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トランスバッシングと闘い、言霊の祝福を取り戻す。『言霊の幸う国で』(李琴峰著/筑摩書房)【いなばのブックレビュー】

トランスバッシングと闘い、言霊の祝福を取り戻す

言霊の幸う国で』(李琴峰著/筑摩書房

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 この1冊から明確な強い怒りを感じた。『言霊の幸う国で』は、李琴峰書き下ろしの小説だ。原稿にして実に1000枚、ページ数も約500頁にも渡る大作だ。
 筆者は女性で台湾出身でトランスジェンダーレズビアンであり作家だ。筆者(L)が直木賞を受賞する一連の場面を起点とし、複合的マイノリティとしてコロナ渦であらゆる差別と闘い続けた闘争と葛藤、怒りと祈りの1冊である。
■描かれるネトウヨ化する世の中
 直木賞の授賞式で、忘れたい日本語は何かと聞かれたLは安倍晋三の「美しい国」という言葉を挙げる。その後もSNS等で阿部に対する政治的批判を発信した。ネトウヨはこれらに発狂し、あることないことを捏造し曲解し明らかに破綻した理論を用いながら匿名の攻撃を繰り返す。本書はその罵詈雑言をおそらくそのまま記載している。
 ネトウヨの発言を論理的に紐解き、整合性や論理性について批判を加えたとき圧倒的な反知性と現実社会をありのままに見ることからの逃走が見えてくる。SNSを通じて論理的知性的であるはずの作家までもがネトウヨ化し、Lに無根拠な攻撃を加える。Lはこれらと言論で闘う。謝罪をする者もいれば、深みにはまりどんどん自我が崩壊し(ネトウヨ化し)ネット人格に取り込まれてしまう者もいる。
 本書のサブテーマの1つにこのネトウヨ問題がある。ネトウヨは差別を加速させ暴力を生む。
■差別者の言説と誤り明確に
 また、本書を読むことで、コロナ渦で吹き荒れた激しいトランスバッシングを1つの軸としている。差別者の言説とその誤りと共に正しい知識・理解を得ることができる。L自身も吹き荒れるトランスバッシングのなか、信頼の出来る仲間・友人・恋人にカミングアウトをする。友達とはわかり合えず、偏見の激しさ、自閉化していく個人主義的社会の存在が大きな課題を示す。
 トランスジェンダー当事者の犯罪者化、トイレ問題、やコミュニティ内での力の不均衡など専門書を読むよりこの1冊から学ぶことは多い。この問題についてもLは希望と怒りをもって言論で闘う。
■言葉による扇動、対抗手段も言葉
 本書は小説であるため、具体的なところについての所謂「ネタバレ」的な話はなるべく避けようと思う。タイトルにある「言霊の幸う国」は万葉集に出てくる言葉。大和国(日本)は言霊が祝福をあたえ守護する国という意味である。言葉により人が傷つき命を落としていく。また、言葉による扇動で人が暴力を受け殺されていく。これらに対抗する手段もまた言葉である。
 Lは様々な差別に果敢に自らの言葉を武器に立ち向かっていく。言霊の祝福がこの国にあらんことを、いや、言霊の祝福を信じて「取り戻す」のだ。本書のタイトルからもそんな筆者の怒りを背景にした強い覚悟を感じるのは私だけだろうか。
 稲葉一良(書記長)

 

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