芸能従事者も労働者!労災を拡充し安全に働ける職場に
芸能界での性加害問題が連日報じられている。『芸能界を変える たった1人から始まった働き方改革』は俳優、一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事である森崎めぐみ氏による1冊。性被害・加害の問題を始め芸能従事者の労働の実態と問題、展望を記した1冊である。第1章では芸能従事者の労働実態、第2章ではフリーランス法を代表とする芸能界の働き方改革について、第3章はこれからのあるべき姿、課題を論じている。
■超ブラック企業化する芸能界の働き方
本書の特に第1部には一見して華やかな芸能界の裏が精細に記されている。冒頭にも述べたとおり近頃メディアを賑わす芸能界の性加害問題は正に氷山の一角だということが本書を読むことで見えてくる。また、直接的な暴力、精神的な攻撃などなど。業界ではハラスメントがこれまで漫然と慣習として放置され浸透し蔓延しているといわざるを得ない。結果、ほとんどといって良いほど多くの労働者がハラスメントの被害を訴えているという信じられないような窮状があぶり出される。
本書では、口をつむぎやすい業界従事者がいかに心理的安全性を担保されながら被害を訴えることができるかアンケートの作成に関する著者の努力が描かれているが、その結果をみると言い出しにくい空気は当然だと理解できる。
また、長時間労働の問題も深刻化している。いわば芸能界は超ブラック企業状態に陥ってしまっているということがよく分かる。第1部終盤には悲惨な労災事故死の事例や、アスベスト問題など、が紹介されている。被災事例は具体的で読んでいて胸が痛んだ。
■労災の特別加入など保障の充実は不可欠、慣習を乗り越えて労働者の安全を
第2部では、芸能界の働き方の変化について語られている。第1部で述べたような悲惨な就労環境を鑑みるに労災の任意加入の拡大は急務である。拡大に向けた取り組みや芸能の仕事に対する思い込みなどからくる労災の必要性について理解されにくい問題などについて紹介している。
2021年「一人親方」から「特定作業従事者」、として、一部の職種の芸能従事者の労災特別加入が認められるに至った道のりが記されているが、誰でも安心して働くことが出来るよう更なる権利の拡充が急務だと感じた。終章となる第3部で記されるのは芸能界のこれからについて。長年の慣習の問題などが分析されどのような問題を克服する必要があるか記されている。国連人権理事会から「心の痛む問題である」との声明がなされたことについても紹介されている。また、ロケバスの労働の過酷さについても触れられている。
故ジャニー喜多川氏の言った「ショー・マスト・ゴーオン」という言葉は芸能の世界では古くから当たり前とされてきた言葉だ。私自身も昔、先輩からこの業界は親の死に目にも会えないなどと聞かされて育った。ショーが滞りなく進むことだけを優先しそこで働く労働者の人権が置き去りにされてきた歴史がある。一方で、多くの労働者が消費され、傷つき、使い捨てにされてきた。芸能従事者の人権について社会全体で考え直す時期がきているのではないだろうか。
稲葉一良(書記長)
【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/precariat.union
twitter https://twitter.com/precariatunion
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAwL8-THt4i8NI5u0y-0FuA/videos
LINE労働相談 https://page.line.me/340sctrx?openQrModal=true
