プレカリアートユニオンブログ

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GSEFボルドー大会とバルセロナ協同組合見学 新しい協同組合の要諦とは 平山昇(プレカリアートユニオン組合員)

組合員の手記
GSEFボルドー大会とバルセロナ協同組合見学
新しい協同組合の要諦とは
平山昇(プレカリアートユニオン組合員)


 この秋にGSEFボルドー大会2025とバルセロナの協同組合見学に行ってきました。GSEFとはGlobal Social Economy Forumの略で、これはグローバリズムと市場主義に対して、社会的経済(多様な協同組合や社会的企業のネットワークによる地域共同体と国境を越えた連帯経済)を創出しようと、2013年に朴元淳ソウル市長が提起した国際フォーラムで、2014年に第1回大会がソウル市で開かれ、今回のボルドー大会は第6回目になります。

■南米・アフリカの存在感の高まり
 私は第1回のソウル大会と第2回のビルバオ大会、そして第6回のボルドー大会に参加したのですが、今回気づいたのは当初は欧米からの参加が多かったのが、南米やアフリカからの参加者が増えていることで、次回大会がブラジルに決まったことを見れば、南米やアフリカで社会的連帯経済が切実になっていると思われました。

■総会と分科会で示された「仕事」と「テリトリー」
 総会では「仕事を創ること」と「テリトリー」の大切さがくり返し強調されて、全体会の後は130くらいの分科会が開かれて、質疑が集中するのは南米やアフリカの国どうしで、すでに社会的インフラがある国と、それらをこれから創り出そうとする国々の差に後者の取り組みの切実さがうかがわれました。

■フランスの新しい協同組合の試み
 大会のオプションでフランスの新しい協同組合を訪問しました。かつてヨーロッパは協同組合の先進エリアでありましたが、1970年代の経済危機の中でいわゆる生協(消費協同組合)はほぼスーパー化されており、現在ではポスト生協としての多様な生産協同組合が模索されています。1930年代に建てられた古い穀物サイロが社会的連帯経済のためのハイブリッドスペースとして再生されて多様な協同組合活動をつなぐハブとなっていたり、旧い公園やホテルを再生する小さな協同組合から、370軒のワイン生産者から葡萄を集めて共同で醸造する近代的で大きな生産者協同組合まで、どこを訪ねてもワインをふるまわれました。

バルセロナ行きとモンドラゴンへの思い
 私にとって今回のフランスとスペイン行きの最大の眼目は、オプションのバルセロナ行きでありました。9年前にバスクでGSEFビルバオ大会開かれた折、私はその大会の目玉であったモンドラゴン協同組合に行きました。1970年代の世界的な不景気の中から1980年代になると新自由主義が登場して、それに対して欧米で注目されたのが、労働者が年収分の出資金を出資する大小多様な協同組合で構成される協同組合群としてのモンドラゴン協同組合でした。

モンドラゴン協同組合の歴史
 モンドラゴンビルバオから45キロメートル離れた龍の形をした山すそにある町で、各種の協同組合によって成るいわば協同組合地域社会といったところで、見学者は山の中の本社でモンドラゴンの歴史を解説する日本語のビデオを見ながら説明をうけました。フランコ体制下の1952年にカトリック司祭のホセ・マリア・アリスメンディアリエタ神父が、家電製品を製造する生産協同組合と協同組合に融資する金融機関を協同組合で立ち上げて、さらに関連企業や学校や病院まですべて生産協同組合としてつくりあげ、さらに1969年に誕生した生協(消費組合)エロスキはスペイン中に店舗を拡大してスペイン第二の小売ストアになりました。

■ファゴールの倒産とビルバオ大会での議論
 しかし私たちが訪問した頃には、モンドラゴンの中心協同組合のファゴールが工場の海外移転などに失敗して倒産状態で、GSEFビルバオ大会2016では、協同組合における効率化や生産性の向上、海外進出や非組合員労働者の増加などが議論になりました。それでも次の日に協同組合群のひとつであるモンドラゴン大學や、そこの卒業生が立ち上げた企業や倒産した会社を労働者が自主再建した企業などを見学して、感動して帰国したものでした。

カタルーニャ協同組合群の視察
 そして今回は、バスクと同様にスペインからの独立運動がある自治区カタルーニャバルセロナの協同組合を見学出来るということで一も二も無く参加したわけです。ボルドーから飛行機で移動してバルセロナ到着の翌日、私たちは『連帯経済への招待:カタルーニャからの視点』の著者のジョルディ・アスティビィ氏から直接話をうかがい、その翌々日にはカタルーニャの新しい消費協同組合連合会を訪問したのですが、そのどちらにおいてもカタルーニャモンドラゴンの協同組合の対比についての質疑が出されました。

バスクカタルーニャの協同組合の違い
 カタルーニャバスクは、スペイン戦争のときはどちらも共和国側でしたが、バスクはスペイン内では工業地帯で造船や製造業といった重工業が盛んな地で、モンドラゴン協同組合は家電製造業ファゴールを中心にした協同組合群で、近年それらの事業所の内部ではマネージャーと組合員評議会との乖離がすすみ、非組合員の労働者も増えてストライキが起こるようにもなりました。

バルセロナの新しい協同組合モデル
 一方バルセロナは、かつては繊維工業などの軽工業や労働運動が盛んな地で、私たちが訪問したバルセロナ市が運営する「BLOC4BCN」は、2012年の経済危機の中から起こった15M運動の時に若者が占拠した古い繊維工場跡に、2015年の選挙で勝利した新しい女性市長がつくった協同組合や社会運動のインキュベーター及び支援施設で、その外観はレンガ造りの昔のままですが、その内部はエレガントで機能的で地域に開かれたものでした。
 その次に訪問した新しい協同組合の連合会もまた元繊維会社の建物にあって、連合会は67の多様な協同組合で構成され、その建物の1階には協同組合運動を支援する金融機関「CO-OP57」が置かれており、その後その周辺にある協同組合の出版社や書店やレストランを訪問したら、バルセロナの協同組合は地域をベースに複合化された新しい協同組合群であり、連合会の理事長がキイワードとして言った「小さいこと」の意義を理解できたところ、日本の協同組合には「政治的中立の原則」がありますが、スペインには無くて、協同組合には「政治」と「労働組合」が必要と思ったところです。
 平山昇(プレカリアートユニオン組合員)

 

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バルセロナ市が運営する社会的連帯経済を支援育成する施設の"BLCO4BCN"

 

左が協同組合の書店、右の建物の中に協同組合の出版社があり、どの建物にもパレスチナ旗が掲げられています

 

社会的連帯経済をつなぐハイブリッドスペースとなった旧い穀物。倉庫、イベントスペースやバーなどもあります