ブックレビュー
再び悲劇を繰り返さないために過去の悲劇から目をそらさず、今この社会で起こっている差別としっかりと向き合おう 『地震と虐殺 1923-2024』(安田浩一著/中央公論新社) www.chuko.co.jp 1923年9月1日に首都圏を襲った関東大震災は余に有名…
生涯現役、最前線で闘った宮里弁護士の言葉を次世代の運動に繋いでいきたい 『宮里邦雄 かく語りき 労働運動・沖縄・平和』(宮里邦雄語録編集委員会編著/旬報社) www.junposha.com 2023年2月5日、日本の労働運動を弁護士の立場で牽引した宮里邦雄弁…
職場の組織化で民主主義を再生させることこそが新自由主義への最も有効な対抗手段 『JR冥界ドキュメント』(村山良三著/梨の木舎) nashinokisha.theshop.jp 今からおよそ40年前に行われた、国鉄分割民営化は国家による労働運動への大弾圧だ。 「総評を…
妻のキャリアのため仕事を犠牲にした夫の気持ちから見えてくる現代の「生きづらさ」 『妻に稼がれる夫のジレンマ』(小西一禎著/ちくま新書) www.chikumashobo.co.jp 「『男子たるもの一家の大黒柱であるべき』などとという価値観はもはや過去の遺物である…
ナイチンゲールの実像を知り「白衣の天使」としてのケアワークを克己していきたい 『超人ナイチンゲール (シリーズ ケアをひらく) 』(栗原康著/医学書院) www.igaku-shoin.co.jp ナイチンゲールという人物をご存じだろうか。などと、聞くまでもなくほとん…
新自由主義が求めるネオリベラルジェンダー秩序とどう対峙するか 『日本のポストフェミニズム:「女子力」とネオリベラリズム』(菊地夏野著/大月書店) www.otsukishoten.co.jp 『日本のポストフェミニズム 女子力とネオリベラリズム』は、社会学、ジェン…
発達障害に起因する職場の困りごと・原因・対策をわかりやすく解説した入門書 『発達障害の人が「働きやすさ」を手に入れる本』(土屋綾著/フォレスト出版) www.forestpub.co.jp 発達障害とは脳機能の発達に関係する障害とされ、発達障害者支援法では「自…
例えば、芸で身を立てるためには、芸だけに打ち込めば良いというわけではないということ 『生きのびるための事務』(坂口恭平著/マガジンハウス) magazineworld.jp 本書のタイトルとその内容にいい意味で裏切られた。「生きのびるための事務」は建築家、作…
ナショナルセンターの枠を越えた「闘う労働運動」の全国的結集は急務 『石の上にも半生記 総評オルグ50年』(稲村守著/著者) ndlsearch.ndl.go.jp 本を開くと最初の頁に、著者自らの直筆で「21世紀の闘うまともな労働運動を作る最前線の皆さんへ!」と…
「正義」の戦争等と安直に捉えず、そこで失われる命の尊さを見つめてほしい 『即時停戦!』(アソシエーションだるま舎 土田修編著/社会評論社) www.shahyo.com 『即時停戦! 砲弾が私たちを焼き尽くす前に』は、アソシエーションだるま舎・土田修氏編著の…
裁判所は本当に公正中立? 読んだら不当判決が出る理由がよく分かる裁判官の人間ドラマ 『法服の王国』上・下(黒木亮著/岩波書店) www.iwanami.co.jp 皆さんにとって裁判所とはどのようなところだろうか。特に労働相談の現場では、しばしば裁判所の公正さ…
令和の時代にSEALDsを「総括」する 『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』(小峰ひずみ著/講談社) bookclub.kodansha.co.jp 2015年の安保闘争の闘いの中で最も注目を集めたのはSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の存在だったと思う。SEAL…
「国へ帰れ」ではなく帰れない事情、理由を知り人権についてしっかりと考えてほしい 『 それはわたしが外国人だから』(安田菜津紀著/図書出版ヘウレーカ) www.heureka-books.com 今、埼玉県川口市で在日クルド人への排外主義者(レイシスト)たちの差別扇…
賃上げは望ましい未来実現するため 『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 』(田内学著/東洋経済新報社) str.toyokeizai.net 私たち労働組合の課題と関連付けるなら、「なぜ賃上げを求めるのか」について、ある見地か…
時代を反映するアートに現れる様々な差別・不平等とアートのフィールドでのフェミニズムの実践について記した1冊。フェミニズム入門にも最適 『アートとフェミニズムは誰のもの?』(村上由鶴著/光文社新書) www.kobunsha.com 「アートとフェミニズムは誰…
「殺されかけて」プレカリアートユニオンにたどり着いた仲間の抵抗と再生の物語も多数紹介 『縁辺労働に分け入る フランシスコ教皇の警告』(浜矩子・雨宮処凛・清水直子著/かもがわ出版) www.kamogawa.co.jp 労働の現場から人間性が奪い去られて久しい。…
世界中で急速に進むジェントリフィケーションをどのように認識し立ち向かうか 『ブルックリン化する世界』(森千香子著/東京大学出版会) www.utp.or.jp 蔵前は東京のブルックリンと呼ばれている。東京23区の新築マンション販売価格は年々上昇を続け、つ…
手元に1冊、常備薬のように備えてほしい「死なない」ためのノウハウ 『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(雨宮処凛著/光文社新書) www.kobunsha.com コロナ渦に続く物価の高騰。日本中に貧困が急速に広がっているのを痛感する。「一…
物語(ナラティブ)の力は人を動かし社会を変革する 『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』(大治朋子著/毎日新聞出版) mainichibooks.com ナラティブという言葉を聞いたことはあるだろうか。「物語」や「語り」などと訳されるナラ…
現在の労働問題の根源を辿り職場の民主主義再生の立脚点を見つめる『新編 民主主義は工場の門前で立ちすくむ』(熊沢誠著/社会思想社) kumazawa.main.jp 『新編 民主主義は工場の門前で立ちすくむ』は、労働経済学者である熊澤誠氏による1冊。刊行は今か…
弁護士が安全に仕事をするためのノウハウは労働相談・支援・伴走にも活用できる 『弁護士の護身術』(深澤諭史著/第一法規) www.daiichihoki.co.jp 『弁護士の護身術 人的トラブルに巻き込まれないための心得』は、インターネット上の法律問題などに取り組…
【いなばのブックレビュー】 ユニオン運動を次世代に繋いでいくために私たちが学ぶべき闘い方 『反骨の争議屋「東京ユニオン」物語』(髙井晃著/論創社) ronso.co.jp ユニオン運動は、ひとりひとりに寄り添い職場の様々な問題に取り組み解決することで、ひ…
主婦パートの闘いに光を当て非正規差別の病根を照らす1冊 『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(渋谷龍一著/旬報社) www.junposha.com 正社員と非正規の格差は深刻だ。その根底には家父長制に基づく性別役…
性暴力問題の解決に男性の参加は必須。家父長制・性暴力と闘う医師による1冊 『勇気ある女性たち 性暴力サバイバーの回復する力』(デニ・ムクウェゲ著/大月書店) www.otsukishoten.co.jp コンゴは「世界のレイプの中心地」と呼ばれることもある地域。『…
LGBT理解増進法成立の経緯と論点をまとめ緊急出版された1冊 『検証「LGBT理解増進法」』(神谷悠一著/かもがわ出版) www.kamogawa.co.jp 「そもそも人権は、他人に理解など求める必要もなく、生まれながらに誰しもが持っている普遍的な権利です。…
イギリス炭鉱ストに学び闘う、労働運動を再建するために 『イギリス炭鉱のストライキの群像 新自由主義と闘う労働運動のレジェント』(熊沢誠著/旬報社) www.junposha.com 1984年3月から1985年3月にかけて、イギリスで炭鉱労働者達の歴史的な大…
トップダウン型から共通課題に取り組むコミュニティの一員としての労働運動への変革を 『コミュニティ・オーガナイジングの理論と実践 領域横断的に読み解く』(室田信一・石上圭子・竹端寛著/有斐閣) www.yuhikaku.co.jp 『コミュニティ・オーガナイジン…
歴史を紐解き浮き彫りになる大産別の課題から労働運動のこれからについて考える 『オルグ!オルグ!オルグ! 労働組合はいかにしてつくられたか』(本田一成著/新評論) www.shinhyoron.co.jp 8月31日西武の売却計画を巡り雇用維持を求め「そごう・西武…
「座り込み」を娯楽として消費し、「沖縄はわがまま」と冷笑する日本社会の病を克明に記す1冊 『なぜ市民は”座り込む”のか~基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶~』(安田浩一著/朝日新聞出版) publications.asahi.com 2022年10月3日、ひろゆき氏が…
2024年問題について考えるためにまず知って欲しいトラックドライバーの現実 『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路~現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます~』(橋本愛喜著/KADAKAWA) www.kadokawa.co.jp 国民民主党の玉木党首は4…