プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

ブックレビュー

実際に関わった労働事件を通し臨場感もって語られる労働運動の半世紀。『労働弁護士「宮里邦雄」55年の軌跡』(宮里邦雄著/論創社社)

実際に関わった労働事件を通し臨場感もって語られる労働運動の半世紀 『労働弁護士「宮里邦雄」55年の軌跡』(宮里邦雄著/論創社社) ronso.co.jp 『労働弁護士「宮里邦雄」55年の軌跡』(宮里邦雄著/論創社社)は、2021年7月に論創社から発行さ…

炭鉱の危機に立ち上がった女性たちの実話。映画『フラガール』(李相日監督/2006年・日本)

炭鉱の危機に立ち上がった女性たちの実話 www.hawaiians.co.jp 映画『フラガール』(李相日監督/2006年・日本) 映画『フラガール』は、2006年に日本で制作された実話をモデルにした映画作品です。監督は李相日、主演は松雪泰子、国内の様々な映画…

当事者が主体的に問題解決するための手助けとは。『ケースワークの原則[新訳改訂版] 援助関係を形成する技法』(フェリックス・P・バイステック著/誠信書房)

当事者が主体的に問題解決するための手助けとは 『ケースワークの原則[新訳改訂版] 援助関係を形成する技法』(フェリックス・P・バイステック著/誠信書房) ソーシャルワーク博士であるF・P・バイステックによる『ケースワークの原則 援助関係を形成す…

問いかけから始める支援。『人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』(エドガー・H・シャイン著/英治出版)

問いかけから始める支援 『人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』(エドガー・H・シャイン著/英治出版) www.eijipress.co.jp よかれと思ってしたことが、かえって人を傷つけてしまったり、困らせてしまったり、こんな経験…

職場で女性が悲惨な目に遭う背景は?『モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」』(アルテイシア著/大和書房)

職場で女性が悲惨な目に遭う背景は? 『モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」』(アルテイシア著/大和書房) www.daiwashobo.co.jp この本をある女性から勧められて読みましたが、なぜこんな爺さんに読ませるのか不思議に思っ…

誰もが集い楽しめる場を作りたい一心で楽器演奏のできる食堂を開設し手に取った1冊。こども食堂とは何か?の全てが詰まっていた『つながり続ける こども食堂』(湯浅誠著/中央公論新社)

誰もが集い楽しめる場を作りたい一心で楽器演奏のできる食堂を開設し手に取った1冊。こども食堂とは何か?の全てが詰まっていた 『つながり続ける こども食堂』(湯浅誠著/中央公論新社) www.chuko.co.jp 青森県生まれの自分が、なぜか縁も何もない群馬県…

新自由主義政策のもとで闘った労働者を記録し、励まし続けたドキュメンタリー。『ピケをこえなかった男たち リバプール港湾労働者の闘い』(ケン・ローチ監督/1997年・イギリス)

イギリスの社会派、巨匠ケン・ローチの作品はこれまでもいくつか紹介してきましたが、今回はリバプールの港湾労働者の闘いを描いたドキュメンタリー『ピケをこえなかった男たち リバプール港湾労働者の闘い』のレビューです。イギリスのリバプールで1995…

日本の運動と強く結びついてきたロック。『フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むなって何だ!?」』(大久保青志著/イースト・プレス )

著者の大久保青志氏は音楽雑誌「ロッキング・オン」の創刊メンバーで、野外音楽イベントのフジロックフェスティバル(以下フジロック)の立ち上げなどに中心的存在として携わり、故内田裕也氏のマネージャーを務めるなど、日本のロックの歴史のまさに生き字…

開かれた対話の持つ可能性。『感じるオープンダイアローグ』(森川すいめい著/講談社現代新書)

仕事や人間関係により精神を病んでしまう人が、年々増え続けています。『感じるオープンダイアローグ』の著者は、精神科医・鍼灸師の森川すいめい氏。本書は、精神疾患を開かれた対話によって治癒する、「オープンダイアローグ」について、医学的な技術論で…

原文次郎さん(反貧困ネットワーク 外国人支援チーム)によるレビュー/一次情報・速報を元にした他国の運動の「評価」の難しさ しかし、私たちはこれを他人事として観ていて良いのか?『ヤナマール - セネガルの民衆が立ち上がるとき』(ヴュー・サヴァネ著 バイ・マケベ・サル著/勁草書房)

「セネガル」「民衆運動」このテーマははたしてどこまで日本の読者に身近な問題といえるだろうか。本書『ヤナマール セネガルの民衆が立ち上がるとき』は分厚い大著ではないが、しかし必ずしも読みやすい本とはいえない。しかし、評価は読み手にもおよぶ。セ…

福島みずほさんによるレビュー/すべての女の子に、あなたには力があって、あなたにはあなただけの良いところがあると伝えたい。『わたしは無敵の女の子』(ケイト T. パーカー著/海と月社)

最近、『わたしは無敵の女の子』という本を読んだ。とっても元気になるので、手元に置いて繰り返し読んでいる。 これは4歳から18歳までの約200人の女の子たちの様々な写真とメッセージから構成をされている。どの写真もどのメッセージも本当に素晴らしい。本…

労働法は自身の身を守る強力な武器になる。『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』(佐々木亮著/KADOKAWA)

『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』は2021年3月31日にKADOKAWAから発売された著書で、執筆されたのは、旬報法律事務所の佐々木亮弁護士です。佐々木弁護士にはプレカリアートユニオンも大変お世話になっており、労働者の働きやすい環…

参政権獲得のために果敢に闘った女性たちから学ぶべきこと。映画『未来を花束にして』(サラ・ガウロン監督)

参政権獲得のために果敢に闘った女性たちから学ぶべきこと 1918年はイギリスで女性に参政権が認められた年です。この参政権の獲得は、1860年代から粘り強く続けられた女性参政権獲得運動の成果です。映画『未来を花束にして』は、そんな参政権獲得運…

自分が自分らしく生きるための問い。『いのちの女たちへ - 取り乱しウーマン・リブ論』新版(田中美津著/発行:パンドラ・発売:現代書館)

自分が自分らしく生きるための問い 『いのちの女たちへ - 取り乱しウーマン・リブ論』新版は、1972年に刊行された田中美津氏による同タイトルの著作に資料やその後の著者などからのコメント、あとがきなどを書き加えた新装版です。日本のウーマンリブ運…

労使関係の歴史と展望。『働き方改革の世界史』( 濱口 桂一郎著・海老原 嗣生著/筑摩書房)

労使関係の歴史と展望 人事専門誌『HRmics』に掲載された連載「原典回帰」を1冊にまとめたのが、『働き方改革の世界史』です。労働政策研究所長である濱口桂一郎氏と雇用ジャーナリストで上智大学経営学部客員教授などを務める海老原嗣生氏の共著によ…

抵抗としての助けあい。『コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた』(雨宮処凛著/かもがわ出版)

抵抗としての助けあい 2020年4月7日、安倍首相(当時)は7都府県に緊急事態宣言を行い、同月16日に対象を全国に拡大した。「ステイホーム」に慣れてきた4月末、ある夜コンビニへ行こうと外に出ると、一人の男性の姿が目に留まった。雨なのに傘をさ…

困難に対処していくための実践書。『実践 セルフ・コンパッション 自分を追いつめず自信を築き上げる方法』(メアリー・ウェルフォード著、石村郁夫訳・野村俊明訳/誠信書房)

困難に対処していくための実践書『実践 セルフ・コンパッション 自分を追いつめず自信を築き上げる方法』(メアリー・ウェルフォード著、石村郁夫訳・野村俊明訳/誠信書房)は、人がどういったときに、どういう心理状態になり、それはいったなぜ起こるのか…

弱者の痛みを強烈に描いた喜劇作品。『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督/1993年・イギリス)

弱者の痛みを強烈に描いた喜劇作品 『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督/1993年・イギリス) 『レイニング・ストーンズ』は1991年にイギリスで製作された映画です。監督はケン・ローチ。失業者の生活の苦悩を描いた社会派の喜劇です。これ…

30年変わらない「企業中心」社会への問題提起。『企業中心社会を超えて‐現代日本を〈ジェンダー〉で読む』(大沢真理著/岩波現代文庫)

30年変わらない「企業中心」社会への問題提起『企業中心社会を超えて‐現代日本を〈ジェンダー〉で読む』(大沢真理著/岩波現代文庫) 私たちの暮らす世の中が、企業を中心に構成されていると聞いても、多くの方は何の疑問も抱かないでしょう。大沢真理著『…

日本の労働組合の将来あるべき姿とは。『労働組合とは何か』(木下武男著/岩波新書)

日本の労働組合の将来あるべき姿とは『労働組合とは何か』(木下武男著/岩波新書) 私たち労働組合は、日々さまざまな職場の労働条件を維持向上するために活動をしています。木下武男著『労働組合とは何か』は、そんな労働組合の生まれる前の原風景、黎明期か…

海を受け取る私たちへのメッセージ。『海をあげる』(上間陽子著/筑摩書房)

海を受け取る私たちへのメッセージ『海をあげる』(上間陽子著/筑摩書房) 2020年11月半ばの土曜日に「今日はゆっくり本が読めるな」と、少し前に上間陽子さんが書かれたノンフィクション『裸足で逃げる沖縄の夜の街の少女たち』を読んでいたけれど、それと…

「一番低い場所」から社会を問う-地べたのポリティクス。『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(ブレイディみかこ著/みすず書房)

「一番低い場所」から社会を問う-地べたのポリティクス『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(ブレイディみかこ著/みすず書房) イギリス南部・ブライトンを舞台にした、ノンフィクション『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっ…

キング牧師が黒人革命で実践した「非暴力直接行動」。 『黒人はなぜ待てないか』新装版(マーチン・ルーサー・キング 著・中島 和子 訳・古川 博巳 訳 / みすず書房)

キング牧師の名前は、誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。マーチン・ルーサー・キング『黒人はなぜ待てないか』は、1963年に行われたバーミングハム運動について論じた1冊です。出版されたのは1965年、この前年にキング牧師はノーベル平…

監督ケン・ローチが怒りをもって撮らなければならなかった、イギリスの社会福祉制度の闇と置き去りにされた人々の声。映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』

「ゆりかごから墓場まで」―。福祉国家としてのイギリスを象徴したとして有名な言葉です。映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、そんな福祉国家イギリスの社会保障制度の闇を鋭く描き出した作品です。2016年に社会派の巨匠ケン・ローチ監督、ポール・…

BLM運動を組織化し、育てた若きリーダーからのメッセージ。『世界を動かす変革の力―ブラック・ライブズ・マター共同代表からのメッセージ』(アリシア・ガーザ 著・人権学習コレクティブ 監訳/ 明石書店)

公民権法が制定されて60年近くがたった今なお、アメリカでは黒人に対する差別が公然と行われています。2020年5月に起こった、白人警官が黒人のジョージ・フロイドの首を圧迫し殺害するという痛ましい事件に端を発し、ブラック・ライブズ・マター(B…

NASAで人種差別と女性差別をはね返した実話。『ドリーム』(セオドア・メルフィ監督/2016年・アメリカ)

NASAで人種差別と女性差別をはね返した実話 『ドリーム』(セオドア・メルフィ監督/2016年・アメリカ) 1962年、NASAがマーキュリー・アトラス6号を打ち上げ、有人地球周回飛行を成功させます。このことによってアメリカは、ソ連に遅れを…

「パンク」な表現で女性らしさの押しつけをあぶり出す。『キングコング・セオリー』(ヴィルジニー・デパント著・相川千尋訳/柏書房)

「パンク」な表現で女性らしさの押しつけをあぶり出す 『キングコング・セオリー』(ヴィルジニー・デパント著・相川千尋訳/柏書房) 「私はブスの側から書いている」、衝撃的な書き出しで始まる「キングコング・セオリー」は、現代フランスを代表する作家…

LGBTの職場の問題は解決できると伝えたい。『虹色ジャーニー~ 女と男と時々ハーフ』(浅沼智也著/文芸社)

LGBTの職場の問題は解決できると伝えたい 『虹色ジャーニー~ 女と男と時々ハーフ』(浅沼智也著/文芸社) LGBTのTは「トランスジェンダー」を意味し、自認する性別と出生時の性別が一致していない人のことを指します。『虹色ジャーニー~ 女と男…

協同組合運動と新しい世代との接続は?『西暦二〇三〇年における協同組合 コロナ時代と社会的連帯経済への道(ダルマ舎叢書Ⅲ)』(柏井宏之・樋口兼次・平山昇共同編集/社会評論社)

協同組合運動と新しい世代との接続は? 『西暦二〇三〇年における協同組合 コロナ時代と社会的連帯経済への道(ダルマ舎叢書Ⅲ)』(柏井宏之・樋口兼次・平山昇共同編集/社会評論社) 本書は、協同組合運動に関わって来た多くの方の寄稿という形で構成され…

働けなくなり、家を失ったとき直面する現実。『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編/岩波新書)

働けなくなり、家を失ったとき直面する現実。 『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編/岩波新書) コロナ禍で日雇いなどの非正規労働者たちは仕事を失い、去年4月に出された緊急事態宣言にともなうネ…