ナイチンゲールの実像を知り「白衣の天使」としてのケアワークを克己していきたい
『超人ナイチンゲール (シリーズ ケアをひらく) 』(栗原康著/医学書院)
ナイチンゲールという人物をご存じだろうか。などと、聞くまでもなくほとんどの方がその存在を知っているもののその功績や人物は正しく理解されているとは言い難い。『超人ナイチンゲール』はアナキズム研究を専門とする栗原康氏による1冊。「ランプの貴婦人」の呼び名でも広く知られ、近代医療統計学、近代看護教育の祖であるナイチンゲールの人物と実態に迫った。
■闘う人としてのナイチンゲールの実像が描かれる
ナイチンゲールは、「女性らしい優しさ」、「献身」、「従順」など家父長制に基づくジェンダー規範を押しつけられその人物やイメージが語られてきた歴史を持つ。本書では神秘主義者であるナイチンゲールがケアの実践の為にあらゆる手段を講じて様々な困難と闘い続ける姿が描かれ続けている。ケアとは、相手に尽くすということではなく、自分自身と相手との境界線を取り払い、正にその人の人格に没入して、ケアの対象そのものとして自分の欲する看護を相手に与えるものであるということが解説されている。ナイチンゲールの看護は「愛国者」として味方の兵の傷を癒やすのではなく、ありとあらゆる事々の病や怪我と対峙した。そして、当然のことながら死者や病人を減らすためには戦争に反対するべきであるという考えを持っていた。本書を読むことで、従順な聖女としてではなく、「女性の抑圧と」、「差別と」、「官僚制と」、などなど、闘う人としてのナイチンゲールの実態とそのとてつもない行動力、意思の力を実感することができる。
ナイチンゲールはジェンダー規範的イメージを押しつけられていたと述べたが、実は、このかつてナイチンゲールが背負わされていたのと同じ「女性らしい優しさ」、「従順」、「献身」というイメージは職業規範として現代のケア労働に従事する労働者にも押しつけられているものだ。看護や介護の現場ではこのような家父長制に基づく支配者に都合の良い職業観の押しつけが多くの労働者を抑圧しており、特に介護の業界で低賃金の原因にもなっている。ナイチンゲールとその目指したケアの正しい姿を知ることはケア労働に従事する労働者の解放の為にも不可欠である。
稲葉一良(書記長)
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