プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

『物流タイムズ』2015年3月16日号の記事に抗議と訂正要求

物流タイムズ編集長の安村氏宛に対し、当労組への取材もない事実誤認に基づく記事の訂正を要求しました。

貴社の記事に対する是正要求

 貴社の『物流タイムズ』2015年3月16日(第188号)第一面の「労働者救済名目で業界巣くう 外部ユニオン」と見出しのついた記事は、客観報道の原則に反するばかりではなく、事実誤認に満ちたものである。

 また、当該記事は労働組合法第7条3号違反で禁じている、使用者による不当な支配介入という不当労働行為に加担する行為であることを警告する。

 当該記事には、「労働者救済名目で業界巣くう 外部ユニオン」「加入すれば抗議行動への参加必至」という、合同労組へのマイナスイメージを植え付ける見出しがつけられ、記事には、合同労組に関する事実誤認の内容が列挙されている。その上、あまたある合同労組のなかで当労組の組合名が挙げられた上で、当労組に取材することなく、当労組の見解が紹介されている。

「(合同労組が争議権を行使できるという)こうした立場を利用して組合員を募り、成功報酬を得るという活動をしているのである。」とあるが、事実と異なる。合同労組は成功報酬を得る活動はしていない。

「では、労働問題に悩んだ場合、労働者はどうしたらよいのだろうか。まずは、弁護士に相談して裁判所に提訴し、法的な解決を求めるのが一般的であろう。」とあるが、事実と異なる。労働問題に悩んだ労働者がとる手段が一般的に裁判であるということはない。

「その場合、弁護士には着手金として約30万円前後、成功報酬として10〜20万円の費用が必要となるが、基本的には弁護士任せとなるため、普通に働きながら進めていくことができる。」とあるが、事実と異なる。成功報酬は、得た経済的利益に対して特定の割合で設定されるのが通常であるため、「10〜20万円の費用が必要」とあらかじめ金額が決められているわけではない。また、労働組合に加入して裁判を行う場合も、裁判を行うこと自体は同じであるから、「普通に働きながら進めていくことができる。」ことに変わりはない。

「一方、ユニオンに加入した場合は、組合員として毎月会費を徴収される上、ビラ配りや抗議活動を自ら積極的に行わなければならず、訴訟となれば裁判所にも出向かなければならない。」とあるが、ビラ配りや抗議活動は強制されるものではなく、使用者側が裁判手続きを引き延ばすことを防ぐための手段である。「訴訟となれば裁判所にも出向かなければならない」とあるが、個人で弁護士に依頼した場合と、組合に加入して裁判も行う場合とで、訴訟手続きに何か変わりがあるわけではない。

「仲間を増やそうと、周囲への迷惑を省みることなく勧誘するため、かえって孤立する場合が多い」とあるが、第一に勧誘は組合員の義務ではなく、使用者との力関係で優位にたつために、組織拡大をすることが自らの利益でもあるからそうしているのである。第二に、周囲への迷惑を顧みずに勧誘することは組合で推奨しておらず、事実と異なる。

「ビラ配りや拡声器を使った抗議行動に参加しなければならないのだ」とあるが、上述の通り、ビラ配りや抗議行動は強制されるものではない。

「組合員になった過去が影響して、『それ以来、まともに雇ってくれるところがなくなった』という声もある」とあるが、組合活動を理由に採用しないことは組合員に対する不利益取扱であり、明白な違法行為である。「正社員として転職することは今後一生まず不可能で、アルバイトまたはパートとしてでも難しいだろう」とあることも事実と反する。組合員らは正社員として転職している。

「必ずしもユニオンに加入したほうがいいとはいえず」という記述は明らかにユニオンの否定である。「訴訟となればユニオンの顧問弁護士への費用も別途必要となるため、それならば最初から身近な弁護士に依頼したほうが確実なのではないだろうか」とあるが、企業側の不誠実な対応により訴訟に持ち込まれた事例はあるものの、そもそもユニオンは訴訟以前に問題を解決した事例が数多くある。「もちろん、その前に個人的に問題を解決できるよう、努力するべきであろう」とあるが、労働問題を個人の問題に矮小化してはならず、個人の力だけでは問題解決に至らない事が多く、それ故に労働組合の役割が法的に認められているのである。

「労働者は問題解決にあたって、安易なユニオンへの加入はユニオンに食い扶持を与えるだけで、根本的な問題解決には至らない」という記述も、労働組合が数々の問題に対処してきた事実を無視しており、不当である。


 我々は、貴社編集長が直ちに事情説明のため我々のもとに来所すること及び、物流タイムズ次号第一面にて以下の通りの謝罪訂正記事を掲載するよう求める。誠実な回答及び謝罪訂正がなされなければ事情を伺いに参上するものである。


陳謝文

プレカリアートユニオン
執行委員長 大平正巳様

 この度、当社が、2015年3月16日(第188号)で「労働者救済名目で業界巣くう 外部ユニオン」と見出しのついた記事で、プレカリアートユニオンの名前を挙げて、事実誤認に基づき、労働組合に加入すると労働者に不利益があるかのような偏った記事を作成、流通させたことをここに謝罪し、今後二度とこのような偏向報道を行わないことを誓約します。
 また当社は、ユニオンに加入することが労働者の不利益になってはならないことを確認するとともに、労働者の団結する権利を記した憲法第28条と労働組合法の精神を最大限に尊重することを表明するものです。

2015年  月   日

物流タイムズ 編集長