリカは、ソ連に遅れを…

「パンク」な表現で女性らしさの押しつけをあぶり出す。『キングコング・セオリー』(ヴィルジニー・デパント著・相川千尋訳/柏書房)

「パンク」な表現で女性らしさの押しつけをあぶり出す 『キングコング・セオリー』(ヴィルジニー・デパント著・相川千尋訳/柏書房) 「私はブスの側から書いている」、衝撃的な書き出しで始まる「キングコング・セオリー」は、現代フランスを代表する作家…

LGBTの職場の問題は解決できると伝えたい。『虹色ジャーニー~ 女と男と時々ハーフ』(浅沼智也著/文芸社)

LGBTの職場の問題は解決できると伝えたい 『虹色ジャーニー~ 女と男と時々ハーフ』(浅沼智也著/文芸社) LGBTのTは「トランスジェンダー」を意味し、自認する性別と出生時の性別が一致していない人のことを指します。『虹色ジャーニー~ 女と男…

協同組合運動と新しい世代との接続は?『西暦二〇三〇年における協同組合 コロナ時代と社会的連帯経済への道(ダルマ舎叢書Ⅲ)』(柏井宏之・樋口兼次・平山昇共同編集/社会評論社)

協同組合運動と新しい世代との接続は? 『西暦二〇三〇年における協同組合 コロナ時代と社会的連帯経済への道(ダルマ舎叢書Ⅲ)』(柏井宏之・樋口兼次・平山昇共同編集/社会評論社) 本書は、協同組合運動に関わって来た多くの方の寄稿という形で構成され…

働けなくなり、家を失ったとき直面する現実。『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編/岩波新書)

働けなくなり、家を失ったとき直面する現実。 『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編/岩波新書) コロナ禍で日雇いなどの非正規労働者たちは仕事を失い、去年4月に出された緊急事態宣言にともなうネ…

セクハラ上司をやっつけるコメディ。映画『9to5(9時から5時まで)』 (コリン・ヒギンズ監督/1980年・アメリカ)

アメリカでは1970年代のウーマン・リブ運動によって、「伝統的な女性像」が根本から否定され、女性の労働が当たり前のものとなっていきました。映画『9to5』は、1980年製作のアメリカ映画です。監督はコリン・ビギンズ、主人公ジュディを演じるの…

嵐のような刑事弾圧と関西生コン支部の闘い。『武健一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』 (武健一著/旬報社)

全日本建設運輸労働組合関西地区生コン支部(以下、関西生コン支部)に対する、信じられないような刑事弾圧は、正に戦後の民主主義にとっての悪夢です。 関西生コン支部の武健一執行委員長は641日にも及ぶ勾留生活を強いられました。『武健一が語る 大資…

男性性を分析し、自分そのものへ向かう考察。『さよなら、男社会』(尹雄大著/亜紀書房)

世の中は、様々なジェンダーバイアスや「有害な男らしさ」で満ちあふれています。『さよなら、男社会』は、インタビュアー&ライターの伊雄大氏による1冊です。本書は生活の中に溢れる様々な「男社会」の問題等を、筆者自身の経験と観測に基づき精細に描き…

年収2千万円から土木作業員、除染作業員、“下級国民”に至る実話。『下級国民A』(赤松利市著/CCCメディアハウス)

年収2千万円から土木作業員、除染作業員、“下級国民”に至る実話『下級国民A』(赤松利市著/CCCメディアハウス) ゴルフ場コンサルタントの男性が、経営不振から、東日本大震災の復興バブルに乗らんと被災地へ向かうも、ことごとく搾取されるリアル。 …

大手日雇い派遣G社廃業の日まで勤務した組合員が振り返る過酷な現実。『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークⅧ』(石田衣良/文春文庫)

大手日雇い派遣G社廃業の日まで勤務した組合員が振り返る過酷な現実 『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークⅧ』(石田衣良/文春文庫) ■はじめに 自身の勤務経験からひもときます 本書は、複数の収録作のなかで書名にもなっている代表作で、違法派…

貧困との闘いに立ち上がるイギリス労働者。『1945年の精神 (THE SPIRITOF '45)』(ケン・ローチ監督/2013年・イギリス)

貧困との闘いに立ち上がるイギリス労働者。『1945年の精神 (THE SPIRITOF '45)』(ケン・ローチ監督/2013年・イギリス) filmarks.com 1945年は、第二次世界大戦が終わった年です。イギリスでは、戦前戦中から労働者階級が深刻な貧困に喘いでい…

トランスジェンダーの著者が今いる場所と社会を変えた奮戦記。『元女子高生、パパになる』(杉山文野著/文藝春秋)

トランスジェンダーの著者が今いる場所と社会を変えた奮戦記。『元女子高生、パパになる』(杉山文野著/文藝春秋) books.bunshun.jp 著者は、トランスジェンダーで元フェンシング日本代表の杉山文野さん。私の地元でもある川越で行われたLGBT成人式で…

分断を乗り越え、社会を動かすための良書。『社会はこうやって変える! コミュニティ・オーガナイジング入門』(マシュー・ボルトン/法律文化社)

分断を乗り越え、社会を動かすための良書 『社会はこうやって変える! コミュニティ・オーガナイジング入門』(マシュー・ボルトン/法律文化社) www.hou-bun.com 本書は、イギリスのコミュニティ・オーガナイザー、マシュー・ボルドンさんによるコミュニテ…

「普通の人」が社会を変えるための方法論。『コミュニティ・オーガナイジング ほしい未来をみんなで創る5つのステップ』(鎌田華乃子/英治出版)

「普通の人」が社会を変えるための方法論。『コミュニティ・オーガナイジング ほしい未来をみんなで創る5つのステップ』(鎌田華乃子/英治出版) honto.jp コミュニティ・オーガナイジングとは、人々の力で社会を変えていくための手段のことをいいます。本…