会社の「常識」、社会の「非常識」。職場でおかしいと思ったことはためらわず声を上げよう
『ブラック企業戦記』(ブラック企業被害対策弁護団著/角川新書)
ブラック企業という言葉が定着して久しい。近年その違法な労務管理姿勢が世間一般の常識や規範を大きく逸脱し、もはや非常識という枠に収まりきらず反社会性を多分に帯びていることを労働相談の現場やそのような会社との交渉を通じてひしひしと感じている。『ブラック企業戦記 トンデモ経営者・上司との争い方と解決法』はブラック企業被害対策弁護団の著書。同弁護団は2013年結成。若手を中心に労働者の身体生命を脅かすブラック企業の違法な労務管理と闘う弁護団である。全国で250人以上の弁護士が参加している。本書ではにわかには信じがたい様々なブラック企業のトンデモエピソードが紹介されている。特に印象に残ったエピソードを簡単に紹介したい。
■壮絶なパワハラ事例に見る経営者の労働者への独善的&非人道的な姿勢
労働相談で最も多いのがパワハラである。第二章「ハラスメントの暴風雨」では小野山静弁護士による妊娠した女性社員への退職強要事件、佐々木亮弁護士による二代目社長からの壮絶なパワハラ事件、鈴木悠太弁護士による”俺”理論を振りかざすワンマン社長のトンデモ懲戒解雇事件と私たちプレカリアートユニオンとも関係の深い弁護士の報告が続く。妊娠した女性は「あなたのためだから」と執拗に自主退職を迫られ、二代目社長は雇用関係と主従関係の判別もつかず、「奴隷になれ!」と平然と労働者の人間性を否定、独善的なワンマン経営者は妻口論になった労働者を懲戒解雇し裁判における書面でも「寄生虫」扱いする。ハラスメントの内容も深刻だが、問題なのは加害者に問題意識が皆無であり、加えて周りがそれを止めることが出来ないということである。パワハラの問題は社内で解決することは中々むずかしい。適切な対応を取り被害をなくすためにもぜひ労働組合に相談して欲しい。
■「命じていなければ残業ではない」というインチキ
第三章「地獄の長時間労働と残業代不払い」では金子直樹弁護士の報告が目を引く。残業代請求事件の中で使用者は「残業代の請求は権利の乱用」と信じられない主張をする。基本給で十分支払っているから一切の残業代休日出勤手当を支払う必要がないのだという。当然こんな理屈が通る余地はないのだが、このような法的に不可能なことを主張する会社は決して少なくない。また、金子弁護士の報告には残業代不払いの会社が最も多く口にする「通らない言い訳」が紹介されている。「残業は自主的にやっていたor命じていないから賃金を支払う必要はない」というものだ。指揮命令の判断は実質的に判断されこのように形式的にしかも、使用者が一方的に決めることは不可能であるにも関わらずブラック企業はこの理論を繰り返し口にする。当然しっかりと追求すれば会社の責任を認めさせることが出来る。
他にも本書は常識を疑いたくなるような事例が沢山紹介されている。この本の帯には「注~これは全て現実にあった話です」と書いてあるが、恐ろしいことに本当にその通りなのである。これらで紹介される事例と酷似した問題に労使交渉の現場で日々直面し続けている。加えて深刻なのはこのような仕様車の暴走のほとんどが職場で放置されている点だ。職場でおかしいと思ったことは大抵「本当におかしい」。ためらわずにすぐに相談してほしい。
稲葉一良(書記長)
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