プレカリアートユニオンブログ

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戦後の中小労働運動を闘いから学ぶ組合活動において重要な「思想性」。『敵には動揺を 味方には確信を 小城修一さんの戦後社会・労働運動史』(『敵には動揺を 味方には確信を』編集委員会)

戦後の中小労働運動を闘いから学ぶ組合活動において重要な「思想性」

 

『敵には動揺を 味方には確信を 小城修一さんの戦後社会・労働運動史』(『敵には動揺を 味方には確信を』編集委員会

cir.nii.ac.jp


 1926年に生まれ、戦後の中小労働運動の勃興期から現代までを闘った社会・労働運動家小城修一氏。同氏は元・全金属労働組合京滋地方本部書記長の肩書きを持ち、またアジア共同行動(AWC)日本連絡会議の元代表としてアジアの国際連帯にも大きな貢献をした。『敵には動揺を味方には確信を 小城修一さんの戦後社会・労働運動史』は、2012年刊行の1冊。本書は当時86歳でなお現役の活動家であった小城に対するインタビュー形式で記されている。本書で語られるのは戦後労働運動の歴史であると同時に、運動に普遍的な考え方や思想である。
■「敵にたいしては動揺をあたえ、味方には確信を与える」
 本書のタイトルにもなっている「敵には動揺を味方には確信を」は小城氏が争議の時はこれが一番大切だと語った言葉に由来する。直接行動を重視し、中小企業における闘いにおいては企業内だけで闘うのではなく企業を越えた団結の力が不可欠であるとしそれを実践して大きな成果を上げた。
 また、団体交渉についても企業内の人間関係のみで行うことの危険さ・非力さを指摘し大衆団交の持つ力を強調する。この考え方に基づく小城氏の闘争は、まさに職場を越えた支援体制を組んで共に企業と闘う今日のコミュニティユニオン運動の原風景である。
■資本家は労災にならない
 労災闘争は階級闘争であるという小城氏の言葉には、はっとさせられた。労災は労働者ばかりが被害に遭い犠牲になり、同じような事故に被災し、また、死ぬ経営者はいない。戦争でも、戦争を決めた人間、いわゆる戦争指導者ではなく死ぬのは現地で闘う一般市民であることの構図と全く同じものであり、起こった事故とその被害への補償を求めるというスタンスではなくそのような構造と対決するという認識が大切だと痛感した。
労働組合における「思想」の大切さ
 また、本書で何より重要だと感じたのは労働組合における「思想性」の重要さである。それは、例えば組合員の共通意識のことであり、政治的なイデオロギーの一致などを意味するものではない。「人を裏切らないこと」、「助け合うこと」、「自分勝手にならないこと(利用主義との決別)」、「差別をしないこと」このような組合主義を組合員間で十分に共有し、育み、それに従って闘う事が出来るかが強く闘う事が出来るか、ひいては労働運動が発展するかの鍵を握っている。差別を許さず、裏切らず、互いに助け合う企業の枠を越えた連帯は社会を変革する力を持っている。
 「本当に困っている人たち、もっとも抑圧された人たちのためになるような運動が必要だ」が小城氏の口癖であったという。その言葉の通り、劣悪な労働環境で働かざるを得ない中小企業労働者の闘いを生涯を賭けて闘い、草の根の国際連帯にも多大な貢献を残した小城氏の軌跡から私たちが学ぶべきものは多い。
 稲葉一良(書記長)

 

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