プレカリアートユニオンブログ

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『朝日新聞』2014年7月18日朝刊に取材協力した記事掲載「固定残業代、トラブル 長時間ただ働き/訴訟で争うケースも」

固定残業代、トラブル 長時間ただ働き/訴訟で争うケースも
朝日新聞 2014年7月18日

何時間働いても、残業代が定額しか支払われない「固定残業代」制度をめぐり、トラブルが相次いでいる。ただちに違法ではないが、残業代をごまかされたり、長時間ただ働きさせられたりする例が、後を絶たない。

 荷物を積み込もうと、トラックが順番待ちで列をつくる。東京・大井埠頭(ふとう)の冷凍倉庫前。道路の脇で待機する運転手も目立つ。

 都内に住む梅木隆弘さん(45)も、そんな一人だ。2003年、中小運送会社の都流通商会(東京都八王子市)に入社した。月給は「手取り30万円」。

 だが、働く時間は長かった。早朝から首都圏の配達に回り、終わると大井埠頭の倉庫で、翌日の積み込み作業に追われる。平日はほぼ24時間拘束された。

 積み込み作業は、順番を待つ時間が長く、遅くなると午前0時を過ぎる。八王子の自宅に戻ると寝る時間がなくなるため、車中で泊まる日々が続いた。

 そんな激務がたたり、2年後の8月、心筋梗塞(こうそく)で倒れた。3週間後に仕事に復帰し、労災申請も認められた。帰宅できないことはなくなったが、1日15時間前後の長時間労働が続く。

 入院したのをきっかけに、勤務時間を記録するようになり、働いた時間に応じて残業代が支払われていないことを知った。

 今年5月の「残業手当」は約16万円。仕事の種類などに対して払われる複数の手当が残業代だということにされていた。

 梅木さんは、時間に応じて計算すると、これらの手当とは別に、本来は毎月10万〜20万円の残業代が支払われるべきだと考え、12年と13年、過去の未払い分を求めて訴訟を起こした。会社側は「係争中でコメントできない」としている。

 都流通商会の親会社の田口運送(東京都北区)の社員ら計4人も、同様の訴訟を起こした。横浜地裁相模原支部は今年4月、原告の主張をほぼ認め、計4300万円の支払いを会社に命じた。会社が控訴し、東京高裁で係争中だ。

 梅木さんは「働いた時間に応じ、きちんとお金をもらえないと、ただ働きになる。こんなことを続けていたら、運送業界から働き手が逃げる」と話す。

(以下、ウェブサイトに記事が掲載されています)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11249593.html