運動を次世代に繋いでいくためにベテランオルグが伝える運動の軌跡と団結への道のり。『ひとのために生きよう！　団結への道』（石川源嗣著／同時代社）

運動を次世代に繋いでいくために
ベテランオルグが伝える運動の軌跡と団結への道のり

『ひとのために生きよう！　団結への道』（石川源嗣著／同時代社）

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　中小企業で深刻な後継者不足が起こり社会問題になって久しく経ちます。当然、この問題は労働組合をはじめとした様々な市民運動、社会運動も人ごとではいられません。『ひとのために生きよう！　団結への道　労働相談と組合作りマニュアル』は、１９８０年から東京東部労組専従書記長、全国一般労働組合全国協議会副委員長、２０１４年時点で全国一般東京東部労組副委員長、ジャパンユニオン委員長、ＮＰＯ法人労働相談センター理事長を歴任する石川源嗣氏。運動を次世代に繋ぐ１冊です。
■「死ぬのがいやなら組織しろ」
　冒頭、戸塚秀夫氏の指摘を引用しながら、「死ぬのがいやなら組織しろ」が闘いの本質であることが示され、強大で戦闘的な労働運動の建設をいかに行うのかという問題意識のもと記されています。単に方法論観念論を語るだけではなく、実際の事例やその社会的背景を客観的に分析し、今後の展望を見据えた視点を示しています。
　また、今の日本で労働運動が低調となっている原因についても紐解き、何故労働組合が必要なのか、どうすれば組織することができるのか、組合を作り、発展させていくことで何を成し遂げることができるのか、を自分事として捉えることができるよう記されています。
■労働相談活動の心構えも
　本書には非常に実践的に労働運動をどう進めていくか、どのように学んで次世代を担っていくかが記されています。また、労働相談を受けるとはどういうことか、どんな心構えで対応するべきかを記した１０項目からなる「労働相談活動での留意事項」は必読で組合の労働法講座でも教材として取り上げ活用させてもらいました。
　著者と同じ東京東部労組のオルガナイザーで同労組初代委員長であった故足立実氏が記した『職場闘争の戦術原則』も今後の組合運動を展望する上で非常に重要な１冊です。
稲葉一良（書記長）