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大手警備会社テイケイ(株)に対する退職強要事件の裁判で勝利判決!退職届を書かされるも賃金支払い命じる

大手警備会社テイケイ(株)に対する退職強要事件の裁判で勝利判決!
退職届を書かされるも賃金支払い命じる


 大手警備会社のテイケイ(株)を相手取った退職強要問題の裁判で、3月25日、東京地方裁判所で、警備員として働いていた組合員、有賀政敏さんの完全勝利判決が出されました。5時間にわたりホテルに呼び出され退職届を書かされてしまいましたが、雇用関係にあることを前提に判決確定の日までの賃金支払いを命じる画期的な判決です。
■福井の現場でホテルに5時間も呼び出し
 テイケイ(株)で働く警備員は、毎週水曜日午後に、会社が指定した時間に営業所に勤務実績報告書を持参し、実績報告をするよう命じられていましたが、この時間は無給とされ、交通費すら支給されていませんでした(組合が団体交渉で賃金の支払いを求めたことをきっかけに1回500円の手当は支給されるようになりました)。
 2018年3月にテイケイ(株)に入社し、警備員として働いてきた有賀政敏さんは、ほか2人の警備員とともに2019年4月にプレカリアートユニオンに加入。組合が、有賀さんらの勤務実績報告書持参に関する未払い賃金の支払いなどを求めて団体交渉を申し入れると、テイケイ(株)は、有賀さんを含む3人の組合員に退職強要を行ったのです。
 同年5月当時、有賀さんら3人の組合員は北陸新幹線高架橋工事の見張り員として福井県の現場に泊まり込みで出張して働いていました。テイケイ(株)は、小山支社の支社長と社長ほか4人で、有賀さんら3人を仕事終わりに、19時30分から24時過ぎまで5時間もビジネスホテルの一室に呼び出し、数回の遅刻を「警察沙汰にする」と責め立てるなどして、退職届を書かせるという退職強要を行いました。
■なりふり構わぬ組合潰しを許さない
 有賀さんらが解放されたのは深夜でしたが、疲労困憊している関わらず、眠る時間も与えられず、朝の10時までに速やかに寮の荷物をまとめ引っ越しの準備をするよう命じられました。夜通し引っ越し準備に追われ、終わったのは朝の9時前後。散り散りになるのが名残惜しく、3人はそのまま食事に行きました。「こんなやり方はひどい」「悔しい」。3人は会社のなりふり構わぬ組合潰しに、声を揃えたそうです。「組合に入ったことを理由に会社から追い出すのは許さない」。有賀さんは、会社と徹底的に闘う決意をします。
 有賀さん以外の2人は、裁判に立ち上がることまではかないませんでした。有賀さんは、退職の意志がないことを会社に伝え、同年8月に東京地裁雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めて、労働審判を申し立てました。

 2019年12月、東京地方裁判所で、テイケイ(株)に対して解決金の支払いを認める労働審判が出されましたが、会社側が異議を出し、本訴に移行。この裁判で、このたび原告の勝利判決が出されました。労働審判、本訴ともに、原告側代理人は、旬報法律事務所の佐々木亮弁護士、鈴木悠太弁護士、髙橋寛弁護士です。
 水曜日の勤務実績報告を命じられている時間の未払い賃金についても東京地方裁判所に未払い賃金請求訴訟を提起しており、今年3月23日に結審。判決が待たれます。
■差別表現を含む嫌がらせ文書を大量送付
 テイケイ(株)は、現在、プレカリアートユニオンとの団体交渉を拒否し、街宣活動に対する抗議、などと称して、組合、役員、組合員などに対し、「雲助」などの職業差別を含む、組合や組合員を中傷する文書を会社の社名の印刷された封筒で、代表者印を押印して毎週毎週、大量に送付し続け、本社前での街宣活動中に、通行人に見えるかたちで組合や組合員を中傷し、「反グレ→反社」「労働運動標ぼうゴロ」など事実無根の暴言を垂れ幕として掲示し続けました。さらにプレカリアートユニオンに対し、街宣活動が名誉毀損であるなどとして約1000万円の損害賠償を請求するスラップ訴訟を起こしました。
 嫌がらせの文書送付と文書掲示については、労働組合への不当労働行為(労働組合法7条3号)、名誉毀損行為に該当するため、2021年1月、プレカリアートユニオンがテイケイに対し不法行為に基づき損害賠償を求めて、東京地裁に反訴しました。
■不当労働行為救済命令で入札参加停止も
 テイケイ(株)による有賀さんに対する退職強要、団体交渉拒否、文書送付及び文書掲示については、東京都労働委員会に不当労働行為救済申立をし、すでに結審しているため、6月には救済命令が出される見込みです。テイケイ(株)は、官庁や都道府県ほか自治体関連の警備を数多く受託しています。これまで、違法行為を開き直ってきたテイケイ(株)ですが、不当労働行為救済命令が出されれば、入札参加停止となる自治体もあります。
 2019年8月、労働審判申立にあたり有賀さんは、「今までテイケイは気に入らない人間を一方的に排除し続けてきた」「泣き寝入りせず闘う人間もいるんだということを会社に知らせたい」「会社が危機意識を持って反省し、自ら行いを改めてほしい」と語っていました。テイケイ(株)の経営陣は、有賀さんの思いを受け止め、判決を機に、現場で働く警備員を大切にし、労働組合嫌悪を改め、速やかに労使紛争を解決すべきです。
 清水直子(執行委員長)
※テイケイ(株)による退職強要や嫌がらせの文書送付を描いた『嘘でしょ? テイケイは怪文書送付をやめろ』をYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。

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