プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

「あなたのためだから」はだましの手口。退職勧奨・PIP・解雇への対応を徹底解説した「社内通報窓口」配信

「あなたのためだから」はだましの手口
退職勧奨・PIP・解雇への対応を徹底解説した「社内通報窓口」配信

 

 2026年5月11日、プレカリアートユニオンはYouTubeライブ「社内通報窓口」を配信しました。出演は執行委員長の清水直子と、書記長の稲葉一良です。今回のテーマは、「『あなたのためだから』は、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」でした。

www.youtube.com#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月11日14時】「あなたのためだからは、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」 


 配信では、日本企業で広がっている退職勧奨の実態や、人事部門による心理的誘導、PIP(業務改善計画)が退職強要に使われる問題、そして「解雇と言われて退職届を書いてはいけない」という重要なポイントについて、実際の相談事例や現場感覚を踏まえて詳しく語られました。

「あなたのためだから」で辞めさせる手口
 配信冒頭で稲葉書記長は、日本の一定規模以上の企業では、人事部門が「どうやったら低コスト・低リスクで辞めさせられるか」を研究している実態があると指摘しました。
 単純に「解雇だ」と迫るのではなく、「あなたのためだから」「このままだとつらいでしょう」「別の道を考えた方がいい」など、本人を思いやっているように見せかけながら、自ら退職届を書かせる手法が広がっていると説明されました。
 プレカリアートユニオンのブログには、元人事担当者が「人事部がどういうことを考えているのか」を告発的に書いた記事が掲載されていることにも触れられました。そこでは、人事部門の中で「どう追い詰めるか」「どう自発的退職に持ち込むか」が共有されている実態が語られていると紹介されています。

心理学的テクニックによる退職勧奨
 今回の配信で特に強調されていたのは、退職勧奨の「進化」です。
 かつてのような高圧的な恫喝型ではなく、心理学的手法を使って相手の警戒心を解き、「この人は自分を理解してくれている」と思わせながら退職へ誘導するケースが増えていると説明されました。
 例えば、人事担当者が突然態度を変え、「今まで本当に大変だったよね」「会社に貢献してくれていたのは分かっている」と共感的に接してくる。そのうえで、「でも今の会社の状況を考えると……」と話を進め、「辞める方があなたのためなのでは」と本人に思わせる形です。
 しかも、一度「考えたい」と答えてその場で退職に応じないと、急に態度が冷たくなるケースもあると指摘されました。
 稲葉書記長は、「人は『理解されたい』という気持ちを持っているので、『あなたを分かっている』という接し方をされると、かなり影響を受けてしまう」と述べています。

人事担当者にもノルマと圧力
 配信では、人事担当者自身もまた、会社から強い圧力を受けている構造についても語られました。
 最近は、「退職者を出せなければ自分が切られる」というようなプレッシャーを受けている人事担当者もいるのではないかという話題が出されました。
 つまり、人事担当者個人の悪意だけでなく、「辞めさせること」が成果として評価される構造が存在している可能性があるという指摘です。
 その結果、本来であれば整理解雇4要件を満たさないようなケースでも、「経営方針が変わった」「この部署はいらなくなった」などの理由で、退職勧奨が乱発される状況が生まれていると説明されました。

「解雇だから退職届を書け」は、だまし
 今回の配信で繰り返し強調されたのが、「解雇だと言われても退職届を書いてはいけない」という点です。
 清水委員長は、「解雇せざるを得ないと言われたなら、なおさら退職届を書いてはいけない」と述べました。
 なぜなら、本当に会社が解雇できる状態であれば、会社は正式に解雇するはずだからです。それをせずに退職届を書かせようとするのは、裁判などで争われるリスクを避けたいからだと説明されました。
 また、退職勧奨そのものは違法ではないものの、労働者が断っているのに執拗に繰り返すことは問題になり得るとも語られました。
 そのため、「辞めません」と明確に意思表示すること、そして録音などで証拠を残すことが重要だと呼びかけられました。

「会社都合にしてくれるなら辞める」は危険
 配信では、退職理由をめぐる注意点も詳しく解説されました。
 「会社都合にしてくれるなら辞めてもいい」と考える人は少なくありません。しかし、退職届を書いた後に「会社都合にしてください」と交渉しても、「自分で退職したのだから自己都合だ」と扱われるケースが実際に多数あると紹介されました。
 雇用保険上、会社都合退職であれば失業給付が早く支給されますが、自己都合退職では給付制限がかかることがあります。
 そのため、安易に退職届を書いてしまうのではなく、まずは退職そのものに同意しないことが重要だと強調されました。

「自分は必要ない人間なんだ」と思わなくていい
 配信では、退職勧奨を受けた労働者が強く自己否定感を抱いてしまう問題についても語られました。
 「会社から必要ないと言われた」と感じ、「自分には居場所がない」と思い込んでしまう人が非常に多いというのです。
 しかし清水委員長は、それは「相手の都合」でしかないと繰り返しました。
 経営者が「自分たちに都合が悪い」と思っただけであり、「あなたが価値のない人間だ」という意味では全くない。整理解雇要件も満たさないのに辞めさせようとしているだけだと説明されました。
 また、「能力不足」を理由に退職勧奨を受ける人についても、「本当に解雇できるレベルの能力不足なら正式に解雇しているはずだ」と指摘されました。

PIP(業務改善計画)は退職強要の道具になっている
 後半では、近年急速に広がっているPIP(Performance Improvement Plan/業務改善計画)の問題が取り上げられました。
 本来、業務改善計画は教育・改善のための制度です。しかし日本では、退職強要の手段として使われているケースが多いと説明されました。
 例えば、
 ・「コミュニケーション能力を改善せよ」
 ・「もっと熱意を示せ」
 ・「主体性を持て」
 など、達成基準が曖昧で、何をすれば達成したことになるのか分からない目標を設定するケースがあると紹介されました。
 半年努力しても、「まだ足りない」「むしろ悪化している」と言われてしまえば、反論しにくくなります。
 さらに最近では、非常に複雑な評価指標を持ち込み、「何を言っているのか分からないが、とにかく低評価になる」ような仕組みもあると語られました。

PIPの本質は「結論ありき」
 清水委員長は、こうしたPIPについて、「結論が先に決まっている」と指摘しました。
 つまり、「この人を辞めさせる」という結論があり、そのために「能力不足だった」という証拠を積み上げるために使われるケースがあるということです。
 しかも、その評価記録が数年積み重なると、裁判所でも「会社は継続的に低評価をしていた」と見られてしまう危険があります。
 そのため、PIPを受けた場合には、記録を残し、できるだけ早く労働組合などに相談することが重要だと呼びかけられました。

「本当に改善のため」の場合もある
 一方で、配信では「すべての業務改善計画が違法だと言いたいわけではない」とも説明されました。
 実際に、業務上の問題点を改善するため、通常の指導や教育として行われるケースもあるため、「PIPと言われた=即不当解雇だ」と早とちりし過ぎるのも危険だと語られました。
 そのため、
 ・認めるべきことは認める
 ・改善すべきところは改善する
 ・しかし、不当な要求は認めない
 という整理が重要であり、その判断のためにも相談が必要だと強調されました。

「まず相談してほしい」
 配信全体を通じて一貫していたのは、「一人で抱え込まないでほしい」という呼びかけでした。
 退職勧奨やPIPを受けると、多くの人が「自分が悪いのではないか」と思い込み、会社の言葉を内在化してしまう。しかし、それは会社側の戦略である場合も少なくない。
 だからこそ、
 ・退職したくないのに退職届は書かない
 ・面談などの録音を取る
 ・記録を残す
 ・早めに労働組合に相談する
 ことが重要だと、配信では繰り返し語られました。
 「本当に正当に解雇できる状態なら、会社は正式に解雇しているはずだ」という言葉は、今回の配信全体を象徴するメッセージだったと言えるでしょう。

 

 

5月19日(火)16時30分から、プレカリアートユニオンのYouTubeライブの配信を行います。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月19日16時30分】「残業代、弁償金、配車差別」運送会社の労働問題と解決事例

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ご都合のつく方はぜひご視聴ください。お気軽にコメントもお寄せください。アーカイブもご視聴いただけます。
配信内で答えてほしい質問などありましたらメールでお寄せください。info@precariat-union

※個別・具体的な労働相談については、コメント欄ではなくLINE労働相談で受け付けています。
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これまでの配信はこちら。
#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年5月11日14時】「あなたのためだからは、だましの手口!退職勧奨、PIP、解雇への対応法」
https://youtube.com/live/nZM3LPqqX7Q?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月28日14時】「知らなかった!未払い賃金・残業代請求のポイント」
https://youtube.com/live/XkF9QqmNnQM?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月21日16時】「介護・調理の職場のハラスメント問題」
https://youtube.com/live/rJyPgkZvmhE?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年4月7日16時】「新入社員、就活中の学生に伝えたいこと」
https://youtube.com/live/pKvpntT2S2k?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月31日16時】小田原のどかさん(彫刻家・評論家、多摩美術大学支部支部長、副執行委員長)に聞く「労働組合でできること」
https://youtube.com/live/30k2u52YxO4?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月24日18時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(配信し直し)
https://youtube.com/live/8iRgKOU-Ac0?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月17日16時】外国人労働者の労働問題・最近の解決事例(中断しました)
https://www.youtube.com/live/7HuCj_dWLQs?si=C_NBgAbaLZaT7IJk

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月11日17時】あのうさんくさい広告に一言!労災、傷病手当を徹底解説
https://youtube.com/live/nj_hochPoX0?feature=share

【補足動画】#プレカリアートユニオンの社内通報窓口【3分30秒から】労働組合に加入できない警察・自衛隊で働く方のハラスメント問題への対応法を解説
https://www.youtube.com/live/dbu7_xNZtDU?si=0yraDoSbsp6Uior8

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月3日15時】まだ間に合う!春闘で賃金を上げよう&賃上げ以外の要求もしよう
https://youtube.com/live/3NkZyhwbrlw?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月25日16時】これって本当にパワハラですか?&パワハラとまでは言えなくてもできることはある!
https://www.youtube.com/live/JlyNXKYv5Hg?si=OjjmibueornBgxlX

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月18日15時】社長、個人加盟のユニオンから団体交渉申し入れ書が届いたらどうしますか? 
https://www.youtube.com/live/bcjux8yymBU?si=bWuaEEyQl-FXij0O

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月10日14時】30分未満は切り捨てていませんか?残業代をめぐる大誤解! 
https://www.youtube.com/live/JA8frq4By8k?si=uny638HzgqpRy6JG

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月4日14時】解雇なのに退職届は書いちゃダメ!解雇をめぐる大誤解 
https://www.youtube.com/live/FkU-NG6F1Hc?si=T-onL9bsl9_oBDbK

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【プレ配信】「最初に」個人加盟ユニオンへ。社内通報が機能しない現実の中で 
2026年1月21日(水)16:00
https://www.youtube.com/live/PntU0_rM7jw?si=Sl5K-h6oDV4DDq01


今後の配信予定
5月19日(月)16:30~18:30
5月26日(火)15:00~17:00


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毎月開催!ウクレレでつながるプレカリアートユニオン。音楽と交流から生まれる「一人じゃない」と思える場所

 「労働組合」と聞くと、団体交渉や労働相談、難しい話し合いの場をイメージする方も多いかもしれません。しかし、プレカリアートユニオンは、働く人が安心してつながり、支え合える居場所をつくることも大切にしています。

 その取り組みのひとつが、毎月開催している無料のウクレレ教室です。

 初心者の方も大歓迎。楽器の貸し出しもあるので、手ぶらで気軽に参加できます。「楽器なんて触ったことがない」という方でも、その日のうちに1曲弾けるようになるほど、丁寧で楽しいレッスンです。

 職場では、なかなか本音を話せないことがあります。仕事の悩み、人間関係、将来への不安――。けれど、音楽を通じて自然に集まる場では、不思議と肩の力が抜け、少しずつ会話が生まれます。

 プレカリアートユニオンには、解雇や残業代未払い、ハラスメントなどの問題をきっかけに加入した人も多くいます。しかし、加入後に「相談だけで終わらず、仲間ができた」「安心して話せる場所ができた」と感じる組合員は少なくありません。

 労働組合は、困った時だけの駆け込み寺ではありません。普段からつながりを持ち、お互いを支え合うことで、職場で孤立しない力をつくる場所でもあります。

 新しい趣味を始めたい方、誰かとつながりたい方、少し疲れている方も、ぜひ気軽にご参加ください。

 プレカリアートユニオンは、一人から加入できる労働組合です。

 

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「つながろう 憲法いかして平和な世界を! 2026 憲法大集会」に参加

5月3日の憲法記念日に、東京・有明防災公園で開催された、「つながろう 憲法いかして平和な世界を! 2026 憲法大集会」にプレカリアートユニオン組合員有志も参加しました。戦争反対。

 

 

以下、写真提供:東京ユニオン

 

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全国ユニオン、連合メーデーに意見書を提出。メーデーの本来の意義を問い直す

全国ユニオン、連合メーデーに意見書を提出
メーデーの本来の意義を問い直す

 

 全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)は、2026年4月24日付で、ナショナルセンターである連合に対し、「第97回連合中央メーデー」に関する意見書を提出しました。

 本意見書は、連合中央メーデーの開催内容案を踏まえ、メーデーが本来持つ「労働者の祭典」としての性格に照らして問題があるとして、組織内での議論を経て提出されたものです。

 意見書ではまず、式典中の「禁止行為」として掲げられているプラカードや横断幕の掲示、野次や掛け声の禁止について問題提起がなされました。これらは過去の来賓発言への批判的意思表示を抑制するための運用であり、労働者が主体的に声を上げる場としてのメーデーのあり方と矛盾するのではないでしょうか。

 さらに、メーデーの起源が1886年のアメリカ・シカゴにおける8時間労働を求めるストライキにあることに触れ、労働者の権利を求めて声を上げる歴史的意義を確認した上で、現在の運営がその理念から乖離しているのではないかと指摘しています。

 また、来賓として登壇する政治家の発言内容や立場についても言及し、労働者の権利や平和の実現と必ずしも整合しない姿勢が見られる中で、連合が政権に過度に寄り添うことにより、メーデーの理念が形骸化する懸念を示しています。

 その上で、こうした運営が結果として労働者の権利擁護や平和な社会の実現に向けた取り組みの後退につながるのではないかとの危機感が表明されています。

 全国ユニオンは、2024年にも同様の問題提起を行っており、今回あらためて意見書を提出した背景には、状況が改善されていないという認識があります。連合に対しては、労働者を中心としたメーデーの本来の姿を取り戻すため、組織内での真摯な議論を求めています。

 全国ユニオンは今後も、労働者の声が尊重される運動のあり方を追求していきます。

 

 

 

 

 

 

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雨天の中、新宿で街宣を実施、渋谷で交流会へ。5月1日・全国ユニオンメーデーアクション報告

雨天の中、新宿で街宣を実施、渋谷で交流会へ
5月1日・全国ユニオンメーデーアクション報告

 

 2026年5月1日、プレカリアートユニオンが加盟する産別の全国ユニオンはメーデーアクションを実施しました。当初はJR新宿駅南口での街宣を予定していましたが、当日は雨天となったため、急きょ東南口の屋根のある場所に集合し、街宣を行いました。

 雨の中での実施となりましたが、参加した組合員はそれぞれの現場の課題や労働条件の改善を訴え、足を止めた通行人に対して丁寧に呼びかけを行いました。

 その後、11時30分に予定していた東京駅丸の内北口での街宣は、天候の影響により中止となりました。

 午後は13時から、渋谷の居酒屋に会場を移し、交流会を実施しました。急な予定変更にもかかわらずプレカリアートユニオンからも多くの組合員が参加し、各職場での取り組みや課題、最近の交渉状況などについて活発な意見交換が行われました。

 交流会は初参加の組合員も含め、和やかな雰囲気の中で交流を深めることができました。街宣が十分にできない状況ではありましたが、その分、組合員同士のつながりを強める貴重な機会となりました。

 全国ユニオンは今後も、現場の声を社会に届けるとともに、組織の拡大と連帯の強化に取り組んでいきます。

 

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以下、写真提供:東京ユニオン

 

知らなかったでは済まされない。未払い賃金・残業代請求のポイントを徹底解説(4月28日配信レポート)

知らなかったでは済まされない

未払い賃金・残業代請求のポイントを徹底解説(4月28日配信レポート)

 2026年4月28日、プレカリアートユニオンはYouTubeライブ「社内通報窓口」を配信しました。出演は執行委員長の清水直子と書記長の稲葉一良です。配信は、雨に濡れて体調を崩した清水委員長の雑談や、プリンや差し入れの話題から始まり、視聴者との距離の近さを感じさせる雰囲気の中で進行しました。

www.youtube.com

春闘の現状と中小企業の厳しい交渉状況

 今回の配信では、春闘の途中経過の報告とともに、未払い賃金・残業代の問題がテーマとして取り上げられました。稲葉書記長は、メーデーを区切りとする従来の春闘の流れに触れつつも、中小企業を中心に交渉する組合にとっては、4月末時点はまだ「中間点」であると説明しました。

 大企業ではすでに回答が出る時期である一方、中小企業では交渉が継続しており、むしろこれからが正念場であるという認識が示されました。また、物価上昇の影響により企業の利益が圧迫されている中で、賃上げ交渉は全体的に厳しい状況にあると指摘されました。

 一方で、賃上げが難しい場合でも、未払い賃金の是正や労働条件の改善によって実質的な賃上げにつながるケースがあることが強調されました。例えば、これまで切り捨てられていた残業代を支払わせることで、数%から場合によっては10%以上の賃上げに相当する効果が生まれると説明されています。

未払い賃金が発生する三つの典型パターン

 稲葉書記長は、未払い残業代が発生する原因について、大きく三つのパターンに整理して説明しました。

 第一に、休憩が実際には取れていないにもかかわらず、機械的に1時間分の休憩が控除されているケースです。電話対応をしながら食事を取るなど、労働から完全に解放されていない状態は休憩とは認められず、本来は労働時間として扱われるべきであるにもかかわらず、賃金が支払われていない実態があると指摘されました。

 第二に、労働時間の切り捨てです。例えば始業前の準備時間や朝礼、あるいは15分未満の時間を切り捨てるといった慣行が挙げられました。就業規則に「始業時間までに働ける状態にしておく」といった規定がある場合、その準備時間自体が労働時間に該当するにもかかわらず、賃金が支払われていないケースが多いとされています。

 第三に、賃金の支払い方そのものに問題があるケースです。その代表例として固定残業代制度が取り上げられました。

固定残業代の問題点と無効となる典型例

 固定残業代とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度ですが、その運用には厳格な要件が必要です。しかし実際には、これらの要件を満たしていないケースが多く見られると説明されました。

 例えば、「残業代込みで30万円」といった表示のみで、何時間分の残業代なのかが明示されていない場合、残業代としては無効となり、結果として一切支払われていないのと同じ扱いになると指摘されています。また、月200時間といった過剰な時間を固定残業として設定する場合も、公序良俗に反し無効とされる可能性があります。

 さらに、基本給と残業代の区別が不明確なケースや、「業務手当」などの名目で残業代が含まれていると主張するケースについても、内容が明確でなければ無効と判断される余地があると説明されました。

 このように、固定残業代制度は適切に運用されていない場合が多く、むしろ未払い賃金を生み出す構造になっていると指摘されています。

固定残業代がもたらす実質的な賃金低下

 固定残業代は、見かけ上の給与額を高く見せるために利用される場合があるとも述べられました。求人時に「残業代込み」で高額に見せることで応募を集める一方、実際には基本給が低く抑えられているケースがあるとされています。

 また、実態として常に固定時間を超える残業が発生している場合、その制度自体が合理性を欠き、残業代の支払いを回避するための手段として機能している可能性があると指摘されました。

 さらに、固定残業代は一度導入すると簡単には廃止できず、企業にとってもリスクがある制度であることが説明されました。

労働者の権利放棄は認められない

 配信では、労働者自身が「休憩はいらない」「残業代はいらない」と考えていたとしても、それによって権利が消滅するわけではないという点も強調されました。

 労働基準法や最低賃金法は強行法規であり、労働者の合意によっても下回ることはできません。仮に念書などで権利を放棄したとしても、それは無効となる可能性が高いと説明されています。

 また、企業側が「休憩は取らせていたはず」と主張するだけでは足りず、どのように休憩を確保していたのかを具体的に説明できなければならないとされました。

名ばかり管理職と残業代未払い

 後半では、名ばかり管理職の問題が取り上げられました。管理職と管理監督者は異なる概念であり、残業代の支払い義務が免除されるのは、厳格な要件を満たす管理監督者に限られると説明されました。

 例えば、労働時間の管理を受けず、自ら裁量で働き方を決定できることや、経営に近い権限を持っていること、待遇がそれに見合っていることなどが必要とされます。しかし実際には、店長や主任などの役職名だけで管理職とされ、残業代が支払われないケースが多く存在すると指摘されました。

 このようなケースでは、実態として管理監督者に該当しないため、残業代の未払いが発生している可能性が高いとされています。

未払い是正は大幅な賃上げにつながる

 配信全体を通じて強調されていたのは、未払い賃金の是正が大きな経済的効果を持つという点です。単純なベースアップでは数%にとどまる場合でも、未払い賃金を取り戻すことで10%から20%、場合によってはそれ以上の改善につながることがあると述べられました。

 また、労働時間の短縮と賃金水準の維持・向上を同時に実現することも可能であり、そのためには個人で抱え込まず、労働組合に相談することが重要であると繰り返し呼びかけられました。

個人加盟ユニオンの役割

 最後に、プレカリアートユニオンのような個人加盟の労働組合が、こうした未払い賃金や労働条件の問題に対して具体的な成果を上げていることが紹介されました。

 大企業のような大幅な賃上げとは異なる形であっても、労働条件全体の改善を通じて実質的な賃上げを実現している事例があることが示され、労働者一人ひとりが交渉主体となることの重要性が強調されました。

 配信は、未払い賃金の問題が決して特別なものではなく、多くの職場に共通する構造的な問題であることを具体的に示しつつ、対処の方向性を明確に提示する内容となっていました。

 

5月11日(月)14時から、プレカリアートユニオンのYouTubeライブの配信を行います。
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https://www.youtube.com/live/7HuCj_dWLQs?si=C_NBgAbaLZaT7IJk

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月11日17時】あのうさんくさい広告に一言!労災、傷病手当を徹底解説
https://youtube.com/live/nj_hochPoX0?feature=share

【補足動画】#プレカリアートユニオンの社内通報窓口【3分30秒から】労働組合に加入できない警察・自衛隊で働く方のハラスメント問題への対応法を解説
https://www.youtube.com/live/dbu7_xNZtDU?si=0yraDoSbsp6Uior8

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年3月3日15時】まだ間に合う!春闘で賃金を上げよう&賃上げ以外の要求もしよう
https://youtube.com/live/3NkZyhwbrlw?feature=share

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月25日16時】これって本当にパワハラですか?&パワハラとまでは言えなくてもできることはある!
https://www.youtube.com/live/JlyNXKYv5Hg?si=OjjmibueornBgxlX

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月18日15時】社長、個人加盟のユニオンから団体交渉申し入れ書が届いたらどうしますか? 
https://www.youtube.com/live/bcjux8yymBU?si=bWuaEEyQl-FXij0O

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月10日14時】30分未満は切り捨てていませんか?残業代をめぐる大誤解! 
https://www.youtube.com/live/JA8frq4By8k?si=uny638HzgqpRy6JG

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【2026年2月4日14時】解雇なのに退職届は書いちゃダメ!解雇をめぐる大誤解 
https://www.youtube.com/live/FkU-NG6F1Hc?si=T-onL9bsl9_oBDbK

#プレカリアートユニオンの社内通報窓口 【プレ配信】「最初に」個人加盟ユニオンへ。社内通報が機能しない現実の中で 
2026年1月21日(水)16:00
https://www.youtube.com/live/PntU0_rM7jw?si=Sl5K-h6oDV4DDq01


今後の配信予定
5月4日の週はお休み
5月11日(月)14:00~16:00


【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
プレカリアートユニオン
〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内
TEL03-6273-0699 FAX03-4335-0971
メール info@precariat-union.or.jp
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ブログ https://precariatunion.hateblo.jp/
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プレカリアートユニオンホームページをリニューアルしました!(不具合により旧ホームページが表示されなくなっています)

 

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