プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

ブックレビュー

移民の清掃労働者が糧と尊厳を求め立ち上がる。映画『ブレッド&ローズ』

『ブレッド&ローズ』は2000年イギリス製作の映画です。以前もこのコーナーで取り上げた『家族を想うとき』の監督でもある、社会派の巨匠ケン・ローチ監督による初のアメリカ撮影作品です。移民労働者の貧困と差別、そして、労働組合と企業の闘いを描い…

非雇用で働く労働者の仲間として。『地下アイドルの法律相談』(深井剛志・姫乃たま・西島大介著/日本加除出版)

「地下アイドル×法律」一見すると「???」となってしまいそうですが、インディーズアイドル界では、当事者の無知につけ込んだ様々な搾取の構造が存在しています。「地下アイドルの法律相談」は旬報法律事務所の深井剛志弁護士、ライターで元地下アイドルの…

無意識に差別をしないための知識を。『LGBTとハラスメント』(神谷悠一、松岡宗嗣著/集英社新書)

いわゆる「パワハラ防止法」が、今年6月から大企業や自治体などで施行され、パワハラの防止対策を講ずることが義務づけられました。このパワハラのなかに、「SOGIハラ」や「アウティング」といった主にセクシャルマイノリティに対する偏見から生じるハ…

男性正社員の既得権守る労働組合がセクハラに加担。映画『スタンドアップ』(ニキ・カーロ監督/2005年/アメリカ)

「スタンドアップ(原題NorthCountry)」は、ニキ・カーロ監督による2005年アメリカ製作の映画です。1988年に行われた世界初のセクハラ訴訟を元にした作品で、主人公はシャーリーズ・セロン演じるジョージー・エイムズ、炭鉱で働くシングルマザーで…

プレカリアートの胸のうち表現する啄木。『啄木短歌に時代を読む』(近藤典彦著/吉川弘文館)

プレカリアートの胸のうち表現する啄木。『啄木短歌に時代を読む』(近藤典彦著/吉川弘文館) 石川啄木は、「時代閉塞の現状」と闘いました。彼の詩は没後も日本中で広く親しまれてきました。その後、1970年代から若者の啄木離れが進み、バブル期にそれ…

ユニオンをレッテル張りしながら会社に違法行為を勧めるトンデモな内容。『ブラックユニオン』(新田龍著/青林堂)

ユニオンをレッテル張りしながら会社に違法行為を勧めるトンデモな内容。『ブラックユニオン』(新田龍著/青林堂) 「ブラックユニオン」は青林堂から2019年に刊行された、新田龍氏による著作です。本書は、「ブラック企業」と化してしまいがちな会社を…

職場を作り出す取り組みも提言。『棄民世代 政府に見捨てられた氷河期世代が日本を滅ぼす』(藤田孝典著/SBクリエイティブ)レビュー

「就職氷河期世代」には、およそ1971年~84年生まれで、団塊ジュニア世代、ポスト団塊ジュニア世代が該当するといわれています。バブル崩壊後の社会情勢の影響により、就職において極めて困難な状況であった世代を指します。氷河期世代は、その後も雇…

労働組合で尊厳を取り戻し「ネトウヨ」化回避を。『プレカリアート 不平等社会が生み出す危険な階級』(ガイ・スタンディング著/法律文化社)レビュー

プレカリアートという言葉は、1980年代フランスの社会学者たちによって一時雇用の労働者を指して用いられた言葉ですが、現代ではその中に様々な意味を含むものとして用いられています。『プレカリアート 不平等社会が生み出す危険な階級』の著者ガイ・ス…

炭鉱労働者と家族の熾烈な闘い。『アメリカン・ジャスティス』(2002年/トニー・ビル監督)

『アメリカン・ジャスティス』(2000年/トニー・ビル監督) 炭鉱夫たちが、労働組合の旗の下安全衛生の確保と労働条件の向上を掲げ、人を人として扱わない使用者の搾取に立ち向かう。「アメリカンジャスティス」は2000年アメリカ製作の映画です。監督ト…

真の敵はウイルスではなく差別と貧困。『UNITED IN ANGER ACT UPの歴史』(2012年/ジム・ハバード監督)

『UNITED IN ANGER ACT UPの歴史』(2012年/ジム・ハバード監督) 現在、新型コロナウイルスの猛威は、世界中を巻き込み、日本にも深刻な影響を及ぼしています。ウイルスとの闘いは激しさを増していますが、真っ先に深刻な影響を受けるのは低賃金で働く労働…

労働者は無関心なのではない!組織化のための体系的指南書。『職場を変える秘密のレシピ47』(アレクサンドラ・ブラッドベリー、マーク・ブレナー、ジェーン・スロータ著/菅俊治、山崎精一監訳/日本労働弁護団)

『職場を変える秘密のレシピ47』(アレクサンドラ・ブラッドベリー、マーク・ブレナー、ジェーン・スロータ著/菅俊治、山崎精一監訳/日本労働弁護団) roudou-bengodan.org 「職場を変える秘密のレシピ47」はアメリカ労働運動の活動家が集う「レイバー…

「学び続け成長し続ける」組織になるために。『チームが機能するとはどういうことか』(エイミー・C・エドモンドソン/英治出版)

『チームが機能するとはどういうことか』(エイミー・C・エドモンドソン/英治出版) www.eijipress.co.jp 心理的安全性という言葉を、皆さんは聞いたことがありますか。「チームが機能するとはどういうことか」は、エイミー・C・エドモンドソンによる、「…

構造化された差別と毅然と闘う。映画『非正規に尊厳を!メトロレディーブルース総集編』(ビデオプレス制作)

映画『非正規に尊厳を!メトロレディーブルース総集編』(ビデオプレス制作) metrolady.jimdofree.com 東京東部労組メトロコマース支部の闘いは、日本中の注目を集めています。全く同じ仕事をしているにも関わらず、正規非正規間の待遇は全く異なります。不…

コロナ後、ますますあらわになった日本の末路。『令和日本の敗戦 虚構の経済と蹂躙の政治を暴く』(田崎基著/ちくま新書)

『令和日本の敗戦 虚構の経済と蹂躙の政治を暴く』(田崎基著/ちくま新書) www.chikumashobo.co.jp アベノミクスをインパール作戦に例え、このままでは日本は再び戦後の焼け野原に戻ってしまうと強く読者に訴える『令和日本の敗戦』(田崎基著/ちくま新書…

命の峻別に対抗する。『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(稲葉剛著/朝日新聞出版)

『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(稲葉剛著/朝日新聞出版) publications.asahi.com 日本社会の格差は広がり続け、貧困はいつ誰が陥ってもおかしくない問題となっています。今回は『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧…

世界では当たり前の「コンプライアンス活動」が「工事現場での圧力」に。 『労働組合やめろって警察に言われたんだけどそれってどうなの?』(連帯ユニオン編著/旬報社)

『労働組合やめろって警察に言われたんだけどそれってどうなの?』(連帯ユニオン編著/旬報社) www.junposha.com のべ89名の逮捕、71名の起訴、関生支部は嵐のような刑事弾圧に晒されています。社会の安全や秩序を守るべき警察が、法律を無視し労働組…

「物言う労働者」だった未婚の母が労働組合を作る。映画『ノーマ・レイ』(マーティン・リット監督)レビュー

ノーマ・レイは1979年公開された、社会派マーティン・リット監督による映画です。本作でアカデミー賞やカンヌ映画祭主演女優賞を受賞した主演のサリー・フィールドが演じる「ノーマ・レイ」は、紡績工場で働く子持ちの女工。ある日、彼女の働く工場に組…

こじれさせないことが大事。「対策」だけでなく労使のあるべき姿に踏み込めればより有意義だった。『会社は合同労組・ユニオンとこう闘え!』(向井蘭著/日本法令)レビュー

タイトルからお分かりのように、経営者に向けた合同労組対策の本です。著者は、ハラスメント対策の本同様、特に使用者側の労働事件を数多く取り扱う向井蘭弁護士です。なぜ労働組合がこの本のレビューをとも思えますが、経営側の弁護士が私たち労働組合をど…

社長や管理職はせめてこれを読んでほしい。『管理職のための ハラスメント予防&対応ブック』(向井蘭著/ダイヤモンド社)レビュー

私たち労働組合には、日々仕事の上での様々なトラブルに関する相談が寄せられますが、その中でも特に多いのが、パワハラ・セクハラといった職場でのハラスメントの問題です。本書は、主に管理職に向けて、どんな時、どんな条件下でハラスメントは発生してし…

大量解雇に抗してパート労働者がスーパーを占拠。生活と誇りを守るために闘った女性たちの姿を描く。『明日へ』(プ・ジヨン監督)レビュー

『明日へ』(プ・ジヨン監督)https://eiga.com/movie/82754/ 『明日へ(原題:カート)』は、2014年、韓国で公開、実話に基づいた映画です。本国での大ヒットを受けて、日本でも翌2015年に上映されました。物語は急遽行われた大手スーパーでの大量…

労働者の団結とプライドが奪われた情景を描く。『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』(ジェームズ・ブラッドワース著/光文社)レビュー

『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』(ジェームズ・ブラッドワース著/光文社) www.kobunsha.com 日毎に世界中に広がっていく新自由主義と賃金格差。本書は、イギリスのジャーナリストである著者のジェームズ・ブラッドワースが、アマゾン…

長時間・低賃金労働。仕事に殺される国で労働者の命を守るための本。『人間使い捨て国家』(明石順平著/角川新書)レビュー

『人間使い捨て国家』(明石順平著/角川新書) www.kadokawa.co.jp 最近密かに話題になっている、音楽に合わせ「記録しろ!」と連呼する動画。ウサギの耳にサングラスの「バニ男」を演じるのはなんと現役の弁護士です。本書は、そんなYouTube動画「KIRO…

スト中の炭鉱労働者と支援するレズビアン&ゲイの会。連帯の本質を描く。映画『パレードへようこそ』(マシュー・ウォーチャス監督)レビュー

『パレードへようこそ』(マシュー・ウォーチャス監督) www.cetera.co.jp 「パレードへようこそ」は2014年公開、マシュー・ウォーチャス監督による映画です。1984年、イギリスのサッチャー首相が打ち出した20箇所の炭鉱閉鎖に抗議するストライキ…

差別とヘイトスピーチ、デマに踊らされ、虐殺の陰で労働組合弾圧も。『九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響』(加藤直樹著/ころから)レビュー

所謂「嫌韓デモ」が大久保の町を埋め尽くし、メディアを賑わわせたことは記憶に新しいと思います。彼らの大きな特徴として韓国の方々を、その出自や国籍のみをして差別しているという点が挙げられます。2000年代の新しい問題として報じられた「嫌韓」で…

見て見ぬふりも、分かったふりもしない。『学校では教えてくれない差別と排除の話』(安田浩一著/皓星社)レビュー

人種や出自、学歴に職業……わたし達の生活の中には、様々な差別が織り込まれています。ですが、不思議なことに、学校等の教育現場では「みんな平等」と教えられます。「学校では教えてくれない差別と排除の歴史」は、著者の原体験である幼い頃の学校でのイジ…

家庭をも蝕む非雇用の労働問題。労働組合としてどう闘うか。映画『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督)レビュー

家庭をも蝕む非雇用の労働問題。労働組合としてどう闘うか。映画『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督)レビューhttps://longride.jp/kazoku/ 2016年「わたしは、ダニエル・ブレイク」でカンヌ国際映画祭パルムドール(カンヌの最高賞)を受賞し引退を…

労災認定されにくい精神疾患で働けなくなったら活用したい。『就労にまつわる障害年金 請求・相談のポイント』(高橋裕典、加賀佳子、萩原秀長、宇代謙治、中曽根晃共著/日本法令)

『就労にまつわる障害年金 請求・相談のポイント』(高橋裕典、加賀佳子、萩原秀長、宇代謙治、中曽根晃共著/日本法令)https://www.horei.co.jp/iec/products/view?pc=2472623 ブラック企業の労務管理は人の心も身体も蝕みます。近年、長時間労働やパワハ…

目の前にいるその人の「生きる権利」を具体化するための書。『法律家・支援者のための生活保護活用マニュアル 2019年度版』(編著・発行:生活保護問題対策全国会議)

『法律家・支援者のための生活保護活用マニュアル 2019年度版』(編著・発行:生活保護問題対策全国会議)http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-329.html 過酷な労働環境によって追い詰められた結果、生活保護の利用を申請する労働者が増…

新自由主義により数値化・商品化された教育に人間性を取り戻せるか。『崩壊するアメリカの公教育 日本への警告』(鈴木大裕著/岩波書店刊)レビュー

新自由主義により数値化・商品化された教育に人間性を取り戻せるか『崩壊するアメリカの公教育 日本への警告』(鈴木大裕著/岩波書店刊)https://www.iwanami.co.jp/book/b243732.html 「日本の教育は古い」、「詰め込みが多く実用的でない」近年、日本の学…

追悼・皆倉信和さん 労働組合だからできた普通に働き生活するための壮絶な闘い 映画『フツーの仕事がしたい』(土屋トカチ監督)

追悼・皆倉信和さん 労働組合だからできた普通に働き生活するための壮絶な闘い映画『フツーの仕事がしたい』(土屋トカチ監督) ドキュメンタリー映画『フツーの仕事がしたい』公式ブログhttps://nomalabor.exblog.jp/旬報社『DVD BOOKフツーの仕事が…