プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

マイルドヤンキーって知ってますか?

 最近、本や情報番組、NHKまでがこれを取り上げています。不良なのに優しいという意味で、特徴としては「反抗心がない」「成り上がり志向がなく、現状維持をモットーに」「地元愛が強く、半径5キロ以内でゆったり生活」「早婚で、早くから家庭を築き、家族愛や友情を重んじる」「ケンカはせず空気を読んで快適に」「争いごとは好まない」と、従来のイメージのヤンキー文化が大きく変化しているというものです。
 私の若い時代は、ヤンキーという言葉ではなく、「つっぱり」と称される不良の文化が流行していました。「よろしく(夜露死苦)」などと口をそろえてタンカをきり、外で目が合えば「ガンつけた」と因縁をつけ、学校には行かず早くから社会に出て(中卒・高校中退等で)、職場では上司に逆らい大げんかという「破天荒」というのか、「反体制」的なのがその中身でした。
 その不良たちは何でもかんでも「反抗」し、社会や大人、自分たちに不都合な人たちに対して「反抗心」をむき出しにしていました。仲間でそれこそ「団結」していたようなことが数多く見てとれました(暴走族なども1例です)。
 それをこぞって「たむろ」などという言葉で社会・マスコミがひとくくりにして、深夜コンビニエンスストアや週末バイクに乗って公園に集まり自己主張する「つっぱり」を皆遠巻きに見て、排除しようとしていたのをよく覚えています。それが今ではその中身が大きく変わり「つっぱり」から「ヤンキー」そして、「マイルドヤンキー」になり本当に変化しているんだなぁと思いました。
 この手の話になるといつも思い出すことがあります。昔、私も含めた仲間が働いて給料をもらったときに「お前は若いんだからこんなにいらねえな」とか給料日に社長から「あんまり仕事してないから、お店が暇な時間は給料ひくからな」「こんなもんでいいだろ、若いうちは金をいっぱいもらうといいことねえよ」とでたらめなこと言われたり、されたりしたのを今でも思い出します。
 寝ないで寝ないで寝ないで一生懸命働いてこういう仕打ちを受けて、労基署に相談にいって「ついてないね、違うとこ探しな、若いんだから、仕事みつかるよ。だまされちゃたな」といわれたのを25年以上たった今でも悔しくて忘れることができません。給料日に、騙されてもらった中身の少ない給料袋を握りしめ、ファミリーレストランに行き友人と2人向かい合ったテーブルで、悔しくて、悔しくて涙がとまらずご飯が食べれなかったのを今でも忘れません。
 その時に、友人がポツリと「騙される方が悪いんだな、騙される方が悪いんだ」と何度も何度も体を怒りで震わせながら、机の上に大粒の涙を落しながら言っていたのを思い出すたびにくやし涙がいまだに流れます。
 今、私はトラックの運転手をしていて残業代を払ってくれない、勝手に給料を減らされる会社と仲間とともに闘っています。
 そしてことあるごとにこの昔の出来事を思い出します。「お店が暇な時間は給料引いとくな」と言った社長。「ついてないね」と言った労基署の人。「騙される方が悪いんだな」と怒りに打ち震えていた友人。これは、私の特別な体験ではありません。「お店が暇なときは給料引いとくな」と言ったあの時の言葉は25年以上たった今また私の身に降りかかっています。待機時間の賃金は払わないというかたちで。
 「騙される方が悪いんだな」と理解した友人のような考えから、社会問題になっている何かを連想しませんか? オレオレ詐欺という間違った再分配として。
 まじめに働いていてこの仕打ちなのか? 頑張っても頑張ってもむくわれない給料、下がるばかりの給料、長くなるばかりの労働時間。
 私は、屈しない。「つっぱり」だから。
■梅木隆弘(田口運送・都流通商会支部書記長)