プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

COJ(コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン)ワークショップ開催

COJワークショップ開催
 2021年4月17日、ユニオン運動センターの会議室で、コミュニティオーガナイズについてのワークショップを行いました。コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)から2名の講師を招いて行われたワークショップは、COJのテキストを使いながら、プレカリアートユニオンのためにコーディネートされた実践的な内容で行われました。
 コミュニティオーガナイズは日本語で住民組織化と訳されることもある、みんなの力で社会問題などのさまざまな問題を解決していくための手法です。大衆を共感させるためのスピーチの仕方や、関係性を構築するためのテクニック、目標を実際に達成していくための戦略の立て方など、そのノウハウ・テクニックは実に具体的で、すぐにでも実行に移せるものばかりです。
 当日は9名の組合員が参加し、全体での講義と、新宿二丁目・三丁目のLGBTコミュニティと労働運動をつなげるためのプロジェクト、ある企業での組合の組織化を目指すプロジェクトの2つに分かれたプロジェクトでの演習を行き来する形で行われました。本来なら2日かけて行うCOJのプログラムを1日に凝縮した、濃厚なワークショップを振り返ります。

LGBTコミュニティと労働運動がつながるプロジェクト
 LGBTコミュニティと労働運動をつなげるプロジェクトは、すでに組合内で動き始めているプロジェクトで、私も参加メンバーの1人です。研修にはプロジェクトの実際のコアメンバーが参加し、自分たちがこれまで組立ててきた戦略をCOJの考え方に落とし込んでいきました。互いに問題を自分ごととして語り、みんなの問題として訴え、今行動を起こすように呼びかけるスピーチを発表し合いました。ワークショップを通じて、より自分たちの行動の意義やこれから具体的に何のためにどのような行動をしていく必要があるかが鮮明になりました。また、メンバー自身がお互いの価値観を共有することで、メンバー同士の相互理解と絆が深まったのを感じました。

■「○○株式会社の組織化」プロジェクト
 もう1つのプロジェクトは、実際にプレカリアートユニオンの組合員が複数いる企業を対象にした組織化に向けての戦略を考えるものでした。参加したメンバーからは、「今まで人前で話すことは苦手だった。そういうことは元々話すのが得意な人にしかできないと思っていたけれど、ワークショップを通じて自分で思った以上に話すことができている自分自身に驚いたし、自信に繋がった。組織化の問題も、初めはものすごく困難に感じられ、どうやったらいいのか途方に暮れてしまったが、具体的に戦略チャートに反映させていくことで視界が少しずつ開けてくるのを感じた。筋道を立てれば解決できそうと思えるようになり、明確なアクションプランが見えることで、問題解決への希望を持つことができた」という感想も寄せられました。どちらのチームも目標の解決への道のりが明らかになると、それぞれに表情がどんどん明るくなっていったのが印象的でした。

■誰でも参加できる運動のノウハウを
 このCOJの考え方の大本には、問題の解決は誰か偉い人(力のある人)に頼んでやってもらうのではなく、自分たちで力を合わせて成し遂げるものという考え方があります。労働問題が社長に頼んで解決してもらうものでないことはもちろん、組合の担当者に解決してもらうものでもないということは、みなさんもご存じの通りです。
 日本の個人加盟の労働組合では、優れた活動家個人が持っているノウハウに過度に依存した組織運営が常態化していることによる歪みが深刻な問題となっています。これによって組合に何かを解決してもらおうという利用主義的な考え方が蔓延するとともに、ノウハウが共有されず、運動全体が衰退していってしまっています。
 COJでは誰でも運動を展開できるノウハウを学ぶことができます。この手法を吸収し労働運動の和を広く次の世代まで繋いでいきたいと思いました。
稲葉一良(書記長)

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