例えば、芸で身を立てるためには、芸だけに打ち込めば良いというわけではないということ
『生きのびるための事務』(坂口恭平著/マガジンハウス)
本書のタイトルとその内容にいい意味で裏切られた。「生きのびるための事務」は建築家、作家、アーティストである坂口恭平氏が原案者で、漫画は作家、漫画家である道草晴子氏が担当している。事務という言葉を聞いて皆さんは何を想像するだろうか。本書を読むと事務という言葉に対する感覚がまるで変わってしまうこと請け合いだ。
■本当の事務を知ればきっと夢に近づくことができる
本書は、学生時代の坂口氏が自分のやりたいことで生活していきたいと考え、それを実践に移していく過程を追いながら進んでいく。突如、坂口氏の前に現れた優秀な事務員の「ジム」。しかし、ジムは所謂典型的な「つまらない」事務だけを行わない。夢を叶えるためにどのように逆算して動いていくか、ジムの事務に支えられた坂口青年はやがて自らが思い描いた通りの(あるいはそれ以上の)暮らしを実現する。本書で語られる生きのびるための、夢を実現するための「事務」の正体とは一体何だろうか。それはぜひ本書を直接読んで皆さん自身でその答えを見つけてもらいたい。そうすることで、きっと夢や目標に少し近づくことができるはずた。
■向き合うべきは事務
本書を読了して真っ先に思いを馳せたのはまだ20歳そこそこだった頃の自分自身だ。演奏家として大成したいと強く願い様々な努力をしてきたつもりだった。文字通り死ぬほど楽器を練習した。その一方、まったくやっていないという訳ではないものの、この本で語られる「事務」はおざなりにされがちだった。過酷すぎる練習を自身に課すのをやめたころ、演奏の仕事が比較的安定して入り始めたことを思い出す。練習に逃げて向き合うものと向き合えていなかった自分が見えてくる。今もこうして生き残れているのは事務のおかげなのだろうとしみじみ思う。
稲葉一良(書記長)
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