プレカリアートユニオンブログ

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日本の運動と強く結びついてきたロック。『フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むなって何だ!?」』(大久保青志著/イースト・プレス )

 著者の大久保青志氏は音楽雑誌「ロッキング・オン」の創刊メンバーで、野外音楽イベントのフジロックフェスティバル(以下フジロック)の立ち上げなどに中心的存在として携わり、故内田裕也氏のマネージャーを務めるなど、日本のロックの歴史のまさに生き字引的存在です。『フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むなって何だ!?」』は、そんな著者が半生を語りながら、日本のロックの歴史や、音楽と政治について記した1冊です。

■「音楽と政治は平和なシナジーを築ける」
 本書は2019年のフジロックに現役沖縄県知事であった玉城デニー氏が出演したことについて触れるところから始まります。音楽と政治はもっと平和なシナジーを築けるはずだと大久保氏の想いが綴られます。本書は著者のこれまでの半生を振り返りながら進みますが、その回想はまさに日本のロックの歴史です。そして、ロックと文化との歴史でもあります。

 2011年から、フジロックでは反核を訴えるアトミックカフェが行われていますが、その前身になる1984年の「アトミックカフェミュージック・フェスティバル」に寄せて、尾崎豊が、基地の近くで育った自分にとっての戦争と平和と核について熱く語ったという話には特に心を揺さぶられました。また、「人助けの大久保」と呼ばれ続けてきた人柄についての数々の逸話を読み進めるにつれ、同氏が代表を務めていた(現在も)レーベン企画に組合の街宣車の相談をさせていただいた際に、とても親身になってくれたのを思い出します。

■「○○に政治を持ち込むな」の風潮
 サブタイトルにある通り、「音楽に政治を持ち込むな」という風潮が日本では蔓延しています。SNSでは、ミュージシャンのみならず政治的発言をしたアイドルやタレントも非難にさらされる現状に、強い危機感を覚えます。昔からロックは運動と強く結びついてきました。おかしいことには、しっかりと声をあげて表明していくことの大切さをあらためて示された1冊でした。一ミュージシャンとしても、しっかりと自分の姿勢は表明していきたいと思います。
稲葉一良(書記長)

いなば・かずよし 1984年、埼玉県生まれ。プロのミュージシャンとして活動しながらパートで働いていた調理職場を解雇された際、企業内組合の役員らに「ボス交」され弾圧されたことをきかけにプレカリアートユニオンに加入、専従役職員となり、2020年9月から書記長。特定社会保険労務士の資格も持つ。ハードコアジャズバンド「ゴリラ人間ズ」、オルタナティヴ・ロックバンド「JIVES」などでベーシストを務め、ウクレレ講師としても活動中。

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