プレカリアートユニオンブログ

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学ぼう、知ろう、無期転換と雇止めの問題。『雇止め・無期転換の法律実務』(佐々木亮著/旬報社)

学ぼう、知ろう、無期転換と雇止めの問題

雇止め・無期転換の法律実務』(佐々木亮著/旬報社

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 期間の定めのない雇用契約で働く労働者は年々減り続けている。そして、年々増え続けるのが雇止めである。『雇止め・無期転換の法律実務』は、日本労働弁護団幹事長、ブラック企業被害対策弁護団顧問などを務める佐々木亮弁護士の著書。著者はプレカリアートユニオンの顧問でもある。編者は何れも日本労働弁護の城塚健之弁護士、佐々木亮弁護士、潮見卓也弁護士、島崎量弁護士である。
■年々増え続ける雇止め・無期転換逃れの問題を具体的かつ網羅的に解説
 本書では、第1部雇止め事件、第2部無期転換申込権をめぐる問題の2つに分けて雇止めと無期転換に係る問題を具体的事例と判断例、その理由や判断基準についての分析・考察などを交えながら詳細に解説している。
 本書では雇止めを「期間を定めた労働契約(有期労働契約)において、その期間の満了をもって労働契約を終了させる使用者の行為、もしくは、有期労働契約の終了を使用者から宣告された労働者のその状態をいう」、と説明し、無期転換申込権を「労契法18条1項は、一定の要件を満たした有期契約労働者が、使用者に無期労働契約を申し込んだ場合、使用者がこれを承諾したものとみなすという規定である。これを無期転換ルールといい、労働者の申し込みをする権利について無期転換申込権という」と説明する。以下、特に大切だと思った2点をかいつまんで紹介したい。
■更新時に従前より低い労働条件を提示された場合
 労働者が労働条件の不利益変更に応じず、従前通りの条件での契約更新を求めた際、合意が成立しなかった等とし雇止めを行うのは悪徳経営者がよくやる手法である。不当な雇止めは原則として無効である。
 故に使用者はそのリスクを怖れ、労働者に帰責するのである。労働者がのめない条件を突きつけて形の上で労働者が断ったことにしてしまうという手口である。本書を読むことで、これは使用者から従前の労働契約の締結を拒絶したと見なし不当な雇止め問題として争うことができるということが分かる。実際に交渉するなかでもこのケースは度々出てくるので注意が必要だ。
■「解雇された」という言葉の意味
 相談の初動で「解雇された」という言葉を言葉通りに受け取ってはならないということについても本書では触れられている。組合にも「クビになった」、「解雇された」という相談が多いが、その実際は実に様々で退職勧奨、雇止めなどが含まれていることを決して忘れてはならない。解雇なのか雇止めなのかで主張できる権利や闘い方は大きく異なる。本書では、その峻別の必要性と、雇止めとなったとき、更にどのようなルートに分岐しどのような対応を求められるのかが分かりやすく解説されている。
 本書は法律家向けの実務書だが、労働組合活動における相談対応や交渉においても大いに役立つ知識が得られるものとなっている。仲間の団体交渉に出る時のためにも、相談対応の前提となる知識を身につけるためにもぜひ一読して欲しい1冊である。

 稲葉一良(書記長)

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