プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

労働と生産のあり方を変えるために。『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』(斎藤幸平著/集英社新書)

 人類の活動が地質学的にも地球上に痕跡を残す時代=「人新世(ひとしんせい)」の今、気候危機が私たちの生活を脅かしています。著者は、グリーン・ニューディールも、SDGsも、この危機を商機と捉えるイノベーションも地球環境への負荷の増大を止められず、この危機は克服できない。「際限の無い経済成長」による万人の繁栄を目指してきた資本主義が、それを実現できないことへの根底的な批判無しには、目指すべき「脱成長」は見えない。脱成長と、マルクスが資本主義批判から得たコミュニズムを統合する必然性がここにある、とします。
 そして「資本主義は豊かさをもたらすものなのか」と問います。資本主義は、希少性を維持・増大することで商品の「貨幣で測れる価値」を上げ、GDPを増やす=経済成長していくシステム。希少性が価値を生むため「全ての人が豊かになる」ことはない。99%の私たちにとっては、必要なものが得られず、また、満たされず限りなく消費する状態が続く、とします。
 この「資本主義の希少性」に対抗して、資本主義の始期に解体された共同体にあったような潤沢さを回復する方法が、コモン(特に、生産手段を自律的・水平的に共同管理すること)の再建であり、コモンを取り戻すのがコミュニズム、とします。
 人間と自然は労働でつながっている。労働と生産のあり方を変えることが自然環境を修復するために決定的に重要で、経済成長を減速させる分だけ持続可能な経済への移行を促進するとし、脱成長コミュニズムを実現するための5つの構想を掲げます。
 3.5%の人々が非暴力的な方法(市民不服従市民運動「絶滅への反逆」を参照)で本気で立ち上がると、社会が大きく変わる。一人一人が自分のできることで相互扶助の連帯に参加し、資本による専制が招いた気候危機を収束させよう、と呼びかけます。
この本が示す展望を真摯に受け止めたら、私たちの将来が大きくかわる。
 N(組合員)

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