新入社員、就活中の学生に伝えたいこと
プレカリアートユニオンYouTubeライブ「社内通報窓口」4月7日配信レポート
プレカリアートユニオンは2026年4月7日、YouTubeライブ「社内通報窓口」を配信しました。出演は執行委員長の清水直子と、書記長の稲葉一良です。冒頭では、稲葉書記長がインフルエンザ自体は過ぎたものの、持病の蓄膿の悪化で咳き込むことがあると説明しつつ、新年度最初の配信が始まりました。テーマは、新入社員と、これから就職活動を進める学生に向けて「働き始めるとき、就職先を選ぶときに何を見ておくべきか」を具体的に伝えることでした。
外国人労働者の相談をどう広げるか
配信の前半では、まず外国人労働者向けの相談呼びかけの取り組みが紹介されました。日本語・英語・中国語の3か国語で作成したビラには、「仕事で困っていませんか」「そのままにしないでください」「外国人労働者も日本人労働者も、すべての労働者が相談できます」といった趣旨が書かれており、給料や残業代の未払い、急な解雇、長時間労働、パワハラや暴力などについて相談を呼びかける内容になっています。稲葉書記長は、外国人労働者は言葉の壁もあり、ただでさえ労働組合につながりにくいので、自分たちから生活圏に近づいていく必要があると話しました。職場での差別や暴力は「ちょっといじめられた」という程度ではなく、実際に殴られるなどの深刻な事態も珍しくないとして、そうした被害を「納得して泣き寝入りしているわけではない」人たちとどうつながるかが大事だと強調しました。
清水委員長も、この間の相談や交渉の中で、外国人労働者が特にひどい目に遭っていると感じる場面として、使用者が資格外労働を命じておきながら、都合が悪くなると「資格外労働をしたのだからお前も同罪だ」「違法行為だから強制送還だ」などと脅すことを挙げました。自分でやらせておいて入管に通報するぞと脅すようなやり方は本当にひどい、と率直に批判しています。
4月10日、川口駅前での反差別街宣へ
その流れで、4月10日13時から川口駅東口で行う街宣行動についても告知がありました。稲葉書記長は、プレカリアートユニオンは労働組合として、あらゆる差別に反対しているが、今回は単に「差別はよくない」と言うだけではなく、差別によって職場で被害を受けている仲間に「一緒に立ち上がろう」と呼びかける街頭宣伝にしたいと述べました。外国人労働者を「助ける対象」としてではなく、「国籍が違うだけで同じ労働者、同じ仲間」として捉え、日本人労働者もまた人権を制約されているという点では同じ線上にあり、その中でさらに重層的なレイシズムによってより深刻な被害を受けている外国人労働者の仲間と手を取り合おう、という趣旨であることが説明されました。
清水委員長も、川口駅東口での行動は「外国人労働者も日本人労働者も相談してください。同じ職場で団結して問題を解決していきましょう」「職場の主導権を取り戻せば問題は解決しますよ」ということを呼びかけ、労働相談や来所相談の予約も受ける場にしたいと話しました。簡単な相談であればその場で対応したい、切迫した状態なら柔軟に対応することもできる、とも述べています。
新入社員へ――「初日で辞めてもいい」
後半の中心テーマは、新入社員と就活中の学生に向けた助言でした。稲葉書記長は、新年度が始まったばかりで、昨日今日くらいから働き始めた人も多いだろうと話し、自身も「全然聞いていた話と違う」「これは常識的にやばい」と感じて初日で辞めた仕事があったと振り返りました。そして、本当にまずい会社なら「初日で辞めて大丈夫です」「抜けてきてください、潰されるよ」とはっきり言っています。そのうえで、余裕があれば記録を取りながら、確認ややりとりをして、すぐ相談してほしいと呼びかけました。求人という名前だから安心できるわけではなく、今は平気で違法行為をする会社が目立つ気がするとして、「せっかく苦労して勝ち取った」と感じている内定や新社会人デビューであっても、やばい会社にとってよいことはない、少しでもおかしいと思ったら相談してほしい、と重ねて話しています。
労働条件はどこを確認するべきか
では、何を確認したらいいのか。ここではかなり実務的な話が続きました。稲葉書記長は、どの労働者にも共通するとして、まず残業代がどうなっているか、労働時間が何時から何時までで、どの手当がいくらなのか、意味のわからない名目の手当がないかを確認した方がよいと述べました。入社後であっても「残業代は払われるんですか」と確認し、「コミコミです」などと言われたらかなり怪しい、まず契約書を見て、そこに書いてある何とか手当の中で「何だろうこれ」と思うものがあるかどうかを見るのがわかりやすいとも話しています。特に固定残業代については、何時間分でいくらなのかが別立てで明記されていなければだめで、ただ就業規則に書いてあるだけではだめだと説明しました。
清水委員長は、入社時の説明や採用面接は最初から録音した方がよいと強く勧めました。使わないかもしれないが、その時に「これはこういう内容の手当です」と説明されるので、全部記録しておけば、後で争いにならなければそれでよいし、争いになったときには何と言われていたかが重要になるからです。口頭でも合意は合意なので、面接は全部録音した方がよいと述べました。稲葉書記長も、悪質な会社は口ではいいことを言い、書面では違う内容にしてくることがあるので、面接録音は「疑うため」だけでなく、自分が何を約束されたのか確認するためにも役立つと説明しました。リモートワークができると言っていたのに入ってみたらそうではない、というケースにも触れ、面接で合意した内容とずれがないかを見ることが大事だとしています。
カルト的な新入社員研修には注意が必要
新入社員研修についての話も具体的でした。稲葉書記長は、みんなで海に入る、20キロの重いものを運ぶ、素手でトイレ掃除をするなど、根性論を押しつけるような「カルトっぽい研修」に注意が必要だと話しました。そうした研修は「異常な状態を当たり前にさせて洗脳しようとしている」のであって、「ブラック研修」と呼ばれることもあると述べています。ずっと挨拶の練習やお辞儀の練習をさせるような研修も、単に非効率というだけでなく、服従する練習をさせている面があるのではないかという指摘でした。
清水委員長も、あまりカルト的な研修をやる会社には長居しない方がよいと思うが、ひとまず次が見つかるまで様子を見る人もいるだろうから、その場合でもそうした研修を真に受けないこと、一応従っているようには見せつつも内心では真に受けないでうまくやり過ごすことが大事ではないかと述べました。稲葉書記長は、会社はそうした研修を「有意義でした」などと証拠が残らない形で進めようとするので、できる限り記録を残すべきだと補足しています。
就活中の学生へ――内定、求人、ハラスメントを録音せよ
就職活動中の学生に向けては、就活ハラスメントや内定取り消し、求人詐欺の問題が語られました。清水委員長は、就活ではOB・OG訪問の場などでセクハラされることもあるので、とにかく録音した方がよいと話しました。あからさまなセクハラなら会社に責任を取らせればいいし、就活ハラスメント対策は今は企業に義務づけられているにもかかわらず、相談では「証拠がない」という人が多いとも述べています。稲葉書記長も、就活ハラスメントは法律でやってはいけないことになっていても、現実には洪水のように起きているとし、結婚の予定、結婚後も働くのか、子どもをどう考えるかなど、業務と無関係なことを聞いてくる会社はおかしいと指摘しました。マタハラ的な相談や交渉が増えている背景には、企業の競争激化の中で「一人前に働けない可能性がある人を最初から弾きたい」という欲望が露骨になっている面があるのではないか、という話も出ました。
内定についても、「内定とすることにしました」などの曖昧な言い方をして、厳密には労働契約に至っていない状態にとどめようとする会社があると説明されました。内定は、労働条件を示し、雇用することを確定し、それに双方が合意して初めて成立するのであって、言葉遊びのような表現でごまかされることがある以上、「これで確定なんですか」と確認し、言わせておくことが大事だという話です。録音があれば、本当は内定だったと強く主張できる場合もあるので、ここでも録音が重要だとされました。
求人についても、月給50万円と書いてある求人を見て、入社の際にら35万円を提示された場合、法的には必ず50万円が前提になるわけではない、求人情報は「その金額で雇いたい」という意思表示にとどまり、それ自体が約束されたものではないからだ、という説明がありました。だからこそ、「50万じゃないんですか」とその場で言わなければならず、そこで言えずにサインしてしまうと「それでいいと言いましたよね」となってしまう、と話しています。リモートワークも同様で、「リモート大歓迎」と書いてあっても契約や説明の中で明確に確認しないと、入社後に否定されることがあるので要注意だということでした。
企業内組合があっても、それだけでは安心できない
会社選びに関しては、清水委員長が「労働組合がある会社がいい」と一般に言われるのは基本的にはその通りだとしつつも、それだけでは安心できないとも話しました。企業内組合は、同じ会社で働く人たちをまとめて待遇改善を求めるにはやりやすい面があるが、一方で会社と一体化しやすく、労使協調が強まり、組合員の一人がパワハラやセクハラ、リストラの標的になっているようなときに、徹底的に団体交渉して守るということをなかなかしない場合がある、という指摘です。制度を変えるとか全体の処遇改善の交渉はしても、個別の被害を受けている組合員一人の問題では交渉しない企業内組合が結構ある、とかなり踏み込んだ話になりました。だからこそ、新入社員や就活生には、企業内組合の有無にかかわらず、個人加盟のユニオンに入った方が安心だと述べています。
稲葉書記長は、そもそも「絶対に安全な会社」を選ぶことは無理だと話しました。会社自体はやばくなくても、やばい同僚や上司、取引先がいることもある。だから、どんな会社に入るかだけでなく、どんな会社に入ってもすぐ相談でき、ちょっとおかしいと思ったらすぐ改善できる状況をつくることが必要であり、「どんな会社に入ってもユニオンに入るべきだ」とまで言っています。1年目から春闘で賃上げを要求するくらいのつもりでいた方がいいし、組合に入ったからといってすぐ加入通告しなければならないわけではなく、相談しながら様子を見ることもできると説明しました。組合員であることはプライバシーであり、組合に入っていることを理由に不利益を与えるのは違法だから、就活の後半くらいから入っていてもよいとも話しています。
給料だけで仕事を選ばないということ
終盤では、就活や就職で給料だけを指標にしないことの大切さにも話が及びました。稲葉書記長は、組合には年収200万円以下の人から1000万円近くもらっている人までいろいろな仲間がいるが、収入に比例して豊かになるわけではなく、お金はどう使うか、どうコントロールするか、自分の生活にどう組み込むかが大事だと述べました。昔はアルバイトなら時給が高い方がよいと単純に言えた面もあったが、今は見せかけの賃金の高さや「みなし残業代込み」なども増え、すごく高い賃金には何らかの意味があると考えてよく検証した方がよいとも話しています。
清水委員長も、家計改善や生活設計のことを機関誌やブログで連載している稲葉書記長の話に触れながら、実際の生活費を計算して、自分に何が必要なのかを具体的に考えた上で、どの仕事を選ぶのかを考えた方がよいのではないかと話しました。稲葉書記長も、持ち家や車など「こうあるべき」という幻想に引きずられるのではなく、職業を選ぶということは人生をどう生きるかを決めることでもあるので、稼ぐだけではなく、使う、維持する、コントロールするという視点も必要だと述べています。そうしたことも、異業種の先輩や組合の仲間と交流する中で、自分を客観的に見直す助けになるのではないかという話で配信は締めくくられました。
春闘は賃上げだけではない
後半の後半では、春闘の話にも移りました。清水委員長は、プレカリアートユニオンでは支部のある会社だけでなく、その会社に組合員が一人しかいない場合でも、本人がやりたいと言えば春闘賃上げ交渉を遠慮なくやっていると説明しました。運送会社では賃上げの原資を確保するための新たな仕事について、安全を守る条件をどう整えるかまで含めて交渉している例があり、他にもパワハラ的な管理者対応の是正、不均衡待遇の是正、未払い賃金の解決など、会社や支部の状況によって春闘の中身はかなり多様だと話しました。
さらに、有名な大手小売で働くパート労働者の組合員の例も紹介されました。企業内組合には入っていたが、パート労働者が軽んじられており、意見も十分取り上げられない中で、パート女性労働者の経験や勤続を評価し、賃金に反映させるべきではないかという要求を出していることなどが語られました。春闘は単なる賃上げ交渉ではなく、その職場で何が不合理か、どう変えるべきかを一緒に要求していく場でもあることが、具体例を通じて示されました。
新年度の始まりに、新入社員や就活中の学生に向けて、契約書の見方、録音の大切さ、ブラック研修への注意、就活ハラスメントや内定取り消しへの備え、そして企業内組合があっても個人加盟のユニオンにつながっておいた方が安心だということまで、今回の配信ではかなり踏み込んだ話が続きました。清水委員長も稲葉書記長も、「おかしいと思ったらすぐ相談してほしい」「入ったからすぐ会社に言う必要はない」「準備しておくだけでもだいぶ違う」と繰り返しており、働き始める前から労働組合とつながっておく意味が、具体的な言葉で示された回だったと言えます。
4月21日(火)16時から、プレカリアートユニオンのYouTubeライブの配信を行います。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月21日16時】「介護・調理の職場のハラスメント問題」
youtube.com
ご都合のつく方はぜひご視聴ください。お気軽にコメントもお寄せください。アーカイブもご視聴いただけます。
配信内で答えてほしい質問などありましたらメールでお寄せください。info@precariat-union
※個別・具体的な労働相談については、コメント欄ではなくLINE労働相談で受け付けています。
LINE労働相談 https://page.line.me/340sctrx?openQrModal=true
これまでの配信はこちら。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月7日16時】「新入社員、就活中の学生に伝えたいこと」
https://youtube.com/live/pKvpntT2S2k?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月31日16時】小田原のどかさん(彫刻家・評論家、多摩美術大学支部支部長、副執行委員長)に聞く「労働組合でできること」
https://youtube.com/live/30k2u52YxO4?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月24日18時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(配信し直し)
https://youtube.com/live/8iRgKOU-Ac0?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月17日16時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(中断しました)
https://www.youtube.com/live/7HuCj_dWLQs?si=C_NBgAbaLZaT7IJk
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月11日17時】あのうさんくさい広告に一言!労災、傷病手当を徹底解説
https://youtube.com/live/nj_hochPoX0?feature=share
【補足動画】#プレカリアートユニオンの社内通報窓口【3分30秒から】労働組合に加入できない警察・自衛隊で働く方のハラスメント問題への対応法を解説
https://www.youtube.com/live/dbu7_xNZtDU?si=0yraDoSbsp6Uior8
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月3日15時】まだ間に合う!春闘で賃金を上げよう&賃上げ以外の要求もしよう
https://youtube.com/live/3NkZyhwbrlw?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月25日16時】これって本当にパワハラですか?&パワハラとまでは言えなくてもできることはある!
https://www.youtube.com/live/JlyNXKYv5Hg?si=OjjmibueornBgxlX
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月18日15時】社長、個人加盟のユニオンから団体交渉申し入れ書が届いたらどうしますか?
https://www.youtube.com/live/bcjux8yymBU?si=bWuaEEyQl-FXij0O
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月10日14時】30分未満は切り捨てていませんか?残業代をめぐる大誤解!
https://www.youtube.com/live/JA8frq4By8k?si=uny638HzgqpRy6JG
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月4日14時】解雇なのに退職届は書いちゃダメ!解雇をめぐる大誤解
https://www.youtube.com/live/FkU-NG6F1Hc?si=T-onL9bsl9_oBDbK
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【プレ配信】「最初に」個人加盟ユニオンへ。社内通報が機能しない現実の中で
2026年1月21日(水)16:00
https://www.youtube.com/live/PntU0_rM7jw?si=Sl5K-h6oDV4DDq01
今後の配信予定
4月13日の週はお休み
4月21日(火)16時~18時
4月28日(火)14時~17時
5月4日の週はお休み
5月11日(月)14:00~16:00
【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
ウェブサイト https://www.precariat-union.or.jp/
ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/precariat.union
twitter https://twitter.com/precariatunion
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAwL8-THt4i8NI5u0y-0FuA/videos
LINE労働相談 https://page.line.me/340sctrx?openQrModal=true
