1日1000円で暮らせますか? 桐生市が行った非人道的な人権侵害の記録
『桐生市事件 生活保護がゆがめられた街で』(小林美穂子+小松田健一著/地平社)
生活保護と聞いてまず「不正受給」という言葉が思い浮かんだ方は、この1冊を読んで大いに反省してほしい。『桐生市事件 生活保護が歪められた街で』は、ライターで「つくろい東京ファンド」スタッフの小林美穂子氏、東京新聞の小松田健一氏による1冊。
メディアでも大々的に報じられた違法な生活保護行政の実態についてつぶさに記された1冊だ。この本を読んで、生活保護に関して不正を行っているのは利用者の側よりも圧倒的に行政の方が多いのではないかとあらためて感じている。
■1日1000円で生活しろという非人道的な行政職員の対応
当然だが、今の日本で1日1000円で生活していくことは困難を極める。食費、光熱費、ガス、水道、物価も上がり続ける。行政はこのような人権を無視した残酷な仕打ちを、本人の同意があったと言ってみたり、挙げ句の果てには本人のためなどと言い訳した。
多くの職員が歪んだ生活保護の運用に気がついていたが誰もそれを止めることができなかった。この本では、生活保護を巡る苛烈な水際作戦で尊い命を奪われた方のエピソードも紹介されている。呼んでいてなんともやるせない気持ちになる。
■2011年から低下し続けた保護率、データにも過激な水際作戦の痕跡が
本書によると桐生市の生活保護率は2011年から急激に下降の一途を辿っている。他の自治体でも館林市が2015年からこれに続いている。この2つの自治体は群馬県全体の市町村別保護率の推移の中で明らかに不自然な動きをしている。
生活保護費についての行政の監査のスタンスは不正に支払われていないかがを重視する余湖のような異常な不支給は放置されるに至った。市は高齢受給者の死亡等を理由に挙げているが、属性別で見ると母子家庭が27世帯から2世帯に減るなど明らかに過激な水際作戦が行われていることが数字でも表れている。無理矢理辞退届を書かされるようなケースも相当多かったことが伺える。
■広がる行政からのハラスメント
本書の記載のなかで行われている水際作戦のなかには行政の職員からの市民への虐待、ハラスメントといえる行為が多いことに気がつく。そして、前述の市の言い訳や分かっていながら誰も周りが止められない状況などは職場のパワハラの実情と驚くほど酷似する。行政が権力を振りかざし市民の尊厳を脅かしているということに驚愕し戦慄した。
本書では、自民党が政策として生活保護費の抑制を掲げたことによりスティグマ化が強まったことやその流れについても記されている。人の生きる権利を支え命を守る生活保護がこのように歪められてしまったことについて政治の責任、そのような政治家を政治家にならせてしまった私たちの責任は重い。
私たち市民は問題を可視化させしっかりと声を上げると共に、政治家を監視し命を守る政治を実現していきたい。私たちの命を守るのは私たち自身である。これからもみんなで手を携えて市民の助け合いの輪を広げてきたい。
最後に、本書でも触れられていたが、志半ばでの仲道宗弘司法書士の急逝は本当に悔やまれる。あらためてご冥福をお祈りしたい。
稲葉一良(書記長)
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