ブックレビュー
物語(ナラティブ)の力は人を動かし社会を変革する 『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』(大治朋子著/毎日新聞出版) mainichibooks.com ナラティブという言葉を聞いたことはあるだろうか。「物語」や「語り」などと訳されるナラ…
現在の労働問題の根源を辿り職場の民主主義再生の立脚点を見つめる『新編 民主主義は工場の門前で立ちすくむ』(熊沢誠著/社会思想社) kumazawa.main.jp 『新編 民主主義は工場の門前で立ちすくむ』は、労働経済学者である熊澤誠氏による1冊。刊行は今か…
弁護士が安全に仕事をするためのノウハウは労働相談・支援・伴走にも活用できる 『弁護士の護身術』(深澤諭史著/第一法規) www.daiichihoki.co.jp 『弁護士の護身術 人的トラブルに巻き込まれないための心得』は、インターネット上の法律問題などに取り組…
【いなばのブックレビュー】 ユニオン運動を次世代に繋いでいくために私たちが学ぶべき闘い方 『反骨の争議屋「東京ユニオン」物語』(髙井晃著/論創社) ronso.co.jp ユニオン運動は、ひとりひとりに寄り添い職場の様々な問題に取り組み解決することで、ひ…
主婦パートの闘いに光を当て非正規差別の病根を照らす1冊 『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(渋谷龍一著/旬報社) www.junposha.com 正社員と非正規の格差は深刻だ。その根底には家父長制に基づく性別役…
性暴力問題の解決に男性の参加は必須。家父長制・性暴力と闘う医師による1冊 『勇気ある女性たち 性暴力サバイバーの回復する力』(デニ・ムクウェゲ著/大月書店) www.otsukishoten.co.jp コンゴは「世界のレイプの中心地」と呼ばれることもある地域。『…
LGBT理解増進法成立の経緯と論点をまとめ緊急出版された1冊 『検証「LGBT理解増進法」』(神谷悠一著/かもがわ出版) www.kamogawa.co.jp 「そもそも人権は、他人に理解など求める必要もなく、生まれながらに誰しもが持っている普遍的な権利です。…
イギリス炭鉱ストに学び闘う、労働運動を再建するために 『イギリス炭鉱のストライキの群像 新自由主義と闘う労働運動のレジェント』(熊沢誠著/旬報社) www.junposha.com 1984年3月から1985年3月にかけて、イギリスで炭鉱労働者達の歴史的な大…
トップダウン型から共通課題に取り組むコミュニティの一員としての労働運動への変革を 『コミュニティ・オーガナイジングの理論と実践 領域横断的に読み解く』(室田信一・石上圭子・竹端寛著/有斐閣) www.yuhikaku.co.jp 『コミュニティ・オーガナイジン…
歴史を紐解き浮き彫りになる大産別の課題から労働運動のこれからについて考える 『オルグ!オルグ!オルグ! 労働組合はいかにしてつくられたか』(本田一成著/新評論) www.shinhyoron.co.jp 8月31日西武の売却計画を巡り雇用維持を求め「そごう・西武…
「座り込み」を娯楽として消費し、「沖縄はわがまま」と冷笑する日本社会の病を克明に記す1冊 『なぜ市民は”座り込む”のか~基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶~』(安田浩一著/朝日新聞出版) publications.asahi.com 2022年10月3日、ひろゆき氏が…
2024年問題について考えるためにまず知って欲しいトラックドライバーの現実 『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路~現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます~』(橋本愛喜著/KADAKAWA) www.kadokawa.co.jp 国民民主党の玉木党首は4…
カミングアウトされたら何をしてよくて何をしたらダメ、ちゃんと答えられますか? 『先生と親のためのLGBTガイド』(遠藤まめた著/合同出版) www.godo-shuppan.co.jp 両親や学校の先生が生徒に及ぼす影響はとても大きい。LGBTについて正しい知識を…
弁護士だけでなく、労働者の権利を考える全ての人にまず読んで欲しい1冊 『明日、相談を受けても大丈夫! 労働事件の基本と実務』(旬報法律事務所著/日本加除出版) www.kajo.co.jp 全ての弁護士が労働法に明るく、十分な知識を持って労働者の弁護や権利…
歴史の影に隠れたフェミニズムやアートとの関連性に光を当てる1冊 『おまえが決めるな!』(嶋田美子著/白順社) www.otafinearts.com 東京大学教養学部で主に1学期だけ日本に滞在する留学生向けに行われる、アーティストであり60~70年代文化研究を…
時代の変化に合わせ組織が「やさしいチーム」に変わるべき理由を誰にでも分かりやすく、実践的に解説した1冊 『だから僕たちは、組織を変えていける』(斉藤徹著/クロスメディア・パブリッシング) dakaboku.jp かつて世界中の企業から目標とされ、「最強…
生死を左右する生活保護に対する正しい知識。簡単丁寧にノウハウを伝える1冊 『学校では教えてくれない 生活保護』(雨宮処凛著/河出書房新書) www.kawade.co.jp 「私たちが小学生の頃は、困ったら生活保護を受給するようにと学校で普通に教えられたもの…
日本に生きる私たちこそ知る必要がある、声を上げてアメリカを変えた10人の軌跡。 『私たちが声を上げるとき アメリカを変えた10の問い』(和泉真澄、坂下史子、土屋和代、三牧聖子、吉原真理著/集英社新書)
日本に生きる私たちこそ知る必要がある、声を上げてアメリカを変えた10人の軌跡 『私たちが声を上げるとき アメリカを変えた10の問い』(和泉真澄、坂下史子、土屋和代、三牧聖子、吉原真理著/集英社新書) www.shueisha.co.jp 日本のジェンダーギャッ…
安倍元総理を殺害した山上徹也容疑者のツイートを紐解き社会課題とつなげる1冊 『山上徹也と日本の「失われた30年」』(五野井郁夫・池田香代子著/集英社インターナショナル) 2022年7月8日、安倍元首相を銃撃し殺害した山上徹也被告は41歳だっ…
当事者視点で書かれた性と労働について問い直す、はじまりの1冊 『セックスワーク・スタディーズ』(SWASH編/日本評論社) セックスワーク・イズ・ワーク、このことが真に世の中に受け入れられてほしい。セックスワークに従事する労働者を被害者と見…
運動を次世代に繋いでいくためにベテランオルグが伝える運動の軌跡と団結への道のり 『ひとのために生きよう! 団結への道』(石川源嗣著/同時代社) www.doujidaisya.co.jp 中小企業で深刻な後継者不足が起こり社会問題になって久しく経ちます。当然、この…
世界中から日本にやってきた人たちの物語 『日本に住んでる世界のひと』(金井真紀著/大和書房) www.daiwashobo.co.jp 日本国内には、様々な国の人たちが在住しています。そのこと自体を分かっているつもりでも、実際に本書を読むとあらためて「色んな国の…
ノンバイナリーについての日本で初めてのガイドブック 『ノンバイナリーがわかる本』(エリスヤング著/明石書店) 世の中には様々な性があります。と書くときっと一定数が、性別は男と女だけではないのかなどと反論してくることと思います。ノンバイナリー…
差別・排除のための議論ではなく差別禁止・正義のための議論を 『トランスジェンダー問題』(ショーン・フェイ著/明石書店) 日本でもトランス女性の女性トイレ利用について議論が行われ、その中で様々な差別的言動が飛び交っています。『トランスジェンダ…
300本以上の映画を撮った女性監督による、映画監督が「女になれない仕事」だった時代へのレクイエムと次世代への架け橋 『女になれない職業 いかにして300本超の映画を監督・制作したか。』(浜野佐知著/ころから) 本書の著者である浜野佐知氏は、1…
アートの領域に横たわる伝統的家父長制とそれによる差別・性搾取の構図を暴き出す 『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』(猪谷千香著/中央公論新社) 『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』は、美術業界に根深く横…
マルクスとエンゲルスの思想の違いから宮沢賢治の目指した共同社会の姿を見る 『甦るマルクス 「晩期マルクス」とコミュニタリアニズム、そして宮澤賢治』(大内秀明著/社会評論社) www.shahyo.com 「資本論」はマルクスの最晩年の著作。拡大する資本主義…
不寛容な格差社会が生み出した社会問題「特殊詐欺」について犯人目線で記したルポ 『ルポ特殊詐欺』(田崎基著/ちくま新書) www.chikumashobo.co.jp オレオレ詐欺という言葉が使われるようになったのは、およそ20年前。この間、オレオレ詐欺をはじめとす…
生きるということは抵抗するということ。『布団の中から蜂起せよ』(高島鈴著/人文書院) 社会運動・労働運動の現場では「ともに立ち上がろう」、などという言葉や言い回しがよく使われます。そして、社会の不合理・不条理とその影響を受けた会社の理不尽に…
ジェンダーギャップ指数世界116位の日本にジェンダー平等に根ざした新しい労働世界を。『新しい労働世界とジェンダー平等』(浅倉むつ子著/かもがわ出版) コロナ渦で女性の貧困がますます深刻化し、女性労働者の比率の高い、介護の現場で多くのクラスタ…