プレカリアートユニオンブログ

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【組合員の手記】都人権部が歴史的事実を扱った作品「検閲」し上映禁止に。人権部職員は職務を担う能力と知識、感性を持って

都人権部が歴史的事実を扱った作品「検閲」し上映禁止に
9月1日まで毎週、都庁前連続行動・リレートーク
人権部職員は職務を担う能力と知識、感性を持って


 昨年、私は東京都人権プラザで、企画展・飯山由貴「あなたの本当の家を探しにいく」という映像作品3点による個展を行った(2022年8月30日~11月30日)。本展は東京都人権プラザの指定管理者である公益財団法人東京都人権啓発センターからの展示依頼があり開催した。
 東京都人権プラザは東京都が設置した公の施設である。東京都総務局人権部の前身は東京都総務局同和対策室である。1971年に設立された財団法人東京都同和事業促進協会が1998年に名称変更をし、公益財団法人東京都人権啓発センターとなった。また、1972年に設立された東京都産業労働会館が、2002年に名称変更し東京都人権プラザとなり、2017年に浅草から港区へと移転した。
■都人権部から上映に「懸念」のメール
 しかし、本展会期中の附帯事業として、監督した映像作品《In-Mates》(2021年・26分50秒) の上映とトークイベントをセンター専門員らに対し提案し、同年4月に東京都総務局人権部に本展の附帯事業の事業計画書をセンターから人権部に上げたところ、人権部から2022年5月12日に、本作の上映についての3つの「懸念点」、事実上の 「上映できない理由」が書かれたメールが、センターの複数の職員をccに入れた状態で送られてきた。
■「追悼文」送らない小池都知事の顔色をうかがい
 人権部職員らの懸念は次の3点である。関東大震災朝鮮人虐殺を東京都は「言及していない」ので、小池百合子都知事が長年追悼文を送らないという立場をとっているにも関わらず、「事実」と発言する本作への懸念、詩人でラッパーのFUNIによる作中のパフォーマンスが「ヘイトスピーチ」として「本邦外出身者に対する差別を扇動」するのではないかという懸念、最後に「在日朝鮮人は日本で生きづらいという面が強調されており、参加者がこういった点について嫌悪感を抱かないような配慮を」というものだった。
 このメールをきっかけに、発信者不明の「上映は困難」という内容の文書が私に渡され、その後、書面と対面での交渉をセンターと行ったが、同年8月12日に、これ以上交渉を重ねると人権部の判断で展覧会が中止となるという言葉が当時のセンター事務局長からあり、東京都人権部による歴史否定と在日コリアンへの差別、出演者のパフォーマンスへの重大な誤認を含む事件があったことが記録に残らず告発が不可能になる可能性を考え、展覧会の実施を優先し、開催後の同年10月28日に出演者らとともに記者会見で抗議をし、この事実を公開した。
■人権啓発センターの専門性尊重を
 2023年3月1日には、オンライン署名約3万筆と要望書を人権部の課長2名に手渡ししたが、要望書への返答を求めても現在まで一切の応答がないため、本年6月27日から、私が加入しているプレカリアートユニオンのみなさんと共に街頭で抗議のリレートークと人権部への申し入れを週に一回行っている。しかし、「契約は終了している。センターがすべて説明した。何もお話しすることはございません、お引き取りください。」という言葉が担当課長からは返ってくるばかりだ。
 たまたまその時に都知事である人の姿勢に左右され、取り組むべき人権課題に偏りがある状況に疑問や葛藤を持てないのであれば、人権部職員はその職務を担う能力と知識、感性がないのではないか。その能力がないにも関わらずセンターの専門性を尊重せず、政治の姿勢をただ東京都の事業に押しつけ、「虐殺から100年目に際し、人権部として何か取り組みはしないのか」と尋ねても、「所管ではない」というあまりにも冷淡な言葉で無視しようとしている。
■100年前の歴史継承しよう
 100年前の事件は「朝鮮人」だから殺されたのではなく、日本人が「朝鮮人」を見つけようとしたから、多くの朝鮮人と、中国人、被差別部落出身者、聴覚障害者をも殺した事件である。原因は差別をした人々の心と、それを作り上げた社会や文化にある。災害時の人々の心をどう考えるかという点でも、人権部はこの歴史の継承へ真摯に取り組むべきだ。
 飯山由貴(アーティスト/組合員)

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