プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

田口運送残業代請求訴訟原告の声「私たちは何度も和解の提案をし、会社に拒否されてここに至っています」

私たちは何度も和解の提案をし、会社に拒否されてここに至っています
組合は会社をつぶすためではなく、会社とドライバーを生かすために取り組んでいます
「死んだら訴える」では悲しすぎます。力を合わせて会社を変えましょう

田口運送残業代請求訴訟原告の声

 4月24日に先行していた裁判で判決が下り、私達の主張が全て認められて勝利しましたが会社は早々と控訴してきました。
 判決が出たために、トラック業界では波紋が拡がり、新聞やネット、業界紙で取り上げられています。それもそのはず、業界で起きている紛争の判例として確実に影響を及ぼすからです。裁判に負けて困るのは当事者だけではないと分かっていたはずです。
 しかし、一審で2度も和解の話が出ましたが、会社は2回ともゼロ回答でした。1回目でゼロ回答だったので2度目はそんなことはしないと思っていましたが、代理人の弁護士が「会社に持ち帰り検討します」と言い、こちらも和解金額を用意しましたが、結局、「和解はしません」との回答でした(今思えば、当時は、会社役員が裁判に出席していなかったので、タイムチャージ制の弁護士に引き伸ばされていたのでしょう。地裁で約3年半かかりましたが、弁護士には短かったのかもしれません)。
 これで、田口運送に勤める従業員にも同じ条件で残業代の支払いが認められることが、裁判でも認められたことになります。組合員と同じ労働条件なら、訴えれば勝てると思っている人や家族は多数います。しかし、会社からにらまれたくないからできない、という人もいます。でも、「俺が死んだら会社とは関係なくなるから、家族のためにやってくれ! お金を残してくれ」と言われることが一番多いです。私も、「証拠を残したり、家族に組合のことを伝えておいてください」と言います。みんなも会社が違法状態なのは分かっています。それでも言い出せずに、「死んだらよろしく!」って話になるんだと思います。
 判決が出た今、会社は、みんなに訴えられないように色々な手を打ってくるでしょう。「組合に入らないでくれ!」と言ったり、「組合に入ったらどうなるか分かっているよね!」と事務所内で圧力をかけるようなことをしてはダメです(労働組合法に違反する不当労働行為になります)。
 今回の裁判では、会社の残業代の払い方は違法だと判断され、請求金額と同額の付加金(悪質な場合に追加される制裁金)が付きました。原告が望んでもなかなか付きません。
 ところで、残業代がなぜ通常の賃金より割増されるのかご存知ですか? それは長時間労働を抑制するためです。しかし、今の会社の違法な払い方だと、何時間かかっても手当ては変わらないので、長時間労働が抑制されません。また、他の人より作業が多くなり時間がかかっても、同じ賃金しか払われないので不平等も生じます。特に急ぎの仕事だったり、荷主の指示があって荷主が高速代を払う時以外は、高速道路に乗せないのはそのためです。他社では、長時間労働を回避するために、高速道路を使わせています。残業代の方が高くなるからです。田口運送では、残業代を払っていないから、平気で長時間労働をさせるし、よほどの時以外は高速道路を使わせないのです。
 会社役員の給料はいくらか知ってますか? 荷主からの運賃は正確にいくらか知ってますか? 売上高は20億7500万円(2012年8月期)です。
 今月の給与明細を渡されるときに「陳述書」という名前の書類にサインしたみなさん、陳述書が裁判で使われるという説明を受けましたか? 裁判では嘘をつけません。証人として裁判所に出廷して、会社の主張する賃金規定の説明や労働時間に対して深夜、休日残業がどの様に関係しているか、またその計算が給料明細にどの様に記載されているか十分認識していると言えますか? 裁判で嘘をつくと偽証罪に問われる可能性があります。私なら事実ではない陳述書にはサインしません。
 会社から「訴えないでくれ」とお願いされたみなさん、それなりの対価が示されましたか? 確約はありますか? 信用できますか? 会社の都合のいい証言をしてきた社員にも不満がたまっています。会社が個人に対して約束したとしても、確約はありません。組合に加入して、正式に要求して、確約させましょう!
 私達も段階を踏んでここに至っています。私は、所長に相談し、部長に抗議し、別の部長にも相談しました。何も解決せず、会社は命令はしても従業員の要求や提案を聞く義務がないことを知り、配車イジメなどがあり、身を守るために組合に入りました。しかし、会社は、なおも従業員に耳を傾けようとはしないので、個人ではできないけれど、組合には許された争議権を使うことになったのです。
 社長は、解決を先延ばしするためにはお金を惜しまず、弁護士や幹部を使って従業員の要求は一切聞かないという姿勢なのか、それとも部下からの正確な報告が得られず、弁護士任せにするしかない状況を作らされてしまっているのか、1度お会いしたいです。