プレカリアートユニオンブログ

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「最初に」個人加盟ユニオンへ。社内通報が機能しない現実の中で――「社内通報窓口」を名乗る理由と、最初に相談すべき場所

社内通報が機能しない現実の中で――
「社内通報窓口」を名乗る理由と、最初に相談すべき場所

 

 1月21日、プレカリアートユニオンはYouTubeライブ番組「プレカリアートユニオンの社内通報窓口」のプレ配信を行いました。
 出演は、執行委員長の清水直子と、書記長の稲葉一良。
 今回はテスト配信という位置づけで、番組の趣旨や、労働相談をめぐる誤解、そして「最初にどこへ相談すべきか」という点について、率直な対話が交わされました。

■なぜ「社内通報窓口」なのか

 番組名に「社内通報窓口」という言葉を使っていることに、違和感を覚える人もいるかもしれません。労働組合がなぜ社内通報窓口を名乗るのか。
 この点について稲葉書記長は、現実の職場で多発している問題を指摘します。社内のコンプライアンス窓口やハラスメント相談窓口に相談した結果、問題が解決しないどころか、相談者自身が攻撃の対象になってしまう例が後を絶たない。苦情を「言わせるだけ言わせて封じる」仕組みとして、社内通報制度が機能してしまっているケースも少なくない、というのです。

 だからこそこの番組は、「本来あるべき通報窓口はこちらです」という意味を込めて、「社内通報窓口」という名前をあえて掲げています。会社の中で声を上げられなかった人が、会社の外で、安心して話せる場所を示すためです。

■コメントと正式相談の線引き

 清水委員長は、番組の位置づけについても丁寧に説明しました。YouTubeライブは公開の場であり、コメント欄に書かれた内容は多くの人の目に触れます。したがって、ここでは一般論や公開を前提としたやり取りに限り、個別・具体的な労働相談はLINEや電話、メールで受け付けるという明確な線引きをしています。秘密は当然守られ、相談内容が勝手に外に出ることはありません。

■労基署に行けば解決する、という誤解

 配信の大きなテーマの一つは、「労働基準監督署(労基署)に行けば問題が解決する」という広く流布している誤解でした。
 清水委員長ははっきりと、「労基署に行って解決する労働問題は、本当に限られている」と語ります。労基署は、労働基準法違反を取り締まるための行政機関であり、いわば“警察”の役割を持つ存在です。人手不足の中で、民事不介入という制約もあり、できることは極めて限定的です。

 賃金の明確な不払いなど、典型的な労基法違反であれば労基署が対応できる場合もあります。しかし、パワハラや解雇といった多くのトラブルは民事の領域に属し、労基署が直接解決できるものではありません。にもかかわらず、「相談に行けば誰かが何とかしてくれる」と期待して訪れ、結果として誤ったアドバイスを受け、さらに傷ついてしまう人が少なくない現実が語られました。

解雇予告手当をめぐる落とし穴

 具体例として挙げられたのが、解雇予告手当をめぐる問題です。
 労基署の窓口で「解雇なら解雇予告手当を請求すればいい」と助言され、そのとおりに請求してしまった結果、「解雇を受け入れた」と解釈され、不当解雇として争えなくなってしまうケースがある。
 解雇予告手当労基法上の制度ですが、解雇そのものの有効性は労働契約法などに基づく民事の問題です。何を目指しているのか(解雇を争うのか、受け入れた上で補償を求めるのか)を整理しないまま動くことの危険性が、強調されました。

■弁護士選びの難しさと、組合の役割

 もう一つの重要な論点は、弁護士選びです。インターネット上には「労働問題に強い弁護士ランキング」があふれていますが、広告費によって作られたランキングも多く、必ずしも労働者側に立った専門家とは限りません。
 労働法は非常に専門性が高く、労働者側で実務経験を積んでいる弁護士は決して多くありません。実際、弁護士に相談したものの誤ったアドバイスを受け、組合に相談し直したらより良い条件で解決できた、という事例も紹介されました。

 プレカリアートユニオンでは、顧問弁護士との連携も含め、「組合としてできること」「弁護士に委ねるべきこと」を整理した上で、最適な道筋を一緒に考えます。加入を強制することはなく、その人にとって最善の選択が何かを基準に対応している点も、繰り返し確認されました。

■「最初に」個人加盟ユニオンへ

 対話を通じて一貫して語られたメッセージは明確です。
 職場でおかしいと感じたとき、一番最初に、交渉力を持つ個人加盟ユニオンに相談してほしいということ。
 元気なうちに相談すれば、労基署に行くべき部分、団体交渉で解決を目指す部分、裁判が必要な場合などを整理できます。逆に、あちこちを回って傷つき切った後では、闘う力そのものが削がれてしまう。

 労働組合は「サービスを受ける場所」ではなく、助け合いの関係の中で、仲間とともに問題を解決していく場です。その過程で、自分一人では持ち得ない力を得ることができる――。
 プレ配信は、そうした労働組合の原点を改めて確認する場となりました。

※本記事は、1月21日配信「プレカリアートユニオンの社内通報窓口」プレ配信の内容をもとに構成しています。アーカイブYouTubeで公開中です。

 

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