プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

5月26日・設立記念シンポ 非正規でも「利害調整の当事者」意識を共有

プレカリアートユニオン結成
正規雇用、若年正社員の駆け込み寺から砦へ
5月26日・湯浅誠さん招いて設立記念シンポ

 非正規雇用、若年正社員が、職場で仲間を増やし労働条件の向上に取り組むことを目指して、プレカリアートユニオン(大平正巳委員長)を結成しました。

誰でも30歳で最低年収240万円を
 4月9日の設立大会では、「非正規雇用、若年正社員の駆け込み寺から砦へ」「誰でも30歳で最低年収240万円を実現しよう」などのスローガンを掲げて、ワーキング・プアからの脱却、希望すれば一人につき一人は子どもを育てられる収入の確保、生活支援の充実などを目指して活動することを決め、執行委員長に大平正巳、書記長に清水直子ほか役員を選出。連合傘下の全国ユニオン全国コミュニティ・ユニオン連合会)に加盟しました。
 5月26日には、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんを招いて、事務所のあるユニオン運動センターで設立記念シンポジウムを開催。シンポジウムで、湯浅さんは、芸能人の母親が生活保護を受給していたことをきっかけに巻き起こされた生活保護バッシングについて、「自民党のなかには、生活保護を選挙の目玉にしようという動きがある。民主党に対するリアクションとして、自民党のなかで家族による自助を強調する勢力が発言権を強めているように見える。今回のケースをてこに生活保護を問題にし、生活保護問題をてこに復古的家族主義の復権を目論んでいるのでは」と分析しました。

社会を強くするための結びつき
 プレカリアートユニオンは、「雇用不安を背景とした全体主義に流されないための情報・時間・空間・収入の確保」も目標に掲げています。湯浅さんは、大阪で橋下徹大阪市長ら維新の会が選挙で支持を広げた理由について、「民主主義の空洞化・形骸化」と「民主主義のしっぺ返し」があると次のように指摘しました。
 「誰かもっとうまく決めてくれるやつはいないかと、政治家に幻想と幻滅を繰り返した果てとして、橋下大阪市長らが支持を得ている。労働組合や市民団体などの組織が、組織に属さない小さい声をきちんと拾わずに軽視してきたことの影響もあるのではないか」。
 ではそのような「民主主義の空洞化・形骸化」「民主主義のしっぺ返し」には、どう対応すべきなのでしょうか。
「このユニオンもそのひとつだが、社会の様々なところに結びつきを作り、非正規の不安定雇用問題、正社員の過酷な労働の問題に共通の課題を見いだしながら解決していくような取り組みが重要。寄り添い型でそれぞれの状況にあったサポートや問題解決を行い、対応を蓄積することが、結果的には社会を強くする。どんな人が立候補しても振り回されない社会を作ることになると思う」と湯浅さんは語ります。

労働組合を使って利害調整の当事者になる
 民主主義を活発化するツールの一つが労働組合です。
 プレカリアートユニオンの大平正巳委員長は、「日本では4割が非正規雇用になり、20代から40代前半では6割は非正規雇用。すでに労働者としては、多数派になったが、まっとうな評価を受けることはできない。今や企業に欠かせない力として期待される一方で、有期雇用契約で都合のよいときに捨てられる存在だ。有期雇用の労働者が、労働条件の維持向上を目指して会社に交渉を申し入れても、雇い止めによって職を失うことを恐れるため、在職中に立ち上がる非正規雇用の労働者は少ない。しかし、会社と立ち向かう基盤が奪われているからこそ、働く上での問題を解決するためには労働組合を作ることが必要」と応じました。
 「非正規雇用は、職場で立ち上がろうにも仲間がいないと言う人がほとんど。会社の意志決定から排除されており、自分がいつまで同じ職場にいるかも分からないので同僚や信頼できる上司からも排除されている。不安定さゆえの問題に対応するには、非正規雇用であっても、自分が今いる職場で労働条件の維持向上に取り組むのが一番効果的。働く上でのトラブルについて、会社にお金を払わせたり、謝らせたりして退職するという解決もいいが、また一から別の会社を探して入っても、そこは前と変わらない労働条件。それならば、今の職場で、少しでも将来に希望がもてるような条件を仲間と実現するほうがいい。仲間が集まって、交渉力をつければ、会社は簡単には切れない」(大平委員長)。
 さらに大平委員長は、「現場を動かしているのは自分たちだという実態に気づいて仲間を増やせば、会社は有期だからといっておいそれとはクビにできなくなる。そして、会社は問題解決のための話し合いに応じてくる。今までは、一方的に使い捨てられる弱い立場だった労働者が、労働組合というツールを使うことで、職場をどうしていくかという利害調整の当事者として、会社と渡り合うことができた。私たちは、法律を変えることも大切だが、実態として職場で力を持つことが非正規・有期問題を変える力になると考えている。不安定な労働者、仲間との結びつきが希薄な若年正社員こそ、今いる職場でよりよい条件を手に入れることが必要。プレカリアートユニオンは、そのために立ち上がる仲間を支援し、共に闘うために結成した」と語ります。
 利害調整の当事者であろうとすることの大切さ、当事者であろうとする人を支援することの必要性という、民主主義をめぐる問題意識を共有しながらの船出となりました。
清水直子プレカリアートユニオン書記長)


※集中相談日が毎週木曜日18時から20時になりました。これ以外の日時にも随時対応しています。
〒151-0053 東京都渋谷区代々木4-29-4西新宿ミノシマビル2F
ユニオン運動センター内 プレカリアートユニオン
TEL03-6276-1024 FAX03-5371-5172
メールinfo@precariat-union.or.jp
※会社のPCからはメールを送らないでください。相談内容を会社側に知られる可能性があります。