プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

プレカリアートユニオンが取材に協力した変形労働時間制に関する記事が『朝日新聞』2020年8月30日版に掲載されました

 

プレカリアートユニオンが取材に協力した変形労働時間制に関する記事が『朝日新聞』2020年8月30日版に掲載されました。

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労働相談は 誰でも1人から加入できる労働組合
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移民の清掃労働者が糧と尊厳を求め立ち上がる。映画『ブレッド&ローズ』

 『ブレッド&ローズ』は2000年イギリス製作の映画です。以前もこのコーナーで取り上げた『家族を想うとき』の監督でもある、社会派の巨匠ケン・ローチ監督による初のアメリカ撮影作品です。移民労働者の貧困と差別、そして、労働組合と企業の闘いを描いています。実際にあった労働条件改善運動をモチーフにした作品で、タイトルの「ブレッド(パン)」は生きるために最低限必要な糧、「ローズ(薔薇)」は人間らしく彩りのある人生を生きるための尊厳を意味しています。

メキシコからの「不法移民」マヤ
 主人公のマヤは、メキシコからの移民です。移民といっても所謂「不法移民」。ロサンゼルスに住む姉のローサを頼って、アメリカにやってきます。移民の問題は、とても深刻で複雑化しています。マヤたちが違法と知りながらも国境を越えなければならない背景には、故郷メキシコでの貧しい暮らしがあるのです。現在のアメリカ政府は、移民達にその人権を否定するような弾圧を加えていますが、一概に「不法」移民だから「悪」だとレッテルを貼ってしまうのはあまりにも乱暴なことです。アメリカの歴史は移民の歴史でもあります。現実問題として、マヤたちのような移民たちは極めて低賃金で不安定な仕事を強いられ、それに依存して経済が成り立っている一面もあるのです。

人としての尊厳を奪われた清掃員たち
 マヤは、ローサの紹介で彼女と同じビルの清掃員の仕事に就きます。ハードな仕事でしたが、それでもマヤたちには「恵まれた」仕事でした。入職早々、マヤは事務手数料だと清掃員の管理者から1ヶ月分の賃金を搾取されてしまいます。清掃員たちは、管理者の気分次第でいとも簡単に即日解雇されてしまう事が日常茶飯事だったりと、極めて不安定な就労環境に置かれていました。清掃員の多くは移民、社会構造には巧妙に差別が組み込まれているのでした。また、ビルのテナントの従業員やホワイトカラーたちにとって、清掃員は「透明人間」であり、清掃中でもまるでそこに存在しないかのように彼らの存在は無視され続けるのが常でした。清掃員はひとりの「人間」として扱われていないのです。

低待遇や雇用の不安定の解消を訴え立ち上がる!
 また、待遇面でも清掃員達は極めて低賃金での労働を強いられ、保険にも入れない状況でした。「80年代は今よりもっと賃金が支払われていたし、健康保険にも入っていた」と組合の若きオルグであるサムはマヤたちに呼びかけます。日本にいるとなかなか実感できないことですが、80年代以降アメリカを含むほとんどの先進諸国では、給与水準が年々上がっています。それが80年代と比べて低く保険もないのだというのだから、彼らの待遇がいかに劣悪なものであったかが伺い知れます。組合に入って会社と闘うべきだと言う呼びかけに対し、はじめは組合活動に懐疑的だった清掃員たちも、仲間の解雇を受け、会社と闘う意志を固めます。

組合の壮絶な闘い!そして…
 組合は、清掃会社そのものだけではなく、会社に仕事を委託するビルのオーナーにも不当な待遇に対する責任があるとして、様々な抗議活動やデモを展開します。オーナーの会食や法律事務所の記念パーティーに乱入して、清掃員たちの置かれた現状と待遇の改善を訴え続けました。組合活動が盛り上がりを見せると、会社は組合活動に参加したと目される従業員たちを全員解雇。マヤも解雇されてしまいます。清掃員たちは、怒りを胸に立ち上がります。ビルを目指し、大勢のデモ隊が「パン」と「薔薇」を求め突き進んでいきます。

 この映画は、アメリカの移民の闘いを描いた作品です。極めて不安定な就労環境や生活を強いられる彼らは、正しくプレカリアートだといえます。物語は完全なハッピーエンドでは終わらず、社会に課題を投げかけるような幕引きです。プレカリアートの団結と闘いについて、様々なことを考えさせられる名作でした。

稲葉一良(書記次長)

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プレカリアートユニオンが取材に協力した休業手当に関する記事が『朝日新聞』2020年8月21日朝刊に掲載されました

プレカリアートユニオンが取材に協力した休業手当に関する記事が『朝日新聞』2020年8月21日朝刊に掲載されました。記事中に登場するホテルは、当初は平均賃金の6割のみを支払うとしていましたが、団体交渉を行い、平均賃金全額を補償し、通常の賃金との差額分についても解決を目指しています。

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メールマガジン『プレカリアートユニオン(PU)通信 第105号 <2020.08.07発行>』を発行しました

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 Precariat Union 駆け込み寺から砦へ
 非正規雇用でも若い世代の正社員でも組合を作って労働条件をよくしたい!
 プレカリアートユニオン(PU)通信 第105号 <2020.08.07発行>

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─□ 目次 □───────────────────────────

 1.イースタンエアポートモータース株式会社と労使紛争の一切
  について和解、ほか                 【解決!】

 2.【和解により削除】【ブラック企業

 3.非正規雇用、女性など立場の弱い労働者にしわ寄せ。裁判は向かない
   コロナ関連の労働問題も解決する力とは  【駆け込み寺から砦へ】

 4.ユニオンをレッテル張りしながら会社に違法行為を勧めるトンデモな
   内容。『ブラックユニオン』(新田龍著/青林堂)【ブックレビュー】

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非雇用で働く労働者の仲間として。『地下アイドルの法律相談』(深井剛志・姫乃たま・西島大介著/日本加除出版)

「地下アイドル×法律」一見すると「???」となってしまいそうですが、インディーズアイドル界では、当事者の無知につけ込んだ様々な搾取の構造が存在しています。「地下アイドルの法律相談」は旬報法律事務所の深井剛志弁護士、ライターで元地下アイドルの姫乃たま、漫画家の西島大介による著書です。普通に生活をしているとなかなか見えてこない「地下アイドル」の世界を、法律という切り口で紹介していきます。

アイドルは事務所と「契約」している
 労働者が使用者と「労働契約」を結ぶように、アイドルも事務所と契約をしています。「専属マネジメント契約」、「専属芸術家契約」と、その名称は実に様々ですが、法的には「業務委託」に分類されています。契約は、本来双方の合意により対等に結ばれるべきものですが、実態としては事務所とアイドルの力関係などから、極めてアイドルにとって不利な契約になっています。

アイドルは恋愛禁止?
 また、アイドルは「恋愛禁止」等という話は、聞いたことがある方も多いと思います。もし、これが契約書に定められていた場合、幸福を追求する為に重要な権利を制限する内容なので、無効になることもあり得るのだといいます。また、恋愛をしたことにより契約を解除するという条項も、無効になる可能性が高いと著者は記しています。「恋愛を禁止するかはアイドル本人が決めるべし」と、自身も地下アイドルとして活動していた著者のひとりである、姫乃たま氏もアイドルと恋愛についてのコラムを本書に寄せています。

 一見して、労働運動とは縁遠そうにも見える地下アイドルの世界。しかし、非雇用で働く労働者の仲間とも考えられます。本書ではアイドルを巡る契約上の様々な不平等やハラスメントなどについて紹介していますが、「辞める際に損害賠償を請求された」、「力関係によりハラスメントを受けた」、「辞めたくても辞められない」などの問題は、そのまま非雇用全体の問題としても考えることが出来る内容です。先入観を捨て、新しい労働問題の本として一読してみることをお勧めします。

 稲葉一良(書記次長)

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無意識に差別をしないための知識を。『LGBTとハラスメント』(神谷悠一、松岡宗嗣著/集英社新書)

 いわゆる「パワハラ防止法」が、今年6月から大企業や自治体などで施行され、パワハラの防止対策を講ずることが義務づけられました。このパワハラのなかに、「SOGIハラ」や「アウティング」といった主にセクシャルマイノリティに対する偏見から生じるハラスメントも含まれることになりました。皆さんは、それぞれどんな意味かわかりますか。「LGBTとハラスメント」は神谷悠一、松岡宗嗣による共著です。LGBTに関する基礎知識から主に職場等において起こりうる様々な問題について、丁寧に解説しています。

人の「性のあり方」を否定してはいけない
 「SOGIハラ」とは、「Sexual Orientation(性的指向)」と、「Gender Identity(性自認)」それぞれの頭文字を取った言葉です。性的指向性自認についての侮蔑的な言動などがこれに当たります。「性的指向」とは、自分の恋愛や性愛の感情がどちらの性に向くのか、向かないのかという要素、「性自認」とは、自分の性別をどう認識しているかという要素だと筆者は解説しています。これらについて、他人が土足で踏み込むかのように、からかったり、批判したり、侮辱することは、当然にハラスメントになり得る行為です。

当該者の命すら奪う「アウティング
 「アウティング」とは本人の性のあり方を、第三者に勝手に暴露することを指します。「あの人、ソッチの人なんだって」など、言いふらす側からすればふざけ半分のつもりかも知れませんが、アウティングは、被害者の命を奪いかねない深刻なハラスメントになります。実際にアウティングによって自ら命を絶ってしまった事例も踏まえ、何故いけないのかついて詳細に解説しています。

 これ以外にも、本書を読めば職場等における基本的なLGBTの知識が一通り身につきます。差別しないという「心」も当然大切ですが、それだけでは不十分です。無意識に差別をしてしまわないためにも、しっかりとした「知識」を得ることが大切なのです。

 稲葉一良(書記次長)

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鶴見大学の非常勤差別是正に取り組む 職種別ユニオンの結成にも意欲的

鶴見大学の非常勤差別是正に取り組む 職種別ユニオンの結成にも意欲的

キャリアコンサルタントのSさん

 コロナ下で、様々な差別が浮き彫りになりました。非正規差別もその1つです。Sさんは、育児をしながら、非常勤のキャリアコンサルタントとして鶴見大学で学生のサポートにあたっています。大学は、新型コロナウイルス感染拡大防止措置として、職員に対して8日間の勤務免除日を設けましたが、専任に対して賃金を全額補償する一方、非常勤であるSさんらに対しては賃金の6割しか支払わないとしました。また、保育園の登園自粛要請に伴う休業についても無給扱いとするといわれてしまいます。組合による団体交渉申入と交渉の結果、大学はこれらの不合理な取り扱いをあらためることを約束しましたが、非正規へのいわれない差別は未だ学内に根深く残ります。今回はキャリアコンサルタントのSさんを紹介したいと思います。
 ■「学生の納得する姿にやりがいを感じます」
 キャリアカウンセラーになる前のSさんは、派遣で大学事務をしていました。そこで、職員の方にキャリアアドバイザーの資格を勧められたことがきっかけで資格取得を考え始めたといいます。現在は大学のキャリア支援課で働いていて、学生の履歴書やエントリーシートの添削、就職相談、就職講座の講師やサポート、保護者との就職相談、企業対応、諸事務などが日常の主な業務になります。非常勤といっても、専任とほとんど勤務体系も変わらず、職務の責任も重大です。時には、大学を代表してひとりで地方まで出張に行くことすらあります。そんな仕事の中でも、学生が納得できる就職相談ができたとき、学生が納得できる履歴書、エントリーシートができたときには特にやりがいを感じるとSさんは語ります。
 ■生存権を脅かした「非正規差別」
 新型コロナウイルスへの対応で、大学は非正規を露骨に差別する判断を下しました。前述の通り、組合の働きかけによりそれらの休業補償に対する差別は是正されましたが、コロナ下の休業補償について差別をすることは、命の峻別をしているようなものです。専任の生活は守るが、非常勤の生活はどうなってもいいという態度は決して許されるものではありません。
 ■「無自覚の差別」ゆえの根深さ
 Sさんは今回の問題を振り返り、「コロナ禍のなかで誰もが不安になっている時に生活を脅かされるような判断をされました。今まで差別を感じながらも見ないふり、気がつかないふりをして穏当に過ごしてきた日々が白々しく感じました。一番辛かったのは、途中で補償要求を諦めた同僚に理由を聞いた時『声をあげると損をする』と言われたことです。そんな日本ごとどうにかしたい。正規じゃないほうに属しているからこそ感じられる憤りを直視して処したい。今回の団体交渉を通じて、大学は臨時職員に対して差別・区別することは当然のことだと考えていて、悪気なく、だからこそ大した検討も熟慮もなく雰囲気で今回のことを判断してきたんだと分かり、返って根深さを実感しました。4月から施行されたパート・有期雇用労働法でどこまで改善できるのか、数年前から期待してきた法律なので、もっと大きなうねりになるといいと思っています。」と語ってくれました。
 ■「キャリアコンサルタントユニオンを作りたい」
 また、Sさんは今後組合で取り組みたい課題について「国家資格であるキャリアコンサルタントは多くの人が不安定な非正規雇用で働いています。キャリアコンサルタントの職種別ユニオンを作りたい、できればいいと思っています」と意欲を示してくれました。学生達にキャリアプランを提案する、キャリウコンサルタントの待遇問題が年々深刻化しています。ドクターの不養生よろしく、キャリアコンサルタント自身がキャリアを形成できないというような歪な構造が蔓延しているのです。大学が専任としてキャリアコンサルタントを採用しないということや、そこから派生する非正規差別の問題がその大きな要因となっています。現在は、学内での均等待遇の実現に向けて大学との交渉が行われています。

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