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ノンバイナリーについての日本で初めてのガイドブック 。『ノンバイナリーがわかる本』(エリスヤング著/明石書店)

ノンバイナリーについての日本で初めてのガイドブック

『ノンバイナリーがわかる本』(エリスヤング著/明石書店


 世の中には様々な性があります。と書くときっと一定数が、性別は男と女だけではないのかなどと反論してくることと思います。ノンバイナリーというアイデンティティがあります。自身の身体的性に関わらず、自分自身や性表現について男性、女性という性別のどちらにもはっきりと当てはまらない、または当てはめようとしない人達を指します。『ノンバイナリーがわかる本 ――heでもsheでもない、theyたちのこと』は、そんな「ノンバイナリー」というジェンダーアイデンティティについての日本で初めてのガイドブックです。著者はクィアでノンバイナリーのトランスジェンダーであり、作家、編集者のエリス・ヤング氏。訳者は上田勢子氏。慶應義塾大学文学部社会学科卒、これまでに様々なLGBTQ+に関する書籍の翻訳を行ってきました。
■誤解や偏見を乗り越えるための知識や現状についてを網羅的に解説
 本書では単にノンバイナリーというジェンダーアイデンティティについての解説に留まらず、歴史的な経緯、世界的な視点、(主に英語圏での)法律や医療の問題、コミュニティの問題などを幅広く紹介しています。セクシャルマイノリティの中で最も世の中に知られておらず、場合によってはLGBTQ+コミュニティの中でも偏見に苦むことがあるノンバイナリーについての重要な視点を網羅しているといえる内容になっています。特に大切だと感じたのは、ノンバイナリーといっても一元的、一様でなくそれ自体がグラデーションをもつアイデンティティであるということです。例えば、男性でも女性でもどちらでもないと考えるケースもあれば、どちらでもあると考えるケースもあり、トランスジェンダーを自認するケースもしないケースもあるということです。このように一見した捉えどころのなさが多くの誤解や偏見を生んでいます。
ジェンダーバイアス断ち切る一助に
 本書を読むことで、ノンバイナリーに関する知識理解が深まると共に、そもそも完全にバイナリーな男性・女性など存在しないのではないかと感じ、自分がこうであると認識していたセクシャリティについて、その強固に見えた土台が実はあまりに脆く危ういものなのだと認識するに至りました。家父長制に基づくジェンダーバイアスはとても強く根深く世の中に浸透しており、知らず知らずのうちにそれが各々の性自認、性表現に大きな影響を与えます。そういったことを踏まえると、本書はその呪縛を断ち切る一助としても有益な1冊であり、特にバイナリーなジェンダーを自認する人は本書を通して自身のセクシャリティについてあらためて思いをめぐらせるのも有意義だと思います。
 稲葉一良(書記長)

 

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