プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

「生きることはつどうこと」合い言葉に静岡で第33回コミュニティ・ユニオン全国交流集会

 12月4日、5日の2日間にわたり、静岡県立大学・草薙キャンパスに、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークに集う仲間、300人あまりが集いました。プレカリアートユニオンからも役員5人が参加(翌日は、神奈川県平塚市で労使紛争中の株式会社クローバーへの街宣活動を行いました)。
 4日は、「コロナ禍において問われる労働組合の意義 憲法から考える」をテーマに静岡大学教授(憲法学)の笹沼弘志さんが、記念講演を行いました。
 笹沼さんは、野宿者のための静岡パトロールなどの活動を1999年の年末から取り組んできた活動家でもあるそうです。ゆで卵を持ってホームレスの人たちを尋ねたり、仕事作りとして、寝場所である地下道の清掃作業を行政の事業とする活動にも取り組みました。
 笹沼さんは、「コロナ禍そのものは災害ではなく、日本社会の弱さと結びついたときに災害が起きる。我々の社会の弱さとは多様な働かせ方、労働者保護が崩壊していることにより、社会的排除を生んでいる」と説明。建設現場で働く日雇い労働者が使用者に暴力的に支配され殺害された3人の遺体が発見された、という事件を例に挙げ、寄せ場を転々とする建設日雇い労働者は、労働組合を作る条件を奪われた働かされ方だと説明しました。現代では補償のないギグワーカーなど、雇われない働き方が広がっています。
 国の新型コロナウイルス感染対策緊急経済対策としての給付金が、住民登録をしていないことでホームレスの人たちに給付されなかったこと、刑事弾圧を受けている労働組合の関西生コン支部については、労働組合としての権利を認めないと裁判所が判決を出してしまうことを挙げ、これらが社会的排除を生み、権利を持つ権利が奪われていると笹沼さんは語りました。
日本国憲法全体がセーフティネットの役割
 笹沼さんは、憲法の具体的な条文を挙げ、「個人の人権を守るために国民みんなで団結し、一人ひとりの人権を保障するという約束をしているのが憲法。『私の自由』をみんなで守るのが日本国憲法憲法11条で基本的人権は侵すことのできない永久の権利だと定めた。憲法第24条の個人の尊厳の前提は、(時代背景として)男性の支配ではなく親の支配でもないということだった。私のことは私が決める、嫌なことには嫌だというということができない人にこそ個人の尊厳を認めるのが日本国憲法。支配から逃げたら路頭に迷うしかない人に憲法25条で生存権を補償し健康で文化的な最低限度の生活を保証した。だから(最低限度の生活を)国に保証を求めるよう言っている。さらに自分の生活を自分で支えることができないとしたら、それは知識と技術を身につけていないから。だから26条の教育を受ける権利で知識と技術を身につけ、(教育で身につけた知識を技術を使って働く)憲法27条で労働の権利が定められている」「今日の会場のようなホールを働いて作ったからこそ、また移動のための鉄道を働いて作ったからこそ、みんなで集まることができた。ハンナ・アーレントは、こういう世界を作るのが働くということだと言った。不利な状況にある労働者を守るために労働条件は法律で定めるものの、労働者が一人で社長に労働法違反だと主張できるか。言えなければみんなで言おうと憲法28条で団結権を定めた。そして、人を働かせて儲けすぎた人からはがっちりと税金をとると29条に書かれている」「日本国憲法全体がセーフティネットになっている。セーフティネットは、サーカスの空中ブランコのネットのようなもの。サーカスのスターは落ちないが、ネットをとったら自由で華麗な演技ができなくなる。この社会で自由に華麗な演技をすることができるようにするために作っているのがセーフティネット」と条文の流れを追って、分かりやすく日本国憲法の意味を解説してくれました。
 関西生コン支部に対する刑事弾圧と闘おうとしないゼネコン社員の労働組合などを批判し、ゼネコンをクビになる心配をする労働者と比べて、「個人加盟のユニオンは回転ドアのようなものと嘆く人がいるが、それでもよいのではないか。自由に出入りできるから自由な幸福追求ができるのではないか。回転ドアがいくつもあれば救われる命が多くなる」と結びました。
 2日目の12月5日には、「組織運営 インターネット・SNS活用」「たのしいユニオン」「反弾圧 労働組合つぶしの大弾圧を許さない」など12の分科会に分かれて、労働組合の活動・運営に必要な課題を学び、交流しました。
 清水直子(執行委員長)

 

【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/precariat.union
twitter https://twitter.com/precariatunion
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAwL8-THt4i8NI5u0y-0FuA/videos

f:id:kumonoami:20211204142528j:plain

f:id:kumonoami:20211205154001j:plain

f:id:kumonoami:20211205154012j:plain