ナショナルセンターの枠を越えた「闘う労働運動」の全国的結集は急務
『石の上にも半生記 総評オルグ50年』(稲村守著/著者)
本を開くと最初の頁に、著者自らの直筆で「21世紀の闘うまともな労働運動を作る最前線の皆さんへ!」と力強く記されていた。「石の上にも半世紀」は稲村守氏による1冊。京都総評を存続させ、国鉄闘争を闘い、中小労働者の様々な労働問題を現場で文字通り半世紀にも渡り闘い続けている大ベテランのオルグがその軌跡を振り返る。先の都知事選では連合東京の政治的姿勢が問題視され運動体としてのあり方への課題が一層大きく露呈したところだが、本書はその連合の結成により次々地方総評が解体される流れに逆らい、闘うまともな労働運動を残していくべく取り組んだ闘いを軸に真に労働者のための運動に取り組んできた著者のその生き様と、思想を当時の文書を中心に再編し、労働運動かはいかにあるべきかを次の世代に伝える1冊だ。
■時代が変わっても変わらぬ弾圧の構図
本書には様々な闘いと弾圧のエピソードが納められているが、それらを読んで1番強く感じるのは、時代は変わっても労働運動が対峙する相手と闘いの構図構造は全く変わらないということだ。与党の既存利益のためには政治運動の暴力的排除も辞さず警察権力もこれに呼応する。現在の労働運動でも依然として使用者からの暴力による攻撃、権力による強制的な排除はなくなっていない。札幌でのヤジ排除事件、都知事選での市民排除もこの延長にある事が分かる。本書では関生へのレイシストを使った襲撃の事例にも酷似する事例が語られている。経営者、権力者は自らのためならばどんな手段も使う。このことは肝に銘じたい。
■労働者のための労働運動拡大のためにも組合内部の民主化は必須
連合傘下の労働組合の中には職場内で第2総務部化し経営と一体となり、労働者の権利の侵害に加担する組合も決して少なくない。労働組合でありながら労働者ではなく権力・使用者に寄り添う大産別の問題は深刻だ。このような労働者の側を向かない労働運動の存在との闘いが実に半世紀以上にわたり行われていたということ、その闘いの実態が本書により語られる。労働者の権利を守るために使用者と闘う、それと同時に民主性を失い1人1人の労働者の側を向かなくなった労働組合を民主的な労働組合に生まれ変わらせる取り組みも非常に重要だと感じる。
本書で次に大きな柱として語られるのは全労協が立ち上げられるまでの経過だ。その中にはつい先日急逝した全国一般全国協議会平賀委員長の名前も幾度も挙げられている。私たちの世代はこうした労働運動の最前線を闘い続ける先達が元気なうちに、まだ現場にいるうちに、直接その口から語られる闘いを聞き自らの糧としさらに次世代に繋いでいく責任がある。本書で語られる闘いの軌跡が歴史に埋もれることのないよう皆で引き継いでいきたい。
稲葉一良(書記長)
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