プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

商品事故の弁償金を給料から天引きする賃金控除協定は違法・無効の判断が出されました

 プレカリアートユニオン総合物流サービス支部の仲間は、会社に対して、「商品事故の弁償金を給料から天引きしないこと、ドライバーに弁償させないこと」「従業員の待遇改善」「管理職による恣意的な対応の改善」などを求めて交渉してきました。
 会社は、賃金控除協定(給与の一部控除に関する労使協定書)を結び、「商品破損や車両破損等の弁償金」を給与から天引きできると主張し、組合からの是正要求に応じませんでした。この件について労働基準監督署に申告した結果、商品破損や車両破損等の弁償金を賃金控除協定によって給与から天引きすることは違法・無効として、指導されました
 そもそも賃金は、通貨で、直接、労働者本人に、全額を払わなければならないということが労働基準法で定められています。給料から、なんらかのお金を天引きする場合は、労働者の過半数で組織する労働組合または、労働者の過半数を代表する人と賃金控除協定といわれる書面による協定を結ばなければなりません。
 賃金控除協定を結びさえすれば、どんな名目のどんなお金でも給料から天引きできるわけではありません。通達で「購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、労務用物資の代金、組合費等、事理明白なものについてのみ」と定められています。事理明白というのは道理がはっきりてしているということです。商品事故の弁償金は、この通達の趣旨に反しています。
 そもそも商品事故の弁償金をドライバーに負担させるのは不当であることを伝えながら、給与から違法に天引きされた弁償金を取り戻そうと、社内で訴えて仲間を増やしていきます。
 プレカリアートユニオンが交渉した会社では、商品事故の弁償金を給料から天引きされることがなくなったり、少なくとも組合員からは天引きしないという結果が出ています。総合物流サービスで働くみなさん、さまざまな運送会社で働くドライバーのみなさん、給料から商品事故の弁償金を天引きされていたら、泣き寝入りせずに、プレカリアートユニオンに相談してください。

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プレカリアートユニオン
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info@precariat-union.or.jp※会社のPCから相談メールを送らないでください。

労働基準法
(賃金の支払)
第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

労働基準法の一部を改正する法律等の施行について
(昭和27年9月20日 基発第675号)
法第24条関係
(一) 第一項但書の改正は、購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、労務用物資の代金、組合費等、事理明白なものについてのみ、法第36条の時間外労働と同様の労使の協定によつて賃金から控除することを認める趣旨であること。
(二) 賃金を通貨以外のもので支払うことについては、従来通りであること。
(三) 協定書の様式は任意であるが、少くとも、(1)控除の対象となる具体的な項目、(2)右の各項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載するように指導すること