『私がつかんだコモンと民主主義』は、2022年6月に現職を僅差で破り杉並区初の女性区長となった岸本聡子氏のエッセイです。本書は日本を出て海外のNGOで働き草の根の社会運動に携わってきた著者が感じた疑問や、新自由主義の問題などを運動の視点から伝える1冊です。
■水道民営化によって失われたもの
水道の民営化かもたらした深刻な事例の1つとして「コチャンバの水戦争」が本書では紹介されています。新自由主義的な市場原理の下、貧しい人たちは安全な水へのアクセスを遮断され、ついには生存権すら脅かされてしまいました。耐えかねた住民達は一斉に蜂起、都市機能は停止します。軍や警察の暴力的な制圧により17人の死者を出しながら、遂に水道民営化契約が破棄されるに至った本事案は、世界中で行われようとしている公共事業の縮小、民営化がいかに持たざる者を虐げるかを如実に物語っています。
■岸本杉並区長誕生の意味は大きい
岸本氏は海外のNGOを中心に、長らく新自由主義や市場原理主義に対抗する公共政策、水道政策のリサーチや世界中の市民運動と自治体を繋ぐコーディネートをしてきました。国鉄、郵政と民営化が行われ、地域間格差、貧富の差が拡大し弱者の生活が脅かされるなどここ日本でも新自由主義による弱者の生活破壊は深刻です。本書は2020年に執筆を終えており、当然、杉並区長になることを想定して書いたエッセイではありませんが、福祉をはじめ行政のあり方や地域社会のあり方が問われている今日において、岸本氏の様なリーダーの誕生は大きな意味を持ちます。私たちの生活と密接に繋がった、生身の政治・民主主義についてのあり方を学ぶことができる有意義な1冊です。
稲葉一良(書記長)
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