「あなたのためだから」はだましの手口
退職勧奨・PIP・解雇への対応を徹底解説した「社内通報窓口」配信
2026年5月11日、プレカリアートユニオンはYouTubeライブ「社内通報窓口」を配信しました。出演は執行委員長の清水直子と、書記長の稲葉一良です。今回のテーマは、「『あなたのためだから』は、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」でした。
www.youtube.com#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月11日14時】「あなたのためだからは、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」
配信では、日本企業で広がっている退職勧奨の実態や、人事部門による心理的誘導、PIP(業務改善計画)が退職強要に使われる問題、そして「解雇と言われて退職届を書いてはいけない」という重要なポイントについて、実際の相談事例や現場感覚を踏まえて詳しく語られました。
「あなたのためだから」で辞めさせる手口
配信冒頭で稲葉書記長は、日本の一定規模以上の企業では、人事部門が「どうやったら低コスト・低リスクで辞めさせられるか」を研究している実態があると指摘しました。
単純に「解雇だ」と迫るのではなく、「あなたのためだから」「このままだとつらいでしょう」「別の道を考えた方がいい」など、本人を思いやっているように見せかけながら、自ら退職届を書かせる手法が広がっていると説明されました。
プレカリアートユニオンのブログには、元人事担当者が「人事部がどういうことを考えているのか」を告発的に書いた記事が掲載されていることにも触れられました。そこでは、人事部門の中で「どう追い詰めるか」「どう自発的退職に持ち込むか」が共有されている実態が語られていると紹介されています。
心理学的テクニックによる退職勧奨
今回の配信で特に強調されていたのは、退職勧奨の「進化」です。
かつてのような高圧的な恫喝型ではなく、心理学的手法を使って相手の警戒心を解き、「この人は自分を理解してくれている」と思わせながら退職へ誘導するケースが増えていると説明されました。
例えば、人事担当者が突然態度を変え、「今まで本当に大変だったよね」「会社に貢献してくれていたのは分かっている」と共感的に接してくる。そのうえで、「でも今の会社の状況を考えると……」と話を進め、「辞める方があなたのためなのでは」と本人に思わせる形です。
しかも、一度「考えたい」と答えてその場で退職に応じないと、急に態度が冷たくなるケースもあると指摘されました。
稲葉書記長は、「人は『理解されたい』という気持ちを持っているので、『あなたを分かっている』という接し方をされると、かなり影響を受けてしまう」と述べています。
人事担当者にもノルマと圧力
配信では、人事担当者自身もまた、会社から強い圧力を受けている構造についても語られました。
最近は、「退職者を出せなければ自分が切られる」というようなプレッシャーを受けている人事担当者もいるのではないかという話題が出されました。
つまり、人事担当者個人の悪意だけでなく、「辞めさせること」が成果として評価される構造が存在している可能性があるという指摘です。
その結果、本来であれば整理解雇4要件を満たさないようなケースでも、「経営方針が変わった」「この部署はいらなくなった」などの理由で、退職勧奨が乱発される状況が生まれていると説明されました。
「解雇だから退職届を書け」は、だまし
今回の配信で繰り返し強調されたのが、「解雇だと言われても退職届を書いてはいけない」という点です。
清水委員長は、「解雇せざるを得ないと言われたなら、なおさら退職届を書いてはいけない」と述べました。
なぜなら、本当に会社が解雇できる状態であれば、会社は正式に解雇するはずだからです。それをせずに退職届を書かせようとするのは、裁判などで争われるリスクを避けたいからだと説明されました。
また、退職勧奨そのものは違法ではないものの、労働者が断っているのに執拗に繰り返すことは問題になり得るとも語られました。
そのため、「辞めません」と明確に意思表示すること、そして録音などで証拠を残すことが重要だと呼びかけられました。
「会社都合にしてくれるなら辞める」は危険
配信では、退職理由をめぐる注意点も詳しく解説されました。
「会社都合にしてくれるなら辞めてもいい」と考える人は少なくありません。しかし、退職届を書いた後に「会社都合にしてください」と交渉しても、「自分で退職したのだから自己都合だ」と扱われるケースが実際に多数あると紹介されました。
雇用保険上、会社都合退職であれば失業給付が早く支給されますが、自己都合退職では給付制限がかかることがあります。
そのため、安易に退職届を書いてしまうのではなく、まずは退職そのものに同意しないことが重要だと強調されました。
「自分は必要ない人間なんだ」と思わなくていい
配信では、退職勧奨を受けた労働者が強く自己否定感を抱いてしまう問題についても語られました。
「会社から必要ないと言われた」と感じ、「自分には居場所がない」と思い込んでしまう人が非常に多いというのです。
しかし清水委員長は、それは「相手の都合」でしかないと繰り返しました。
経営者が「自分たちに都合が悪い」と思っただけであり、「あなたが価値のない人間だ」という意味では全くない。整理解雇要件も満たさないのに辞めさせようとしているだけだと説明されました。
また、「能力不足」を理由に退職勧奨を受ける人についても、「本当に解雇できるレベルの能力不足なら正式に解雇しているはずだ」と指摘されました。
PIP(業務改善計画)は退職強要の道具になっている
後半では、近年急速に広がっているPIP(Performance Improvement Plan/業務改善計画)の問題が取り上げられました。
本来、業務改善計画は教育・改善のための制度です。しかし日本では、退職強要の手段として使われているケースが多いと説明されました。
例えば、
・「コミュニケーション能力を改善せよ」
・「もっと熱意を示せ」
・「主体性を持て」
など、達成基準が曖昧で、何をすれば達成したことになるのか分からない目標を設定するケースがあると紹介されました。
半年努力しても、「まだ足りない」「むしろ悪化している」と言われてしまえば、反論しにくくなります。
さらに最近では、非常に複雑な評価指標を持ち込み、「何を言っているのか分からないが、とにかく低評価になる」ような仕組みもあると語られました。
PIPの本質は「結論ありき」
清水委員長は、こうしたPIPについて、「結論が先に決まっている」と指摘しました。
つまり、「この人を辞めさせる」という結論があり、そのために「能力不足だった」という証拠を積み上げるために使われるケースがあるということです。
しかも、その評価記録が数年積み重なると、裁判所でも「会社は継続的に低評価をしていた」と見られてしまう危険があります。
そのため、PIPを受けた場合には、記録を残し、できるだけ早く労働組合などに相談することが重要だと呼びかけられました。
「本当に改善のため」の場合もある
一方で、配信では「すべての業務改善計画が違法だと言いたいわけではない」とも説明されました。
実際に、業務上の問題点を改善するため、通常の指導や教育として行われるケースもあるため、「PIPと言われた=即不当解雇だ」と早とちりし過ぎるのも危険だと語られました。
そのため、
・認めるべきことは認める
・改善すべきところは改善する
・しかし、不当な要求は認めない
という整理が重要であり、その判断のためにも相談が必要だと強調されました。
「まず相談してほしい」
配信全体を通じて一貫していたのは、「一人で抱え込まないでほしい」という呼びかけでした。
退職勧奨やPIPを受けると、多くの人が「自分が悪いのではないか」と思い込み、会社の言葉を内在化してしまう。しかし、それは会社側の戦略である場合も少なくない。
だからこそ、
・退職したくないのに退職届は書かない
・面談などの録音を取る
・記録を残す
・早めに労働組合に相談する
ことが重要だと、配信では繰り返し語られました。
「本当に正当に解雇できる状態なら、会社は正式に解雇しているはずだ」という言葉は、今回の配信全体を象徴するメッセージだったと言えるでしょう。
5月19日(火)16時30分から、プレカリアートユニオンのYouTubeライブの配信を行います。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月19日16時30分】「残業代、弁償金、配車差別」運送会社の労働問題と解決事例
ご都合のつく方はぜひご視聴ください。お気軽にコメントもお寄せください。アーカイブもご視聴いただけます。
配信内で答えてほしい質問などありましたらメールでお寄せください。info@precariat-union
※個別・具体的な労働相談については、コメント欄ではなくLINE労働相談で受け付けています。
LINE労働相談
これまでの配信はこちら。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月11日14時】「あなたのためだからは、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」
https://youtube.com/live/nZM3LPqqX7Q?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月28日14時】「知らなかった!未払い賃金・残業代請求のポイント」
https://youtube.com/live/XkF9QqmNnQM?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月21日16時】「介護・調理の職場のハラスメント問題」
https://youtube.com/live/rJyPgkZvmhE?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月7日16時】「新入社員、就活中の学生に伝えたいこと」
https://youtube.com/live/pKvpntT2S2k?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月31日16時】小田原のどかさん(彫刻家・評論家、多摩美術大学支部支部長、副執行委員長)に聞く「労働組合でできること」
https://youtube.com/live/30k2u52YxO4?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月24日18時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(配信し直し)
https://youtube.com/live/8iRgKOU-Ac0?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月17日16時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(中断しました)
https://www.youtube.com/live/7HuCj_dWLQs?si=C_NBgAbaLZaT7IJk
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月11日17時】あのうさんくさい広告に一言!労災、傷病手当を徹底解説
https://youtube.com/live/nj_hochPoX0?feature=share
【補足動画】#プレカリアートユニオンの社内通報窓口【3分30秒から】労働組合に加入できない警察・自衛隊で働く方のハラスメント問題への対応法を解説
https://www.youtube.com/live/dbu7_xNZtDU?si=0yraDoSbsp6Uior8
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月3日15時】まだ間に合う!春闘で賃金を上げよう&賃上げ以外の要求もしよう
https://youtube.com/live/3NkZyhwbrlw?feature=share
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月25日16時】これって本当にパワハラですか?&パワハラとまでは言えなくてもできることはある!
https://www.youtube.com/live/JlyNXKYv5Hg?si=OjjmibueornBgxlX
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月18日15時】社長、個人加盟のユニオンから団体交渉申し入れ書が届いたらどうしますか?
https://www.youtube.com/live/bcjux8yymBU?si=bWuaEEyQl-FXij0O
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月10日14時】30分未満は切り捨てていませんか?残業代をめぐる大誤解!
https://www.youtube.com/live/JA8frq4By8k?si=uny638HzgqpRy6JG
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月4日14時】解雇なのに退職届は書いちゃダメ!解雇をめぐる大誤解
https://www.youtube.com/live/FkU-NG6F1Hc?si=T-onL9bsl9_oBDbK
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【プレ配信】「最初に」個人加盟ユニオンへ。社内通報が機能しない現実の中で
2026年1月21日(水)16:00
https://www.youtube.com/live/PntU0_rM7jw?si=Sl5K-h6oDV4DDq01
今後の配信予定
5月19日(月)16:30~18:30
5月26日(火)15:00~17:00
【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
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