政治的でない層を参政党に媒介したのは何か
『女性たちの保守運動』を手がかりに考える
この前の7月13日、参政党の代表が私の地元の柏で演説をするというので、演説会場の柏駅前に向かった。自分の目でいま社会で何が起こっているのかを確かめたかったからだ。柏駅前は、大勢の人のライブ会場のような熱気に包まれていた。参政党の支持者と思われる人には、多種多様な人がいた。気になったのは、女性の数が少なくないことだった。日本国旗を持って、熱心に応援している若い女性もいた。
参政党の代表は「今まで間違えたんですよ。男女共同参画とか」「ジェンダーギャップ指数が日本は低いらしい。そんなこと知ったことか」ということを言っているのに、これはどういうことなのか。この問いの答えに近づくべく、一冊の本を読んでみた。鈴木彩加『女性たちの保守運動』(人文書院、2019年)である。 ここでは、本書で特に重要だと思われる、第4章「「家族の価値」をめぐるポリティクス」の内容を紹介したい。
■「主流派バックラッシュ」と「主婦バックラッシュ」
著者は、女性たちの保守運動の実態を明らかにするため、『正論』『諸君!』など保守系雑誌5誌の、男女共同参画へのバックラッシュ記事 600弱を分析した。それらのなかで、執筆者が「主婦」であることを自称している記事を「主婦バックラッシュ」記事、それ以外を「主流派バックラッシュ」記事に著者は分類する。
「主流派バックラッシュ」記事には、社会や国家が成立する基盤としての「家族」が論じられている。そこでは男女共同参画は国家の基盤となる「家族」を解体するもの、つまり社会秩序を乱すものとして位置づけられている。一方で、「主婦バックラッシュ」記事は、家族の大切さをエッセイ調で述べたものがほとんどであり、国家のための「家族」のあり方といった政治的な内容がほぼ語られていないことを著者は見出した。なかには、夫が自分に対して行ってくれたケア労働のありがたさなど、男女の性別役割を超えた言説も見られた。
■「国家のための家族」言説に媒介
著者によれば「主婦バックラッシュ」記事そのものには、むしろ男女の性別規範を解体し、フェミニズムを推進する可能性をも含んでいたという。そのような「主婦バックラッシュ」記事を書く層と、「主流派バックラッシュ」記事を書く層がどのように接合するのかという考察に本書は向かう。著者はその接合を媒介する知識人たちの言説を炙り出す。たとえば山谷えり子の以下の発言を見てみよう。
「私の家も、母がお雛さまの時期にはちらし寿司を作ってくれたり、(中略)伝統行事を通じて、わが子の幸せだけでなく、連綿と流れる日本民族の幸せをも祈る」。著者によれば山谷などの知識人は、女性たちを「国家のための家族」言説へと媒介する役割を務めたという。
選挙期間中、自分の周りには「参政党を支持する人はばかだ」といった言説も溢れた。その言葉の是非を検討する余裕はここにはない。ただ本書の紹介を通して、何が彼女・彼らを参政党支持へと媒介したか、という方向に注意を向け、批判を行うことは可能であるし、そうすべきだ、と言うことくらいはできるだろうと思う。
R.K(組合員)
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