プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

明日3月25日(土)、SOGIハラ学習会+トーク「SOGIハラは労働問題 トランスジェンダーにフォーカスして」

明日のSOGIハラ学習会+トークのご案内です。
ぜひご参加ください。オンラインでの参加も受け付けています。

プレカリアートユニオン主催 SOGIハラ学習会+トーク
「SOGIハラは労働問題 トランスジェンダーにフォーカスして」
第3回は、対面で開催。労働相談もできます(第1回1月14日、第2回2月11日はオンラインで開催)。

日程:2023年3月25日(土)13時15分~15時40分
会場:新宿二丁目足湯cafe&bar どん浴
   東京都新宿区新宿2-7-3ヴェラハイツ新宿御苑203
   ※車いすでお越しの方は、靖国通り側の入り口には階段がありますので、新宿通り側の入り口からお越しください。
参加費:無料 ※ただし、お店に飲食の注文をお願いいたします。
要申込:https://forms.gle/tBjYMg6wStfDXuLz8

講師:森本ひかる(組合員・演技指導者・アクティビスト・ライター)
ゲスト:SOGIハラにより休職し団体交渉を経て復職を実現したトランス女性の組合員、浅沼智也(組合員・看護師・映画監督)
司会:小田原のどか(組合員・多摩美術大学支部支部長)
対象:トランスジェンダーに対するSOGIハラに関して、SOGIハラの労災認定に関して学びたい方どなたでも。組合員以外の方もご参加いただけます。

【SOGIハラスメント】
SOGIハラとは【性的指向】と【性自認】という、誰もが何らかの形で持つ要素(注1)に対し行われる侮蔑的な言動です。事業者にはパワハラ防止法によりSOGIハラの防止義務が課されており、2022年にプレカリアートユニオン組合員がSOGIハラの労災認定を勝ち取りました。プレカリアートユニオンによる本勉強会では、SOGIハラという労働問題に対して、現在主流になっている「SOGIハラとは何か」からもう一歩突っ込んだ内容をお届けします。
内容は、
<講座>「なぜSOGIハラは起きるのか」に関する、個人が無意識に持つ差別的な思想・社会構造
<スピーカーとのトーク> 「SOGIハラが起きたらどうすればいいのか」に関し、実際に労災認定を勝ち取った組合員や関係者の経験談

労災認定を勝ち取ったこともあり、本勉強会は<トランスジェンダーに対して発生するSOGIハラにフォーカス>した内容とします(注2)。
本勉強会に参加して、トランスジェンダーに対するSOGIハラへの一歩深い理解を手に入れてみませんか?
SOGIハラに困っている・発生を心配している当事者の方も参加大歓迎です。労災認定の経緯を知って、(もしもが無いことを望んでいますが)もしもの場合に備えましょう。
(開催後、プレカリアートユニオンブログや機関誌で講座の概要を公開する予定もございます)。

注釈
(注1)性的な指向が誰にも向かない無い方や、特定のジェンダーを自認しない方々もいます。
(注2)冒頭に述べたように、SOGIハラは性のあり方問わず誰にでも起こりえて、誰に起こっても重大な労働問題です。ですが今回は、トランスジェンダーへのSOGIハラに対する深い理解を得ることを目的にトランスジェンダーのみにフォーカスする内容にしています。

 

組合員のSOGIハラ労災認定件で記者会見し、多数のメディアで報道されました【当日の動画公開】
https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2022/11/11/121806

Trans Rights Are Human Rights トランスジェンダーの人権・プライドのためのメッセージ
https://youtu.be/KKwrPbpSPlc

Stand With Pride 作詞・作曲:稲葉一良 歌:清水直子
https://youtu.be/5IUZM1hpsNY


【労働相談は】
誰でも1人から加入できる労働組合
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〒160-0004東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
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雇止め問題、未払い賃金問題などについて交渉していた東京都内で保育園を運営する(株)トキと和解!

雇止め問題、未払い賃金問題などについて交渉していた東京都内で保育園を運営する(株)トキと和解しました。雇止めは撤回、未払い賃金も支払われ、業務中に園児から眼鏡を破損された件についても解決することができました。

 

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未払い賃金問題について交渉と裁判も行っている埼玉県内の運送会社と組合員のうち1人の件について和解!

未払い賃金問題について交渉と裁判も行っている埼玉県内の運送会社と、組合員3人のうち1人の件について、組合員本人が納得できる水準で和解することができました。これに伴い、当該組合員については裁判を取り下げ、これまでの不当労働行為問題についても東京都労働委員会への不当労働行為救済申立を取り下げて解決することができました。引き続き、残る組合員2人の未払い賃金請求訴訟、労働条件の維持向上に取り組み、職場で仲間を増やせるよう尽力していきます。

 

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【組合員の手記・解決報告】パワーハラスメント問題、未払い賃金問題について交渉していた運送会社の(株)フレッシュロジスティックスと和解!

パワーハラスメント問題、未払い賃金問題について交渉していた運送会社の(株)フレッシュロジスティックスと和解しました。同社で2人目の加入・解決です。

フレッシュロジスティックスで働くドライバー、倉庫作業に従事する皆さん、パワハラ、未払い賃金問題を解決し、安心して働ける職場にしましょう。

 

【組合員の手記・解決報告】

ハラスメントで職場去る仲間に心痛め、長時間労働で我慢の限界超える

 プレカリアートユニオンの皆様、2022年9月30日に入会いたしました、Mと申し ます。はじめまして。私は、現職のトラックドライバーです。今年で運転手歴31年目になってしまいました。私がこの業界に入りたての頃は、まだバブル経済の最中でしたから、休日もろくに取らず、寝る 時間も惜しんでひたすら稼ぐために仕事をしていたと思います。今では、あり得ない現実ですよね。⻑時間労働なんて問題になるどころか、それが当たり前の業界でした。ですが、完全出来高制みたいな ところがあり、やればやっただけその功績としてお給料に反映されていたので、モチベーションは上 がっていました。ですから当然のごとく、労働基準法など自分には関係ないと思っていました。

 ■時代の変化と共に変わっていく労働環境

 現職の会社に勤めるまでに、数社の転職を繰り返し今に至ります。当然のごとく自分なりに労働条件をより良いものにする為に転職をしてきました。しかし、結果としては決して労働条件が良くなったとは言えません。時代の変化に、私自身がそれほど真剣ではなかったんですね。

 現職勤務5年目、恵まれない上司のもとで 30年も同じ業界で仕事をしていると、それなりの知識と経験は身につくものです。当然、意見が合わず、不満が出るのは当たり前のこと。私は文句を言わず、与えられた業務に責任もって、自分のスキルを使って取り組んでいました。にも関わらず、上司らはそれを認めることもなく、聞く耳を持つことをせず、意見をすると罵声を浴びさせられたり、時には無視。自身の保身のために問題を都合よく解釈し、うるさい奴らにはキツイ配車にあてがわられたりなど、ハラスメント的要素たんまりな職場環境で、ずっと我慢してました。時期を見て、次の転職先を見つけて、嫌なら辞めればいいと思いながら。けれど、仲間がひとり・ふたりと、ハラスメント的なことで辞めていってしまうのを、すごく辛く思っていました。

■休憩がとれないまま2年間

 11時間連続業務・運転、休憩ゼロで2年間、⻑時間労働が問題視されている中で、本来ならば改善をしなくてはならない会社側は、配車の変更を行わず、私は2年間にわたって休憩が取れない配車のままでいました。それなにも関わらず、休憩の取れない配車ではなく、あなたが休憩を取らないのが悪いと罵られた。あり得ない話ですよね!

 もう、黙ってはいられない。我慢していては自分の身の破滅に繋がる。身体が壊れてしまう。休憩を取れないことが問題視されて、社内調査が行われたことにより、私の主張は受け入れられたように思われますが、実は、過去の事実隠蔽をしようと仕向けられ、私は我慢の限界でとうと う、爆発してしまいました。

プレカリアートユニオン加入・団体交渉へ

 元々、労働組合について多少の知識はあったのですが、ベールに包まれたところだという印象を持っていて、一歩踏み出す勇気がなかなか持てず、加入については正直、本当に悩みました。世間で言う偏見ですよね、きっと。それは、何も法律の知識がないからだったんだと、加入してから気付かされました。

 清水執行委員⻑を先頭 に、稲葉書記⻑、同じ職場の同僚でもある運送・運輸支部⻑の美澤さんの力をお借りして、私は闘う勇気を得ました。団体交渉が行われるまでの期間は、言葉に表すのは難しいくらいに辛かったです。不安で眠れない辛い日々。けれど、まっとうに勤めてきた自分の職責だけは絶対に認めさせたい。そう信念を持ち、3回に及ぶ団体交渉を行いました。

 結果、会社側は、ハラスメントの再発防止策を講じ、未払い残業代についても解決しました。雇用されている立場として、弱者になりがちな労働者だけれど、最低限の守られなくてはいけない労基法に基づいた労働環境は、私達の権利です。しかし、今までそれに気付かずにサービス業務をして会社にはかなり「貢献」してしまいました。

■強い心、勇気、生き様を発見

 今回の交渉と解決を通じて、私たち組合員が発信していかなきゃいけないと思えるように考え方が変わりました。決してひとりで闘うのではなく、同じ思いの同士が一丸となって支えあい、協力しあい、助け合うんですよね。心が弱っ てしまいがちな現実に、諦めてしまうのではなく、強い心を、勇気を、自身の生き様を、私は、こ のプレカリアートユニオンに入会して、新たな発見を得ることができました。有り難うございました。何ができるかはわかりません。自分の可能な限りで、私もこれからは仲間のお力になれるように、頑張って磨きをかけていきたいと思っております。一緒に頑張らさせてください。よろしくお願い します。

M(組合員)

 

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【プレスリリース/記者会見のお知らせ】大手警備会社のテイケイ(株)による労働組合へのスラップ訴訟vsテイケイによる組合や組合員への大量の誹謗中傷文書送付・誹謗中傷文書掲示に対する損害賠償請求判決報告

【プレスリリース/記者会見のお知らせ】

大手警備会社のテイケイ(株)による労働組合へのスラップ訴訟vsテイケイによる組合や組合員への大量の誹謗中傷文書送付・誹謗中傷文書掲示に対する損害賠償請求判決報告〈判決は、4月19日(水)13時10分・東京地裁510号法廷〉

第1 概要
日時:2023年4月20日(木)13時30分
場所:厚生労働省記者クラブ
出席者:
代理人佐々木亮弁護士、鈴木悠太弁護士、高橋寛弁護士(いずれも旬報法律事務所)
原告:清水直子プレカリアートユニオン執行委員長)、稲葉一良(プレカリアートユニオン書記長)

第2 内容
 大手警備会社・テイケイ株式会社は、警備員に週1回、勤務実績報告書の持参を命じている分などの未払い賃金問題(東京高裁で未払い賃金の支払いを命じる判決が出ている)、組合に加入した者をホテルに長時間呼び出し退職届を書かせた問題(東京高裁で退職無効の判断と未払い賃金の支払いを命じる判決が出ている)、などについて解決を求めてきた個人加盟の労働組合プレカリアートユニオンと、組合役員、組合員の自宅、職場に対し、街宣活動に対する抗議などと称して、「雲助」などの職業差別やヘイトスピーチにあたる表現を含む脅しや嫌がらせの文書を、会社の社名が印刷された封筒で、会社代表者印を押印し、大量に送付してきた(合計1000通近く)。
 テイケイは、プレカリアートユニオンとの団体交渉を拒否しており、労働組合や組合員への誹謗中傷文書文書送付と団体交渉拒否については、2022年6月21日、東京都労働委員会で不当労働行為であると認定され、救済命令が出された(救済を申し立てたことのうち、退職強要問題については中央労働委員会で審査、団体交渉拒否と誹謗中傷文書送付などについては、テイケイが命令の取り消し訴訟を提起している。取消訴訟の被告は東京都)。
 このたびの判決は、テイケイが、労働組合の正当な街宣活動を「威力業務妨害」などと主張し、損害賠償を請求するスラップ訴訟(恫喝目的の訴訟)を起こし、これに対し、プレカリアートユニオンが、テイケイが行っている誹謗中傷文書送付や傷文書掲示は、労働組合への不当労働行為(労働組合法7条3号違反)及び名誉毀損行為に該当するため、損害賠償を求めて反訴を提起したものである。
 コンプライアンスに重大な問題がある警備会社に、違法状態を改めないまま、東京都の豊洲市場厚生労働省などの警備を担当させてよいのか問いかけたい。

テイケイ株式会社(旧名 帝国警備保障株式会社) 代表取締役 影山嘉昭/高花豊
東京都新宿区歌舞伎町1-1-16テイケイトレード新宿ビル(靖国通り
TEL03-3207-8511(代表) FAX03-3232-7404


間近に迫ったテイケイ問題事件代理人高橋寛弁護士による裁判の解説動画です。

youtu.be


大手警備会社のテイケイ(株)による労働組合へのスラップ訴訟vsテイケイによる組合や組合員への大量の誹謗中傷文書送付・誹謗中傷文書掲示に対する損害賠償請求判決→4月19日(水)13時10分・東京地裁510号法廷〉

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解説動画公開! 大学非常勤講師の科研費応募をどのように実現したか:多摩美術大学ユニオンの場合

youtu.be

ある大学では非常勤講師が科研費への応募ができ、ある大学では応募ができない! なぜ?

大学非常勤講師が、文部科学省の外郭団体である独立行政法人日本学術振興会が行う科学研究費助成事業に応募できるかどうかは、大学によって状況が異なります。

ある大学では非常勤講師も科研費への応募ができ、ある大学では応募ができません。多摩美術大学もまた、非常勤講師の科研費応募はできませんでした。

プレカリアートユニオン多摩美術大学支部多摩美術大学ユニオン)では、2021年から本件についての団体交渉を行い、その結果、2023年4月から科研費への応募ができるようになりました。

この動画では、多摩美術大学ユニオン支部長の小田原のどかが、非常勤講師の科研費申請を取り巻く状況を、日本学術振興会の応募条件や大学の職務規程の違いなど、その背景から解説するとともに、制度新設にいたった交渉の経緯と手法をお話しします。

多摩美術大学ユニオンの経験を、科研費に応募したくでもできない非常勤講師の方や、そのような状況を変えたいと考えている専任教員の方が、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

解説:小田原のどか
多摩美術大学支部ウェブサイト http://tau-union.com/

〈動画内で言及されている記事は以下からご覧いただけます〉

■荒木慎也「多摩美術大学彫刻学科のハラスメント問題と笠原恵実子教授の雇用を守る取り組み」プレカリアートユニオンブログ https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2020/01/20/214716
■student.choukokuウェブサイト https://sites.google.com/view/student-choukoku/home

 

*****
【以下、動画内で解説している内容です】

大学非常勤講師の科研費応募をどのように実現したか:多摩美術大学ユニオンの場合
小田原のどか

■非常勤講師が科研費に応募できる大学とできない大学、その違いとは? 

多摩美術大学ユニオン支部長の小田原のどかです。彫刻家、評論家、研究者として活動しつつ、いくつかの大学で非常勤講師として働いています。

プレカリアートユニオンチャンネルに公開した動画では、非常勤講師が科学研究費補助への応募ができなかった多摩美術大学において、労働組合による交渉を経て、応募ができるようになった経緯とともに、どのような交渉を展開したのか、その方法をお話ししました。

現状、非常勤講師が科研費に応募できるかは、大学によって異なります。応募できる大学もあれば、できない大学もあります。なぜ、そのような違いがあるのでしょうか。

動画ではまず、日本学術振興会が定める科研費応募の条件を確認し、次に大学の職務規程を確認しましたが、具体的な交渉の手法を解説の前に、なぜ、非常勤講師の科研費応募を労働組合の団体交渉の議題としたのか、前提を説明したいと思います。

多摩美術大学では開学以来、労働組合がつくられたことがありませんでした。2019年に多摩美での労働組合立ち上げに私が関わったのは、教員間ハラスメントの被害を受けた女性教員の理不尽な配置転換を大学が強行しようとしたためでした。

2018年に彫刻学科の教員間ハラスメントが認定され、2019年に被害を受けた教員の学科からの追い出しを大学が強行しようとしました。この多摩美術大学彫刻科学科は私の出身学科です。ハラスメントに声を挙げたのは、当時の学生たちでした。プレカリアートユニオンを通じて、学生有志とともに大学に交渉し、不当な配置転換は阻止することができました。詳しい経緯は、美術史家でユニオンメンバーの荒木慎也さんの記事をご覧ください(https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2020/01/20/214716)。

多摩美ユニオンを立ち上げて、昨年2022年は、2023年問題とも呼ばれる、無期転換逃れの雇止めを団交により撤回させました。また、2021年からは、大学非常勤講師が科研費申請できるようにするための団体交渉を継続しています。

多摩美術大学は「学科の独立性」を重んじる大学です。しかし、彫刻学科のハラスメントは、その独立性が閉鎖性に転じた結果、起こりました。この構造を変えるための手立てとして考えたのが、非常勤講師の科研費申請を通じて、学科を横断した共同研究の輪を広げ、学問・研究の場としての大学の在り方を、大学に関わる教員と職員、全員で再確認することでした。

共同研究を行うためには、相手の仕事に敬意を持ち、認め合うことが必要です。多摩美術大学の教員の半数をしめる非常勤講師の数の力を活用し、学科を超えた共同研究というコミュニケーションのネットワークによって、学科と学科の厚い壁を超えることができるのではないかと考えたのです。

このような背景から、非常勤講師の科研費申請についての団体交渉を続けてきました。そうして、2023年4月から、非常勤講師の科研費新たな制度がつくられることになりました。交渉に応じ、制度を変更した大学の対応には、とても感謝しています。多摩美の事例を参考に交渉を行えば、ほかの大学でも非常勤講師が科研費に応募できるようになるはずですので、ぜひ参考にしてください。

■現状確認から

現状、非常勤講師が科研費に応募できるかは、大学によって異なります。大学によって対応が異なるのはなぜなのか。まずは、独立行政法人日本学術振興会が定める、科研費応募の条件を確認してみましょう。日本学術振興会は、次の3つの要件にすべて当てはまることを科研費応募の条件にしています。

研究機関に当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として、所属する者 (有給・無給、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイムの別を問わない。また、研究活動そのものを主たる職務とすることを要しない。)であること 

当該研究機関の研究活動に実際に従事していること(研究の補助のみに従事している場合は除く。) 

大学院生などの学生でないこと(ただし、所属する研究機関において研究活動を行うことを本務とする職に就いている者(例:大学教員や企業等の研究者など)で、学生の身分も有する場合を除く。)

注目したいのは、ひとつめの条件です。所属先において、非常勤講師が、「研究活動を行うことを職務に含む者」と定められているか、見なされているかが、非常勤講師が科研費に申請ができるかどうかを分けるポイントになります。では、非常勤講師が、「研究活動を行うことを職務に含む者」と定められているか、見なされているかは、どのように判断できるのでしょうか。

調べていただきたいのは、所属先の大学の職務規程です。職務規程には、非常勤講師の業務内容が明文化され、その存在が規定されています。例えば、多摩美術大学では、非常勤講師の職務規程には「授業およびこれに付随する業務を行う」と書かれています。他方で、関西のとある公立芸術大学では、非常勤講師は「大学における教育又は研究に従事する者」と定められています。また、東京大学の非常勤講師職務規程では、「講義又は実験の指導等に従事する者」とされています。

「大学における教育又は研究に従事する者」というように、職務内容に研究が含まれている場合は、日本学術振興会が定める「研究活動を行うことを職務に含む者」に合致しますので、無理なく科研費の応募できるはずです。もしそのような文言があるにもかかわらず、科研費への応募ができない場合は、職務規程に研究に従事するという記載があることを理由にして、大学に掛け合ってみてください。

問題は、職務内容に研究という文言がない場合、「授業」「講義」「実験」などとしか書かれていない場合です。多摩美術大学では、非常勤講師は「大学における教育又は研究に従事する者」と定められています。当初、組合を通じた団体交渉の場での大学の対応は、この職務規程を根拠に、日本学術振興会が応募条件とする「研究活動を行うことを職務に含む者」と非常勤講師はみなさないので、科研費申請はできないというものでした。

これを受けてユニオンでは、学内の研究紀要に非常勤講師が投稿できることなどの研究実態がすでにあり、紀要への投稿を認めていることからも、大学は非常勤講師の研究活動を認めるという内容で反論をしました。しかし、大学の態度は変わりませんでした。それは、職務規程に記されていない研究の実態を認め、非常勤講師を「研究活動を行うことを職務に含む者」として扱うことで、研究の対価を要求される懸念が、大学にあったからだと思われます。

そうであれば、次なる交渉の選択肢は、非常勤講師の職務規程を変更し、「授業およびこれに付随する業務を行う」を、「授業およびこれに付随する業務、または研究を行う」などの内容に変え、研究という言葉を職務規程に入れるようにするということでした。しかしこのように職務規程を変更することは、大学の懸念をいっそう強めることになります。

そこで注目したのが、日本学術振興会が定める応募要件の、「有給・無給[…]の別を問わない」「また、研究活動そのものを主たる職務とすることを要しない」という箇所です。つまり、職務規程は変更しないまま、無給の研究員制度をつくり、非常勤講師が研究を行えるようにすれば、科研費の応募要件を満たせることになります。

こうして多摩美術大学では、特定研究員制度がつくられ、希望する非常勤講師が申請を行い、大学に承認されることで、給与の発生しない研究員として扱われることにより、職務規程を変更せずに、科研費への応募ができるようになりました。

■まとめ

科研費の応募できない大学非常勤講師の方は、ご自身所属大学の職務規程に研究に「研究に従事する者」など、「研究活動を行うことを職務に含む者」であると示す文言があるかどうかをご確認ください。

「研究活動を行うことを職務に含む者」と規定しうる文言が職務規程にある場合は、その職務規程を根拠に科研費申請の応募条件を満たしていることを大学に掛け合いましょう。職務規程に研究という文言がない場合は、無給の研究員制度の新設を大学に掛け合いましょう。

これは、多摩美だけではなくほかの大学でも使える手法です。科研費に応募できない大学に勤めている非常勤講師の方は、ぜひ多摩美の事例を参考に、大学に掛け合ってみてください。とはいえ、個人としての要望だけでは、制度新設までの大学の対応を引き出すことはできないかもしれません。その場合は、ぜひ労働組合を頼ってください。多摩美術大学ユニオンの母体であるプレカリアートユニオンは、誰でも一人から入れる労働組合です。理不尽な状況は労組で変えることができます。

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共伸物流(株)新井亘代表取締役は、未払い賃金を払え!(株)光和と合併すると説明し、事実上事業停止。ドライバーの生活を守れ!

共伸物流(株)新井亘代表取締役は、未払い賃金を払え!
(株)光和と合併すると説明し、事実上事業停止
ドライバーの生活を守れ!

運送会社の共伸物流株式会社(埼玉県越谷市)では、昨年2022年10月から、M専務が、労働者に「12月1日に(株)光和と合併することになっている。それにあたり、給料の体系が変わる。」「変わると1日1万円になる、計算すると23万円から22万円になる。少なすぎるのもあれだから、手当を設けたい。車両整備、フル出勤などに手当を設けて調整するが、各数千円。トータルで23万円か24万円くらいにしかならない。」などと、不利益変更を通告しました。

これを受けて、共伸物流(株)で働くドライバー1人が加入していた、誰でも1人でも加入できる労働組合プレカリアートユニオンに、複数のドライバーが加入。共伸物流(株)に対し、「株式会社光和に事業譲渡をするのか、合併をするのか、2022年12月1日以降も組合員の労働条件について、不利益変更を行わないこと」「当労組と誠実な協議を経ることなく、組合員の労働条件を変更しないこと」と要求し、団体交渉を申し入れました。しかし、共伸物流(株)は、団体交渉を拒否。実質的に営業を停止、(株)光和に転職しなかったドライバーへの賃金の支払いも停止しました。

2022年11月30日、共伸物流株式社のトラックのドア後方の「肩文字」の社名が、「共伸物流株式会社」から、「株式会社光和」に変更されていました。

プレカリアートユニオンは、共伸物流(株)に団体交渉を申し入れていますが、共伸物流の新井社長は、団体交渉に応じていません。新井社長は、労働基準監督署などの呼び出しにも応じていないと聞いています。

共伸物流(株)で働いていたプレカリアートユニオンの組合員とごく一部の従業員は、(株)光和に雇用されませんでした。プレカリアートユニオンは、実質的に経営を引き継いでいると言わざるを得ない、(株)光和にも団体交渉を申し入れましたが、(株)光和は、組合員と共伸物流(株)との雇用関係が現在も継続しているから、団体交渉に応じる義務のある使用者ではないと主張しています。

しかし、現実に労使関係がなくても、近い将来、労働関係が成立する可能性がある場合、あるいは成立が見込まれる場合など、事業譲渡における譲渡先企業や吸収合併を予定している企業には使用者性が認められます。

プレカリアートユニオンが東京都労働委員会に申し立てた、不当労働行為救済申立の手続きに、(株)光和は、「令和4年10月以降、共伸物流(株)の資金繰りがいよいよ厳しくなり、プレカリアートユニオンのA組合員を除く全ての社員と委託先ドライバーに対して、(株)共伸物流のM専務が、(株)光和への転職を勧めて声をかけ、その際、(株)共伸物流と(株)光和が合併するという説明を行っていた。」という報告書を提出しました。

プレカリアートユニオンのA組合員が、2023年2月15日に埼玉県運輸支局で確認したところ、共伸物流(株)は2022年12月26日に事業休止の申請をしている(事業所・車庫・休憩所。現在車輛も全て登録を抹消済み)が、事業休止の認可はまだであり、春日部市増戸706-1の「車庫」の認可は現時点でまだ共伸物流株式会社のものであり、この車庫を他社(光和)が使用することは明らかに違法な「車庫飛ばし」に相当することでした。(株)光和の車庫としての使用、また2022年12月18日に確認されている建物の建設も「収容台数変更」の届出も当然されておらず、(株)光和の行為は違法だということです。

求人サイト「ドラEVER」に掲載されている(株)光和の求人募集によると、春日部営業所が「(令和5年)3月完成」ということであるが、この建物を利用するとするならば、経営を引き継いでいることは明らかです。

 (株)光和は、2022年12月1日以降、共伸物流(株)と実質的に合併し施設と従業員を引き継いでいるにもかかわらず、プレカリアートユニオンの組合員については雇用を引き継いでいません。プレカリアートユニオンが、組合員を雇用するよう求めましたが、2023年3月8日に行われた東京都労働委員会の不当労働行為救済申立の手続きのなかで、代理人である弁護士が、組合からの求めに応じて組合員を採用することはない、と表明しました。結局のところ、(株)光和は、組合員の採用を拒否し、採用申込みも拒否しているのです。


(株)光和と合併すると説明し、事実上事業停止状態の共伸物流(株)新井亘代表取締役は、ドライバーの未払い賃金を払い、ドライバーの生活を守るよう強く求めます。

関係者の皆さま、本件の解決のためにご協力ください。
本件に関する情報をお持ちの方は、ぜひ、プレカリアートユニオンまでお寄せください。


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