30分未満は切り捨てていませんか?
「残業代の大誤解」配信で確認された重要ポイント
2月10日、プレカリアートユニオンのYouTubeライブ「社内通報窓口」では、「30分未満は切り捨てていませんか?残業代をめぐる大誤解!」をテーマに配信を行いました。出演は、執行委員長の清水直子と、書記長の稲葉一良です。
労働相談の中で特に多い三大トラブルは、ハラスメント、解雇、そして賃金不払いです。その中でも残業代不払いは、「自分では気づいていなかった」というケースが非常に多い問題です。今回の配信では、残業代をめぐる典型的な誤解と、チェックすべき具体的ポイントが整理されました。
■30分未満切り捨ては本当に合法か
まず取り上げられたのは、「30分未満は切り捨て」という慣行です。15分単位、30分単位で残業時間を丸めて計算する会社は少なくありません。しかし、労働時間は原則として実労働時間で計算されるべきものであり、恒常的な切り捨ては未払い残業につながる可能性があります。
給与明細を見たときに、毎月の残業時間が「30」「60」「90」といったきれいな数字ばかり並んでいる場合、それは注意信号です。実際に1分単位で計算すれば、端数が出るのが通常です。毎月ぴったり同じ金額、同じ時間というのは、むしろ不自然である可能性があります。
稲葉書記長は、給与明細の数字の並び方そのものが重要な手がかりになると説明しました。端数が全くなく、常に切りの良い数字が並んでいる場合は、機械的に切り捨てられている可能性があります。
■固定残業代の「思い込み」
次に話題になったのは固定残業代です。「うちは固定残業代30時間込みだから、それ以上は出ない」と説明されているケースが少なくありません。
しかし、固定残業代制度は、単に「何時間分込み」と言えば成立するものではありません。どの部分が通常賃金で、どの部分が残業代に当たるのかが明確に区分されている必要があります。また、実際の残業時間が固定時間を超えた場合には、超過分の支払いが必要です。
配信では、「固定残業代100時間」といった極端な例も紹介されました。現在の法制度上、時間外労働には上限規制があり、原則として月45時間を超える時間外労働は例外的な扱いです。それを大幅に上回る固定残業代設定は、そもそも制度の趣旨に反する可能性があります。
固定残業代が無効と判断された場合、固定分として支払われていた金額は基本給の一部とみなされ、改めて残業代を計算し直すことになる場合もあります。つまり、「固定だから払わなくていい」という理解は危険です。
■変形労働時間制の落とし穴
配信では、1か月単位の変形労働時間制についても解説がありました。契約書に「1か月単位の変形労働時間制」と書かれている場合でも、実際に制度の要件を満たしていなければ無効になることがあります。
変形労働時間制では、忙しい日と暇な日をあらかじめ特定し、労働時間を調整する必要があります。単に「忙しい月だから長く働いても残業代は出ない」という扱いは認められません。
制度が無効と判断された場合、本来支払われるべき残業代が発生することになります。特に介護や警備などの業種では、この制度が不適切に運用されている例があることが指摘されました。
■「残業代はお金の問題」ではない
配信で強調されたのは、残業代は単なる賃金の問題ではないという点です。残業代を適切に支払わない構造は、「長時間働かせてもコストが増えない」という発想につながります。
その結果、過労死や重大な健康被害につながる危険があります。残業代をきちんと支払うということは、使用者に長時間労働の抑制を促す仕組みでもあります。
「人件費はタダではない」という基本が崩れると、労働者の命と健康が軽視される社会になります。残業代問題は、労働者個人の損得を超えた、社会的な問題でもあります。
■未払いを見抜くためのチェックポイント
未払い残業があるかどうかを判断するための具体的なポイントも示されました。
・給与が毎月まったく同じ金額で変動がない
・残業時間が常に切りの良い数字
・明細に残業時間の記載がない
・固定残業代の内訳が不明確
これらは、相談現場で頻繁に見られる特徴です。もちろん、個別事情によって判断は異なりますが、「自分は対象外」と思い込まないことが重要です。
■退職強要と結びつくケース
後半では、残業代問題が退職強要と結びつくケースにも触れられました。業績改善計画や過大なノルマを課され、達成できなければ評価を下げられ、精神的に追い込まれていく構造です。
一見すると指導や育成のように見えても、実質的には退職に追い込むための仕組みである場合があります。そのような場合、残業代不払いとセットで違法性が問われることもあります。
配信では、「到底達成できない目標」「漠然とした改善要求」が繰り返される場合には、早めに相談してほしいと呼びかけられました。
■一人で判断しないという選択
残業代の問題は、「みんな同じだから」「会社がそう言っているから」と受け入れてしまいがちです。しかし、法律上のルールは明確に存在しています。
今回の配信で繰り返し伝えられたのは、「給与明細を見直してほしい」「疑問があれば相談してほしい」というメッセージです。
未払い残業代は、過去にさかのぼって請求できる場合があります。ただし、時効もあるため、放置すれば権利が失われる可能性があります。
残業代をめぐる大誤解は、「うちは関係ない」という思い込みから始まります。給与明細の数字を一度丁寧に見直すことが、自分の働き方を守る第一歩です。
本記事は、2月10日配信「残業代の大誤解」の内容を整理・再構成したものです。
残業代は、単なるお金の話ではありません。
働く時間と命を守るための、最低限のルールです。
これまでの配信はこちら。
今後の配信予定
2月18日(水)15:00~17:00 ★14時とご案内していましたが15時開始に変更しました。
2月25日(水)16:00~18:00
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