プレカリアートユニオンブログ

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イオンディライトセキュリティ(株)に対する未払い賃金請求訴訟(前橋地裁高崎支部)で原告の組合員が意見陳述した件が『上毛新聞』2018年8月8日朝刊に掲載

イオンディライトセキュリティ(株)に対する未払い賃金請求訴訟(前橋地裁高崎支部)で、原告の組合員が意見陳述した件が『上毛新聞』2018年8月8日朝刊に掲載されました。

以下、意見陳述を再掲します。

イオン店舗などの警備を行うイオンディライトセキュリティ(株)に対し、実際は労働時間である休憩時間・仮眠時間の賃金などを請求した裁判で、本日8月7日、前橋地方裁判所高崎支部にて、原告の組合員が以下のように意見陳述を行いました。
イオンディライトセキュリティ未払い賃金請求訴訟について→http://d.hatena.ne.jp/kumonoami/20180623/1529739228

意見を述べる機会を頂き有難うございます。今回の裁判提起の直接の契機となった、特に大型ショッピングセンターにおける施設警備員の「休憩時間」についての認識を中心に、関 自身の経験をふまえ、私から意見を述べさせて頂きます。

私は現在64歳です。2007年1月にイオンディライトセキュリティ株式会社(以下会社と略す)に警備員として入社の面接を受けました。そのとき、面接係の方から言われたことの1つが、「警備員は仕事の性質上「休憩時間」であっても、緊急の事案があったら対応してください。」ということでした。現在でも、「緊急事案があれば、すぐ動く」というのは変わりません。

その後、イオンモール高崎勤務を経て、2012年12月に現在の高崎オーパの前身である、高崎ビブレに隊長として移動しました。この時、会社の群馬警備隊5つを統括する群馬営業所長より、「ビブレ隊は赤字なので、黒字かトントンくらいにして欲しい」といわれました。私は、「契約額は決まっているし、時程も同じなのにどうすればいいのか」と尋ねました。所長は「「休憩時間」を増やせばいい」といいました。

当時ビブレ隊は3シフトあり、そのそれぞれについて1時間ずつ「休憩時間」を増やした結果、1ヶ月に20万円前後の黒字になりました。このとき感じたのは、「休憩時間」は警備員を休ませる時間というより、会社の利益獲得の手段の性格が強いということでした。

高崎ビブレ閉店後、イオンモール高崎に配属されました。
イオンモール高崎は、駐車場や建物全体を管理するイオンモール高崎(デベロッパー業)と、その中に最大テナントとして入っているイオン高崎(イオンリテール(小売業))とがそれぞれ付属の警備隊を持っています。(両者とも同じ会社の警備隊)

モール隊は当時から、50~60時間の残業が普通になっています。そこで、モール隊は赤字ではないのか、と所長に尋ねたところ、「イオン隊と合算するので大丈夫だ」といいました。
イオン隊はその勤務時間(1日2名各24時間拘束=48時間)のうち、仮眠時間も含め、約3分の1が「休憩時間」となっていました。これを知って、ますます休憩時間のあり方に違和感を感じるようになりました。

千葉地裁の判決後、会社は警備手帳を改訂しました。今年(2018年)5月に改訂された警備手帳が、会社から私たちに配布されました。そこには警備員の「休憩時間」は自由にして良い旨記されています。イオン店の幹部(総務課長)に、この休憩時間についてたずねたところ、「店は1日48時間でお金を払っている。なにかあったら対応してもらうのが当然だ。」とのことでした。この食い違いについて、会社はまだ納得のいく説明をしていません。

会社が、「休憩時間」について、警備手帳に事実と異なる記載をできるのは、その時間が実質的には「待機時間」であり、労働時間だから会社と店の契約に影響しないからではないか、と思いました。

警備員は常常イオン全体の標語「お客様第一主義」、会社の標語「みせる警備」を教育されています。前者は、お客様には優先的に対応する、後者は、1つに、警備員が制服姿を人前にさらすことで万引きなどを抑制するという効果と、2つに、緊急事案発生時など、
現場に真っ先にかけつけて「店として対応手続きに入った」ことを周知し、安心させる、などという意味があります。

警備員の緊急対応としては、火事や地震は言うに及ばず、不審者対応、お客や従業員の
病気対応、けが人対応などがあり、事柄によっては、現場の状況を一刻も早く、店の管理
者や関係機関に連絡する責務があります。1日2人体制で、1人は常に防災センターでの
出入管理、連絡係から離れられない状況では、緊急事案発生時には、「休憩時間」であろうが、もう1人が動かざるをえないのが実情です。警備員の教育では「連絡遅れ」が必ず悪い例の教材になります。会社がこういった事情を知らなかったハズはないと思います。

「休憩時間」と銘打つことにより、「残業代」を回避し、その分を会社の利益に変えてしまう、これが「労働基準法」が期待する「休憩時間」のありかたなのか。あわせて警備という職業が健全な発展をし、将来性が持てるようになるためにも司法の公正な判断を仰ぎたいと思います。