プレカリアートユニオンブログ

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「助け合う」ということの大切さと強さを今こそ再認識したい。『飢えと子どもドロボー団 満州引き揚げからパルシステム連帯までの半生記』(下山保著/社会評論社)

「助け合う」ということの大切さと強さを今こそ再認識したい

飢えと子どもドロボー団 満州引き揚げからパルシステム連帯までの半生記』(下山保著/社会評論社)

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 様々な社会課題による貧困が「自己責任」とされて久しい。新自由主義経済の中で、今も格差と貧困は拡大し続けている。
 『飢えと子どもドロボー団』は、パルシステム生活協同組合連合会(当時:首都圏コープ事業連合)を法人化し初代理事長を務めた下山保氏の半生を記した自叙伝である。戦争は格差と貧困を拡大し、格差と貧困の拡大は戦争を招く。「はじめに」でも下山氏は「反戦」を強く訴える。

■人を愛する希有なオルガナイザーが繋いだ人の輪、社会的連帯経済としての生協
 著者の経歴は実に「多彩」である。学生運動に参加し、共産党に入党、除籍等を経て社会党の本部書記になり、その後、マンションの自治会運動がきっかけとなり生活協同組合事業に関わるようになる。
 本書のはじめには、全住民参加型の自治会運動を目指し選挙で勝利し自治会長となった著者の奔走が記されている。様々な軋轢や意見の違い、対立などが見られるなか、粘り強く様々な交渉を行った著者は、そんな中でも著者は相手が同じ住民同士であるという視点を決して忘れなかった。
 本書の構成は、その後自治会長としての活動を通じて徐々に生協運動に携わっていく過程を記した第一章から、子ども時代、満州での出来事を振り返る第二章へと遡り、故郷、学生時代、そて、再び生協運動の総括的視点を提示し、最後は趣味の話で締めくくられる。どの章でも様々な仲間たちの人物と活動の紹介に多くの紙幅を割き解説する本書の構成からも、下山氏が人物を愛しつながりを作り、連帯を深めた希有なオルガナイザーであることがうかがえる。

■下山さんの原体験に見る共助の力と自分さえよければの弱さ
 タイトルは、幼少期、満州で育ち敗戦とともに引き上げてくる時のエピソードに由来する。満州で体験した戦争と敗戦。多くの市民が飢えと病と暴力で命を落とす中、下山氏も命からがら日本に引き揚げてきた。どうしても飢えを我慢できず引き揚げ船の中で同じ子供同士でドロボー団を結成し乾パンを盗み腹を満たした。「命を失うよりもあるところから盗め」と同氏は強く主張する。この言葉に、蔓延する新自由主義による自己責任社会への強力なカウンターとしての力を感じた。
 争うのではなく、みんなで生きるために力を合わせ闘う。船上では子どもたちがお互いに何度も話し合い互いの恐怖心を共有し連帯の力でそれを克己していった。今の日本社会では資本家やその価値観を内在化した人々が「自分さえよければ」と平気で人を虐げ搾取し盗む。下山氏のドロボー団はそれと似て非なるものだ。本書を読むと助け合いの強さ、一見得をするようで自分自身の首を絞める「自分さえよければ」という身勝手の弱さについてしっかりと理解することができる。
 戦争の足音が迫っている。「忍び寄っている」などという生やさしい表現では言い表せない危機感を覚える。このような時代だからこそ私たちは助け合い支え合うという価値観、そして、それこそが争うことよりも何倍も生活を豊かにし皆の命を守るという価値観を社会に広げていかなければならない。強者のみが富み弱者が貧困から互いに争いを余儀なくされる、行き過ぎた資本主義社会を脱し、社会的連帯経済を実現することで戦争に抗い市民が互いに尊重し合い社会の実現をともに目指したい。
 稲葉一良(書記長)

 

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