『チームが機能するとはどういうことか』(エイミー・C・エドモンドソン/英治出版)
心理的安全性という言葉を、皆さんは聞いたことがありますか。「チームが機能するとはどういうことか」は、エイミー・C・エドモンドソンによる、「学び続け成長し続ける」チームを作るための組織のあり方を記した一冊です。
変わるチームのあり方
これまでの「チーム」という概念は、「スポーツチームや音楽家のグループのように、物理的に同じ場所にいて、信頼を築く時間がある、固定された集団」であったと著者は言います。時代は移り変わり、現代では、オンラインで遠くの人々が一つのプロジェクトの下、集結するような形であったり、ある目標に向けて、適材適所のチームが作られ、その目標の達成と共にまた散り散りになっていくような形に変化してきています。
求められる「チーミング」
現代のチームでは特に「チーミング」が重要です。チーミングとは、絶え間なくチームワークを実践し続けることです。特に後者のチームの場合、従来のチームと違い、場所の固定がなく、信頼を築く時間も不十分であることが多く、メンバーも往々にして流動的です。このような特徴がチーム作りの障害となっています。チーム(名詞)というものがあるという考え方から、チーミング(動詞)する組織へのシフトが大切になってくるのです。
ポイントは「心理的安全性」
チーミングを行うとき、最も大切なものの1つとして、著者は「心理的安全性」を挙げています。心理的安全性とは、チーム内で誰にどのような指摘をしても、どのような事を提案しても拒絶されることがなく、罰せられる心配がないような状態のことを言います。
この考え方は、一見すると馴れ合いによる日本的人間関係と似て映ることもありますが、実際は真逆といってもいい考え方です。特定の目的のために、職種や職位、立場の別なく自由な発想を口にすることができ、それらが正当に公平に扱われる事が保証された組織のみが「学び続け成長し続ける」のです。
「組織化」と「チーミング」には多くの共通点があります。私たちプレカリアートユニオンも、常にチームワークを発揮し続ける集団を目指し、日々、組織化を行っていきたいと思います。
稲葉一良(書記次長)