【組合員ﾊﾞﾊﾞｶｦﾙｺさんの手記】音楽活動と両立させようと就職するも、低賃金・女性を軽んじる職場に違和感。春闘で賃上げを実現したい

　大手企業から業務委託をしている、小さな会社で事務をしています。製品の修理を請け負う会社です。顧客リストの作成や書類の整理、それをしながら修理依頼の電話を受けたり、お客様と訪問の日程を調整する仕事です。
　また、私は都内でシンガーソングライターとしても活動しています。平日にライブがあることもあり、仕事帰りにライブハウスに向かうこともあります。
　仕事と音楽活動の両立を考えて、家から近く、残業もほとんどないというこの仕事を始めたのですが、面接から違和感がありました。社長から「ご主人が働いていて、それの補助的な感覚で働くんだよね？」と言われたのです。とにかく仕事をしなければと思っていた私は、内心、「（違うけど）」と思いつつニコニコしてやり過ごしました。初めての事務職、家から近い、残業なし、そして正社員という条件だったので、なんとかしてここで働きたいと思ったからです。ちなみに連れ合いとは事実婚で、選択的夫婦別姓についても活動しています。
■挨拶を返さない男性営業職
　めでたく、「素晴らしい」条件の会社で働き始めましたが、驚くことがたくさんありました。まず、営業の男性の皆さんの横柄な態度。いまだに「おはようございます」の挨拶を１度も返してこない方。不機嫌なときにその気持ちを包み隠さず事務員にぶつける方。わざわざ大きな独り言で事務が受け付けた連絡事項に関して文句をおっしゃる方。女である事務職は電話口のお客様にも気を使いながら、営業が気持ちよく修理に行けるように、面倒な部分、細かい部分に勝手に気がついて手を回して差し上げなければければならない、それが当然、感謝もされない、バカにされ、足蹴にされても耐えて耐えて耐え抜かなくてはいけない。もちろんトイレ掃除は女性事務員の仕事。男子トイレには立ち小便用の便器もあり、それを使ってくださる方もいらっしゃいます。お茶だし、ゴミ捨て。ほんと全てにゴメン被りたい。
　そして、上司は営業職に対しては、一人ひとりに対して今後始まるサービス内容や、変更事項をお伝えしているようですが、私が「聞いていません」と言えば、「いるときに話したよ」とのこと。他の方と遠くで雑談したら、私が事務作業中でも内容が伝わっていることになっているという、認識のヤバさ。「素晴らしい職場だ」と自分に言い聞かせながら働いていましたが、ある日事件が起こりました。
　緊急事態宣言中、外回りの営業職は仕事がなければ１４時に直帰してもいいことになっていました。一方、事務職は社長のお情けで定時が３０分早くなっていました。緊急事態宣言解除後、事務職はすぐさま定時が元どおりの１７時３０分になりましたが、営業は相変わらず１４時直帰もＯＫ！
■労働者が２人で意見したことが卑怯？
　事務は女性４名なのですが「仕事が少ない時、事務職も、一人は１７時半まで残って電話を受けて、他の者は今まで通りの１７時で帰ってもいいのでは？」という意見が出ました。ある日、私ともう一人で直属の上司に意見を伝えに行きました。その時は、上司もその意見に理解を示していましたが、後日、なぜか一人ひとりバラバラに、社長から改めてお呼び出しがありました。一人対上司＆社長という状況で、私たちの意見が飲めないことを順番に説明されました。最後は私が呼び出され、極めつけは「今回のやり方は（赤信号みんなで渡れば怖くない）のような卑怯なやり方だ」と言われ、完全に堪忍袋の尾が切れました。
　プレカリアートユニオンの清水執行委員長は真摯に私の話を聞いてくださいました。そして、給与明細を見た時の「少なっ！」の声が、私を後押ししました。女性で補助的な仕事だからといって貯金できないほどの給料では満足できません。
　現在、賃上げに向けて労働（３６協定締結などの）者代表に立候補しています。選出方法について社長とすったもんだがあり、稲葉書記長が職場に来て、抗議してくださった時はとても心強かったです。道のりは険しくて心折れそうなこともありますが、プレカリアートユニオンに入った自分を誇りに思います。
　ﾊﾞﾊﾞｶｦﾙｺ（組合員）