プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

「ターゲットは正社員。周りから崩されていることを自覚して」と仲間が訴えた 「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現 12・5緊急総決起集会」

 ナショナルセンターの連合は、「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」キャンペーン第2波全国統一街宣行動を始めました。この取り組みの皮切りとして、12月5日、東京・日比谷野外音楽堂で、緊急総決起集会を開催し、銀座をデモしました。参加者は5047名。
 私たちプレカリアートユニオンも全国ユニオンの仲間と集会に参加しました。
 古賀伸明連合会長は、主催者挨拶として、「全国各地でさまざまな手法をこらして、私たち働く者が危機感を訴えなければ日本社会は崩壊してしまう。働く者の声を社会の皆さんに届けよう」と呼びかけました。
 当日の発言から、経済アナリストの森永卓郎さんと、全国ユニオンの仲間である派遣ユニオン組合員の松原さんの発言を紹介します。

■賃上げ抑制は間違いだった。景気拡大の成果は金持ちに
 経済アナリストの森永卓郎さんは、次のように連帯挨拶を行いました。
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 連合さんから呼んでいただいたので本当のことを言おう。この4月から我々の生活に何が待っているか。狂乱インフレがやってくる。消費税の引き上げ3%の影響で消費者物価は2・5%上がる。日銀の金融緩和によって2年後、物価上昇率2%、金融緩和で1・5%物価が上がる。来年度の平均の消費者物価上昇率は4%になる。何が起こるか。1981年、第一次石油ショック以来の狂乱インフレになる。そのなかで年金は、今年の10月から1%下がり来年の1月からさらに1%下がる。これで賃金が上がらなければ、日本の景気は地の底に落ちる。
 連合と民主党が消費税の引き上げを容認したのはよくなかったと思う。もうひとつ、絶対にいけなかったのは、昨年まで4年間もベースアップ(基本給の昇給)を見送ったこと。この責任は大きいと思う。経営にあまりに配慮するばかりに、賃上げを抑制をしたことで、今や企業の内部留保は300兆円に達している。企業は、じゃぶじゃぶに金を持っている。今私は賃上げをとるしかない。連合は1%賃上げというが、単産のみなさん、4%物価が上がるのだから、5%は要求しよう。
 格差がどんどん拡大している。今起きているのは小泉内閣で起きたことと同じ。小泉内閣の5年間で景気は拡大し、株価は2倍になり、上場企業の経常利益は2倍、上場企業の役員報酬も2倍、上場企業の支払う配当金は3倍に増えた。同じ5年間でサラリーマンに支払われる雇用者報酬は6%減った。中小企業の役員報酬は8%減った。つまり景気拡大の成果は金持ちが持って行った。なおかつ富裕層と大企業は、2兆9000億円の減税を受けた。庶民は、5兆円の増税を受けた。ただでさえ、金持ち一人勝ちのなかで、減税で格差を広げたのが、小泉内閣がやった格差社会の拡大。
 同じことが今起きようとしている。上場企業は景気回復でぼろ儲けをしている。復興特別法人税は1年前倒しで廃止される。一方、消費税が上がる。このまま賃金が上がらなければ超格差社会になるのは目に見えている。
 小泉内閣の時に、私は、製造業への派遣労働を解禁してはいけないと徹底して主張した。戦後の苦しい歴史を忘れてはいけないと言ったのだが、これを解禁したおかげで、リーマンショック後、派遣切り騒動が起きた。今回、さらに派遣法を規制緩和して、どんどん低所得層を作り出そうとしている。なぜか。富裕層がそうしたいから。
 テレビに出ている富裕層の味方のコメンテーターは、コマーシャルになった途端、こう言う。「おい、森永、いつまでも社会主義みたいなことをいっているんじゃないぞ。アメリカや中国は日本よりはるかに厳しい格差社会じゃないか。あれをグローバルスタンダードというんだよ。俺たちはグローバルスタンダードに近づけようとしているだけだよ」。某東大教授は、「森永君、僕なんか、毎日丸ノ内線に乗って大学に通っているんだぞ。おかしいと思わないか」と言う。「何がおかしいんですか」と言うと、「明治中期までは、東大教授の家には毎日馬車でお迎えがきたんだ」と言う。これがヤツらの考え方だ。これを粉砕しないといけないのだが、成長戦略のなかで逆の動きが出てきている。
■格差拡大・解雇自由で命が失われる社会に
 橋本徹大阪市長松井一郎大阪府知事は、御堂筋周辺の企業だけは、労働時間無制限に働かせて、解雇も自由という特区の申請をした。日本中のブラック企業を御堂筋に集めようとしている。年収1000万円以上だけを規制緩和しようという話だが、3300時間くらい働かせれば、男子正社員の平均賃金を下回る。3000時間、4000時間地獄のそこまで働かせて、壊れたらポイ捨てをしようとしている。
 特定秘密保護法も格差拡大と思想で通底している。なぜ、国民の反対を押し切って、強行しようとしているか。アメリカに言われているから。なぜそういえるか。今、イージス艦での情報共有などで、米軍の下に自衛隊を着けようとしている。米軍の指揮の下、自衛隊が動くと、米軍の情報が自衛隊に漏れる。米軍の情報が絶対に漏れない体制を作れというアメリカからの強い要求がきているので、こんなひどい法案を強行採決しようとしているのだと考える。
 この先に何があるか。集団的自衛権の行使がある。アメリカが戦争をするときには、日本がついて行くということになる。アメリカの出入りに日本が参加することになる。戦後、自衛隊は一度も人を殺していない。しかし、アメリカの戦争に巻き込まれるようになる。日本は徴兵制ではないので、戦争になったときに命を落とすのは低所得層。これはアメリカで実証されている。イラク戦争で、前線で戦っていた兵士の平均年収はたった1万5000ドル。なぜ、それでも命をかけて戦争に行くのか。普段、もっと低所得だから。あるいは、奨学金をもらえて大学に行けるから。そうやって金持ちの権力者が高見の見物をしている間に、国民の命が失われるという方向に日本が走っている。これを本当に止めないと70年前の悲劇が繰り返される。
 幸いなことに日本は民主主義国家なので、多くの国民が情報を共有できればこんなばかげた動きは食い止められると思いますが、こういう話をするとすぐにテレビから降ろされるのでなかなか伝えられない部分もあるが、本当にものすごく危険な状況が起こっているという認識を持って頑張っていこう。
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■追い出し部屋のあの会社で24年間派遣労働
  全国ユニオン傘下の派遣ユニオン組合員・松原さんも非正規雇用で働く者の現状を訴えました。
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 同じ会社に24年間派遣されて働いてきた。追い出し部屋を作った大手企業のグループ会社だ。追い出し部屋に追い込む作業が一段落したところで、派遣といえど24年間働いてきた私も簡単にクビを切られた。
 本社の追い出し部屋ほど厳しくはなかったが、私のいた会社でも追い出し部屋では3、4ヶ月ごとに部署を移動させられ、疲労し、自ら辞めていくのを待っていた。リストラの対象になったのは、年齢が高い人だけでなく、育児や介護によって勤務時間が短い女性社員も含まれていた。制度がありながらその制度を使う社員は、追い出し部屋へ追い込んでいく。立場の弱い女性社員や非正規雇用は、いつどうなるかと不安に思っていた。
 しかし、不思議なことに追い出し部屋に入れられている正社員のお父さんたちは、これほど追い詰められているのに、これ以上はないだろう、俺は社員なのだからと思っている節があった。私も仕事を引き継いだ追い出し部屋に行ったお父さんは、会社の温情を期待していた。今までは退職金上積みをするからと提案されたかもしれない。しかし、これからは、業務連絡のように、これだけの金を払うからいつ辞めろと言われるようになる。法律を変えて堂々とやるようになる。
■ターゲットは正社員。周りから崩されていることを自覚して
 正社員だから大丈夫ということは絶対にない。ここにお集まりの人はそれを重々認識していると思う。私のことを、自分で派遣を選んだのだからと思う人もいるかもしれない。そう思っていただいても結構だ。非正規労働者を嫌いでも結構。それでも、非正規の労働条件を守ってほしい。それが自分や自分の家族の立場を守ることになる。
 今、非正規だからとか正社員だからとか言っている場合ではない。ターゲットは正社員。弱い立場の周りから崩されていることは素人の私でも分かる。私も失業中だ。追い出し部屋の人に、給料が出るのだからいいじゃないかとは思えない。元同僚の正社員の女性が、子どもを抱えて、追い出し部屋で追い詰められていくのを噂に聞くのも嫌だ。
 非正規労働者を嫌いでも構わないから、労働条件を守ってほしい。そういう意味でともに頑張りましょう。
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 集会アピールはこちら→http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2013/20131206_1386308522.html