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フェミニズムは変革を志向し生み出す力、フェミニズムの歴史をわかりやすくまとめた入門書的な1冊 。『フェミニズムってなんですか?』(清水晶子著/文藝春秋)

フェミニズムは変革を志向し生み出す力、フェミニズムの歴史をわかりやすくまとめた入門書的な1冊

フェミニズムってなんですか?』(清水晶子著/文藝春秋

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 「フェミニズムってなんですか?」はフェミニズムの研究者であり東京大学教授の清水晶子氏による1冊です。同氏は、【フェミニズムにとって重要な問いは、フェミニズムが「何であるか」よりもむしろ、「何をするのか」なのです。(本文より引用)】とし、何よりもフェミニズムは改革を志向し生み出す力であるということが重要だとしています。様々な女性の生がある以上フェミニズムの形もまた一様ではありません。本書ではそんなフェミニズムの系譜と歴史的な流れ、現代の課題などをわかりやすく広範に紹介しています。本レビューでは特に重要な2つの点を解説します。
フェミニズムの向かう先は社会/文化/制度であること
 特定の事象に対する個人的な怒りの感情に留まるものを著者がフェミニズムではないとしている点はとても重要です。夜暗い道で事件に遭った女性が、より安全な道を選ぶのは単なる自衛であり、暗い夜道を歩く女性にも非があるのだなどという非難に対し、そもそも、暗い夜道を女性が安全に歩けない状況が問題だとするのがフェミニズムであるという解説は非常に的を得ています。SNS上ではフェミニズムの議論に対し自分個人が攻撃されていると錯覚、過剰反応してしまい、女性嫌悪に陥る男性が相当数見られます。受け手にも発信者側にも正しい理解が必要です。
フェミニズムは全ての女性のものであるということ
 トランスバッシングをするフェミニスト集団も昔から少なくありません。また、セックスワーカーの権利を否定的に考えるフェミニストも見られます。これらの背景にあるのは、家父長制の影響を受けた正しい「女性」なるものの存在ではないでしょうか。フェミニズム自らが正しい「女性」というものを規定してしまうということは、自己矛盾であると同時にフェミニズムそのものの力を奪うことにも繋がると思います。
 本書を読むと、現代に至るまでのフェミニズムを巡る論点を網羅的に把握することができます。特に「攻撃されている」と感じる男性に読んでもらいたい1冊です。

稲葉一良(書記長)

 

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