プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

日本初の歴史的な判決「同性婚禁止は憲法違反」

 2021年3月17日に札幌地裁で、日本で初めての、歴史的な判決が出ました。「同性間で結婚できないのは憲法違反である」というものです。

■どんな裁判?
 この裁判は、性指向(恋愛的に・性的に、どの性別を求めるか)が同性に向く人は実質的に結婚できない現状が、憲法違反かどうか、国に責任があるなら幾ら賠償するべきか、というものです。
■結果は?
 憲法違反かどうかについて裁判所は
・幸福追求権の条文(憲法13条)は、直接的に同性間の結婚を保障したものとは言えない
・結婚の自由の条文(24条)は、当時の考え方を判断すると、そもそも同性間の結婚について保障も否定もしていない
・性指向によっては結婚が許されないのは、法の下の平等(14条1項)に違反している
と判断しました。
■判決の理由は?
 違憲判決が出た詳しい背景は
・今の法律は「同性愛は精神疾患」と思われていた時代にできたが、その考え方は現在、完全に否定されている
・結婚の本質は子が生まれるかどうかではなく、2人が誠実にともに生きることである
同性カップルが、圧倒的多数派の異性愛者に許されなければ結婚という重要な法的利益の一部すらも受けられない状態は、保護がひどく欠けている
・育った時代の違いなどで、今も同性愛に否定的な国民がいることをある程度考慮する必要はある
・一方で、現在、性指向で差別しないよう求める国民の声は高まっていて、これからも高まり続けるだろう
というもので、これらを総合すると、同性愛者が結婚できないのは、合理的な理由がない差別で、憲法違反だ、という力強い判決になりました。
■社会全体が反映された結果
 今回の判決が出た理由を見ると、社会や国民の考え方が反映されたものが沢山あります。裁判所に「社会は変わったんだ」と示せたから出た判決だというのがよくわかります。
 そしてこの訴訟は、いわゆるLGBT関係の別な裁判や、それ以外の問題とも関係ができるかもしれないものです。3月19日には、最高裁判所で「同性同士でも事実婚は成立し、法的に保護される」という判決が出ました。確定した判決では、損害賠償額も、2人が異性同士か同性同士かに関係なく判定されました。結婚そのものを判断した判決ではありませんが、影響は大きいでしょう。他の例では、「海外で適切に成立した結婚は基本的に日本でも有効」という観点から起こされた夫婦別姓を求める裁判とも、関係が生まれる可能性があります。
■「結局負けた」って聞いたけど?
 国の賠償責任については、「国が、違憲状態だと把握してからあまりにも長く放置したとまでは言えないので、賠償の必要はない」という判決で、損害賠償を求めた裁判としては敗訴ということになります。ただしこの裁判は損害賠償自体が目的ではなくて、現状が違憲だという裁判所の判断を出すために、形式的に損害賠償の裁判を起こしただけですから、「形式的には負けたけれど実質的には大勝利」と言える結果でした。形式的には敗訴ですから控訴するかどうかは原告が決められますが、この判決を一地方裁判所だけの判断で終わらせないためにも、そして国にきちんと立法させるためにも、控訴を予定しているそうです。
 損害賠償自体についても、判決文の裏を返すと、国民がこれから積極的に声を上げれば、国は「今まで裁判所の判断も国民の声もなかったから国には責任がありません」と言えなくなります。

■理不尽は変えられると示した
 今回の判決は、皆の意思と声と行動が形になったものです。国が言おうと誰が言おうと人を差別したり抑圧したりするのはおかしいと思い、その理不尽さをきちんと客観的に示した結果です。何人もの原告や代理人(無償で活動しています)が「誰かがやらないと何も変わらない」と言っていました。変えていこう、きちんと伝えていこう、というのは労働組合も、他の様々な活動も同じだと思います。あらゆるところで、社会をよくしていきましょう。それが実現できることを、今回の裁判は示しました。 中野

 

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画像提供:Marriage For All Japan

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