いなばの生活力向上計画 第29回
「こんなケースでも諦めないで」傷病手当金について実践的に解説
毎月生活に役立つ情報をお伝えするこのコーナー、今回は私傷病で休んだとき際の収入を支える「傷病手当金」について少し実践的な解説をします。これまでにも何度も取り上げてきたテーマですが、どんなときに使えるのかより具体的に実践的に解説していきたいと思います。
■労災以外のほぼ全ての怪我・病気での休業時、4日目から収入の3分の2を支給
傷病手当金とは健康保険(社会保険として加入する方)の保険給付で、仕事以外の怪我や病気で休み収入が得られない場合に、その4日目から収入の3分の2を支給する給付です。大雑把に言うと労災以外の体調不良による休業のほとんどがこの傷病手当金でカバーできてしまうことになります。最長支給期間は同一傷病で1年6ヶ月。健康保険に1年以上加入している場合、退職時に傷病手当金を受給していれば、退職後も変わらず受給し続けることができます。以下に注意点と意外な支給されるパターンを紹介します。
■4日間のカウントの仕方に注意
傷病手当は休業「4日目」から支給されます。この4日は暦日で数えます。例えば、月曜日から金曜まで働いている労働者が金曜日から体調不良で仕事に行けない場合、金曜日が1日目。そこから土、日、と数えて月曜日が4日目(ここから支給)となります。金曜日に早退した場合も1日目として数えることができます。実際に働く予定の日だけでなく公休もカウントするところがポイントで、実際の支給に当たっても、勤務予定日、公休日に関わらず支給されます。また、はじめの3日間については有給休暇や季節休暇などで収入が合っても構いません。
■傷病手当金の対象にならなそうで、なるケース
傷病手当は風邪でもコロナでもインフルエンザでも、はたまた転んで怪我をした場合やぎっくり腰などなど、「こんなことでもらえるの」と、思わず言いたくなってしまうほど本当にありとあらゆる怪我・病気による休業で収入が得られないケースで使うことができます。また、「働くには働けるけれど、無理して働くと悪化してしまう」というケースも「労務不能」とみなし支給の対象とされます。「仕事以外の怪我や病気」に支給されると説明しましたが、労災認定が認められにくい職場の人間関係のストレスなどによるメンタル不調や、職業病と認められにくい、重たい荷物を仕事で運び続けての腰痛などによる休業も、労災出ない限り支給対象になります。更に、体調事態は会社が必要な配慮をすれば十分就労可能にもかかわらず、会社が必要な配慮をしない場合にも支給対象となります。「さすがにこれは無理かな」と悩まず、申請することをお勧めします(分からなかったらどしどし相談を)。
今回紹介した通り特に精神疾患などで場合により極めて高いハードルを労働者に課す労災保険に対し、傷病手当金支給までのハードルはとても低いです。この違いは両制度の「就労不能」の定義が大きく異なることが原因です。傷病手当金の場合、就労不能の範囲が労災に比べてとても広くなっているため認められやすくなっているのです。詳しく知りたい方はプレカリアートユニオンのYouTubeチャンネル「プレカリちゃんねる」に詳細な解説動画が上がっているのでぜひご覧になってください。
稲葉一良(書記長)
プレカリアートユニオン労働法講座第4回「労災・傷病手当」その3「私傷病その他に使える傷病手当金について」
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