プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

商品事故・交通事故の弁償金について弁護士の解説記事

田口運送・都流通商会支部(田口運送グループユニオン)では、これまで、商品事故や交通事故の弁償金を労働者であるドライバーの給料から天引きすることは違法、全額を労働者に請求するのも不当、と説明してきました。『朝日新聞』夕刊の「働く人の法律相談」でも、労働問題に詳しい弁護士が、このテーマについて解説をしています。執筆者の佐藤正知弁護士が所属する弁護士事務所のウェブサイトに全文が掲載されています。

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http://yokohama.bengo-shi.com/media12_0413_1.htm
働く人の法律相談 高額機器壊したときの賠償責任は?

職場に「問題あり」で負担ゼロの例も
 新年を迎え、仕事始めで気を引き締めた人は多いでしょう。しかし、いくら安全に気を遣っていても、ミスはつきもの。仕事中にうっかり高価な機械を壊してしまったら、会社からの損害賠償請求に応じなければならないのでしょうか。

 仕事中の事故の場合、故意でもないかぎり、従業員に全面的に非があるとは言いきれません。しかし、どの程度の責任を負うかは、仕事の状況や不注意の度合いによって決まります。

 運送会社の社員がトラックの運転中に事故を起こした例を挙げます。この社員は高速道路を走行中、前の車を追い越そうとしたところスリップして、トンネルの側壁に衝突しました。会社は、この社員の不注意が原因だとして、修理代とトラックが使えなかった期間に得られたであろう収入の支払いを求めて提訴しました。しかし、会社は社員に月1日しか休みを与えず、損害保険にも入っていませんでした。こうした事情を考慮して裁判所は、社員の賠償義務を修理代の20分の1に限定しました。

 さらに鉄工所社員の事例。工作機械を使っていたところ、居眠りをして機械に大きな傷を付けてしまいました。この会社は機械の性能が落ち、利益が削られたとして、社員に損害賠償を求める訴えを起こしました。裁判所は、会社が機械に保険をかけておらず、深夜勤務中の事故だったことを考慮。賠償義務を機械の価値が損なわれた分の4分の1に限りました。

 いずれの事故も、社員が故意で起こしたわけではありません。そもそも売り上げから人件費や仕入れ代を引いた分は、基本的に会社の利益になります。リターンを得ようとする者がリスクを負うのは当然で、会社は損害保険に入ったり、社員教育を充実したりして、リスクに備えるべきです。

 過労や深夜勤務といったミスを誘発する職場環境に問題がある場合もあり、裁判の和解で社員の負担がゼロになった例も数多くあります。会社からの請求には、どんなに少額でもすぐには応じず、逆に事故防止対策を会社に求めることが重要です。

(弁護士・佐藤正知)

朝日新聞2012年1月16日付】

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