プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

 生命保険をかける前に、社会保険でできることを知ろう 「何となく不安だから保険に入る」を見直す 社内通報窓口(2026年7月2日)より

 プレカリアートユニオンは2026年7月2日、YouTubeライブ「社内通報窓口」を配信しました。出演は執行委員長の清水直子と書記長の稲葉一良です。

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年7月2日17時】生命保険をかける前に社会保険でできることを知ろう 

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 今回のテーマは、「生命保険をかける前に社会保険でできることを知ろう」。
 前回の配信では、物価高が続くなかで家計を見える化し、自分にとって本当に必要な支出を考えることの大切さを取り上げました。今回は、その続編として、「生命保険は本当に必要なのか」「まず知っておくべき公的な保障とは何か」というテーマについて、社会保険労務士の資格を持つ稲葉書記長が解説しました。
■家計を守るには「支出の見直し」も欠かせない
 配信の冒頭では、春闘などを通じて賃上げを求めることはもちろん重要である一方、それだけでは生活を守り切れないという話から始まりました。
 物価高が続く現在、節約だけを求められる風潮もあります。しかし、プレカリアートユニオンが提案しているのは、単なる我慢や節約ではありません。
 自分にとって何が大切な支出なのかを考え、家計を「見える化」し、優先順位を付けながら暮らしを組み立てていくことです。
 使いたいところにはきちんとお金を使い、その一方で、何となく続けている支出は本当に必要なのかを見直していく。その積み重ねが、生活を安定させることにつながります。
 その具体例として今回取り上げられたのが、生命保険でした。
■「何となく不安だから保険」は本当に必要か
 稲葉書記長は、生命保険に加入している人の中には、「何となく不安だから」「勧められたから」という理由で加入している人が少なくないのではないかと問いかけました。
 実際に配信では、稲葉書記長自身もその場でインターネット上の保険見積もりを試したところ、終身の死亡保障付きのがん保険では毎月約1万2000円程度という試算が表示されたことを紹介しました。
 毎月1万円を超える保険料は、年間では十数万円、長期間では数百万円という支出になります。
 そのお金を払い続けるだけの必要性が本当にあるのか。
 まずそこを考えることが大切だと語りました。
 もちろん、生命保険そのものを否定しているわけではありません。
 問題なのは、「何が心配なのか」を整理しないまま加入してしまうことです。
 病気が心配なのか。
 医療費が払えなくなることが心配なのか。
 家族の生活が心配なのか。
 働けなくなることが心配なのか。
 その不安の中身を具体的に考えないまま保険を選ぶのではなく、まずは何が起きたときに困るのかを整理することが必要だと説明しました。
■まず知るべきは「社会保険」
 その上で稲葉書記長が強調したのが、日本の社会保障制度の手厚さです。
 日本では健康保険や雇用保険、年金制度、労災保険など、公的な社会保障制度によって、病気やけが、失業、障害などさまざまなリスクに対する保障が用意されています。
 ところが、その内容を十分知らないまま、「病気になったら大変だから」「がんになったらお金がかかるから」と漠然とした不安だけで民間保険へ加入してしまう人も少なくありません。
 しかし、本当に必要な保障を考えるためには、まず社会保険でどこまでカバーされるのかを知ることが出発点になります。
 公的制度で対応できる部分を理解した上で、それでも不足する部分があるなら、その部分だけを民間保険で補うという考え方の方が合理的ではないかと説明しました。
■死亡保険は誰に必要なのか
 配信では、死亡保障についても具体的に考え方が示されました。
 健康保険には埋葬料など一定の給付がありますが、死亡そのものに対する保障は医療保障ほど手厚くありません。
 一方で、「だから誰でも高額な死亡保険が必要」ということにはならないと稲葉書記長は話しました。
 例えば、小さな子どもがいて、家族の生活を支える収入が一人に大きく依存している家庭では、死亡保障の必要性は高くなるかもしれません。
 しかし、共働き世帯や、一定の蓄えがある家庭では、本当に高額な死亡保険が必要なのかは家族構成や生活設計によって異なります。
 「死亡保険が必要かどうかは、人それぞれの生活設計から考えるべき問題です。」
 そうした視点を持つことが、「何となく不安だから入る」という保険選びとは大きく異なる考え方であることが紹介されました。
■高額療養費制度があることを知っていますか
 配信では、病気になったときに最も多くの人が心配する「医療費」についても詳しく解説されました。
 稲葉書記長は、「がんになったら何百万円もかかるのではないか」「入院したら医療費が払えなくなるのではないか」という漠然とした不安から医療保険へ加入する人が多いことに触れながら、まず知っておいてほしい制度として、高額療養費制度を紹介しました。
 高額療養費制度は、公的医療保険に加入している人であれば利用できる制度です。医療費が高額になっても、所得に応じた自己負担限度額を超えた分は払い戻される仕組みになっています。
 もちろん、差額ベッド代や食事代など、高額療養費制度の対象外となる費用もあります。しかし、「大病をしたら医療費だけで人生が立ち行かなくなる」というイメージだけで判断するのではなく、まずは公的制度がどこまで保障しているのかを知ることが大切だと説明しました。
 制度を知らないまま不安だけが大きくなり、高額な保険料を払い続けてしまうことは、生活設計という観点から見ても望ましいことではないという問題提起がなされました。
■働けなくなったときも公的制度が支える
 続いて話題となったのは、病気やけがで働けなくなった場合の保障です。
 会社員や健康保険加入者の場合、一定の条件を満たせば傷病手当金を受けることができます。
 また、病気や障害によって長期間働けなくなった場合には、障害年金の対象となる可能性もあります。
 稲葉書記長は、こうした制度があるにもかかわらず、「働けなくなったら収入がゼロになる」と思い込んでいる人が少なくないと話しました。
 もちろん、公的制度だけですべての生活費がまかなえるわけではありません。しかし、「何も保障がない」という前提で民間保険を考えるのではなく、公的制度で補われる部分を理解したうえで不足分を検討することが合理的だと説明しました。
 プレカリアートユニオンでも、傷病手当金や障害年金の利用について相談を受けることが多くあります。制度を知らなかったために申請が遅れたり、本来受けられる給付を受けずに生活に困窮してしまったりする事例も少なくありません。
 制度を知ること自体が、生活を守る力になるということが繰り返し語られました。
■「保険に入る前に制度を知る」という順番
 配信では、「民間保険は不要」と言っているわけではないことも改めて説明されました。
 人によって家族構成も違えば、資産状況も違います。子どもがいる家庭と単身世帯では必要な保障も異なります。
 だからこそ、「まず社会保険」「その上で必要なら民間保険」という順番が大切だというのです。
 生命保険会社や保険代理店は、それぞれの商品を販売する立場です。一方、公的制度について詳しく説明される機会は決して多くありません。
 そのため、制度を十分理解しないまま保険だけを検討してしまう人も少なくありません。
 稲葉書記長は、不安を解消するためには、まず社会保障制度を学ぶことが重要であり、それによって本当に必要な保障が見えてくると話しました。
■保険料も「固定費」である
 毎月支払う保険料は、一度契約すると見直す機会が少ない固定費です。
 毎月数千円、あるいは1万円を超える保険料でも、何十年と払い続ければ大きな金額になります。
 だからこそ、「何となく入ったまま」ではなく、自分が加入している保険の内容を確認し、社会保障制度との関係を理解した上で、本当に必要かどうかを定期的に見直すことも生活力の一つだと説明されました。
 生活防衛とは、単に支出を減らすことではありません。自分のお金が何に使われ、どんな保障を得ているのかを理解しながら生活を組み立てていくことです。
 その意味でも、社会保険制度を知ることは、働く人が安心して暮らしていくための土台になるというメッセージが伝えられました。
■家計簿は「節約」のためではなく、自分を知るため
 配信の後半では、家計管理の具体的な方法についても話題が広がりました。
 清水委員長は、自身が現在も家計簿アプリを使って家計管理を続けており、それが約4年間継続していることを紹介しました。
 家計簿をつけ始めたきっかけは、稲葉書記長から「まず家計簿をつけてみよう」と勧められたことでした。
 実際に家計簿をつけ始めると、お金の流れが目に見えるようになり、「何となく使っていた支出」が分かるようになりました。
 何にお金を使っているのかを知ることは、単なる節約ではありません。
 自分が何を大切にしているのか、自分の生活に本当に必要なものは何なのかを知ることにもつながります。
■「米を炊いて冷凍する」ことから始める生活改善
 もう一つ印象的だったのは、自炊についての話です。
 清水委員長は、労働組合の活動で帰宅時間が遅くなることも多く、「忙しいから自炊は無理」と思っていた時期があったと語りました。
 そんな時、稲葉書記長から言われたのが、「どんなに忙しくても自炊はできる。自炊の方が早く食べられるよう段取りを組めばよい。まず米を炊いて冷凍するところから始めてみたらどうか」という助言でした。
 毎日手の込んだ料理を作ろうとすると長続きしません。
 しかし、ご飯だけでも自分で炊いて冷凍しておけば、食費を抑えることができますし、食生活も整えやすくなります。
 生活を改善するためには、小さく始めて継続することが大切なのです。
■「生活力」は誰でも身につけることができる
 配信を通じて一貫して語られていたのは、「生活力」は特別な才能ではないということでした。
 収入が高い人だけが豊かになれるわけではありません。
 また、節約だけを我慢して続けることが生活力でもありません。
 自分の収入を把握すること。
 支出を把握すること。
 社会保障制度を知ること。
 本当に必要な保険を考えること。
 少しずつ自炊を取り入れること。
 家計簿をつけてみること。
 そうした一つひとつの積み重ねが、生活を安定させる力になります。
 稲葉書記長は、「生活力向上計画」は、「普通に安心して暮らしていく力」を身につけるための連載であることを改めて伝えました。
■労働組合だからこそ生活を語る
 今回の配信では、なぜ労働組合が保険や家計について発信するのかという点についても触れられました。
 プレカリアートユニオンには、未払い賃金や解雇、ハラスメントなど、さまざまな相談が寄せられます。
 しかし、その背景には「生活への不安」があることが少なくありません。
 会社を辞められない。
 理不尽なことを言われても我慢してしまう。
 病気になっても休めない。
 こうした状況は、生活基盤が不安定であることと深く結び付いています。
 だからこそ、労働条件を改善することと同時に、生活そのものを立て直す力を身につけることも大切です。
 社会保険制度を知ることも、家計を見直すことも、自炊を始めることも、働く人が安心して暮らすための「生活力」の一部です。
■お金の不安を、一人で抱え込まないために
 今回の配信は、「生命保険に入るな」という話ではありませんでした。
 また、「節約だけを頑張ろう」という話でもありません。
 まずは社会保険制度を正しく知ること。
 漠然とした不安に流されるのではなく、自分に本当に必要な保障を考えること。
 そして、自分の生活を自分自身で少しずつ組み立てていくこと。
 そうした積み重ねが、物価高の時代を生き抜くための「生活力」につながります。
 プレカリアートユニオンは、賃金や労働時間、ハラスメントだけでなく、働く人の生活全体を支えることも労働組合の役割だと考えています。
 生活に不安があるとき、制度が分からないとき、職場で困っていることがあるときは、一人で抱え込まず、ぜひ相談してください。
 ブログにも掲載中の「いなばの生活力向上計画」は、これからも働く人が安心して暮らし、自分らしい生活を築いていくためのヒントを発信していきます。

 

7月9日(木)16時から、プレカリアートユニオンのYouTubeライブの配信を行います。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年7月9日16時】よかれと思ったサービス残業があなたを追い詰める!

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