明治から昭和、日本の労働運動の黎明期における闘いの歴史を次世代に伝える1冊
『語りつぐ東京下町労働運動史』(小畑精武著/旬報社)
東京の下町は日本の労働運動が勃興した地といえる。『語りつぐ下町労働運動史』は小畑精武氏による1冊。小畑氏は1945年生まれで、1984年には日本で初めてのコミュニティ・ユニオンである江戸川ユニオンを結成する。1990年からコミュニティユニオン全国ネットワーク初代事務局長を務めるなど、日本の戦後労働運動の生き字引ともいえるオルグである。本書ではまだ労働運動が権利として認められていなかった戦前の労働運動の知られざる歴史が詳細に、克明に記されている。
■戦前の労働者の激しい闘い 要求と同時にストを決行
1945年、労働組合法が制定され日本で労働組合が合法化・法定化された。しかしながら労働運動自体の興りは明治時代にまで遡る。まだ法的な権利として認められていなかった頃の労働運動は秘密裏に大人しく行われていたのだろうか。答えは否である。戦前の労働運動の活気、華やかさは現代の比ではない。本書でも明治時代の最後を彩った東京市電ストや大正時代の東京モリスンストを始め様々なストライキが紹介されている。当時の労働運動の特色はまさに初めにストライキありきである。要求を掲げると共に大規模な同盟罷業が始まるのである。その人数も数百人以上の規模のものが目立つ。下町の労働運動は法律があるから行われたのではなく、労働者の自然な団結から勃興し徐々にその盛り上がりを見せる。
■忘れてはならない亀戸事件での組合弾圧
下町労働運動史を語る上で1923年9月3日、関東大震災の混乱に乗じ若き社会主義者、南葛労働界の労働運動家たちが権力により亀戸所内で虐殺された「亀戸事件」の話は避けて通れない。労働運動は権力にとっても無視することが出来ないほどに盛り上がりを見せていた。権力は手段を問わずそれを脅かすものや不都合なものの権利を奪うということを忘れてはならない。震災では多くの朝鮮人・中国人も虐殺されている。また、同時代には大島に日本初の労働者コンミューン(協同組合)が結成されている。労働者の自治意識・権利意識の醸成に対し、権力はむき出しの暴力で弾圧を加えた。
弾圧に負けず、震災後も労働運動は下火になることなく脈々と続いていく。昭和初期の争議として有名な野田醤油争議では2000人気簿の大規模ストライキが行われた。また、女性たちも果敢に自らの職場の労働運動を闘った。戦時中も争議件数は減らなかったという。その後、コミュニティユニオンが1980年代にこの地で産声を上げたのは偶然ではなくある種の歴史の必然ともいえる。先人たちの闘いから私たちの闘いは何の上に立つものか、闘うべき対象は何か、何のための労働運動かが見えてくる。小畑氏が継承したこの労働運動の原風景を今度は私たちが次世代に伝えていく必要がある。
稲葉一良(書記長)
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