プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

コロナ下だからこそ、力強い活動を 第9回定期大会開催し全ての議案を議決

■コロナ下だからこそ、力強い活動を
第9回定期大会開催し全ての議案を議決

 「コロナ下で拡大する差別や貧困をなくす労働運動に果敢に取り組もう!!」をスローガンに掲げ、9月12日、第9回定期大会(第11回大会)を連合会館にて開催しました。全ての支部から代議員が選出され、感染対策をとりながら広めの会場を使って、30人ほどの組合員が参加。

 定期大会の開会にあたり、私がお話したのは、次のようなことです。
 「今日集まった組合員は、ブラック企業と呼ばれるような困難な職場で泣き寝入りせず、諦めず、自分の命や健康、尊厳を守ろうと、力を合わせてそれぞれの職場で闘っている仲間、闘う仲間を心から支えようとする仲間たち。私たちが日々労働相談に対応している労働者、交渉している組合員の状況は、猶予がない。理不尽に解雇された、パワハラをされて心身ともに限界がきている、会社の都合で一時帰休を命じられて平均賃金の6割しか払われず生活ができない、など、放っておいたら生きていけない。だから、私たちが組合活動をやめてしまうわけにはいかない。会社に対するアクション(直接行動)など、解決力の源である活動を萎縮してやめてしまったら、人の命が失われることにもなりかねない。コロナ下だからこそ、感染対策はとりつつも、直接行動に取り組まなければ身を守り、問題解決をすることが難しい。コロナ下で3ヶ月ほど、裁判の進行も止まっていたこともあり、裁判頼みでは仲間の身を守ることができない。適切な手段で、自分や仲間の身を守り、問題を解決するために必要な手段を3月以降もとってきた。今日以降、これからも取らざるを得ない。年末にかけて、倒産やリストラが拡大し、組合活動の必要性はさらに強まる可能性がある。すでに、子どもの通う小学校の休校で仕事を休まざるを得なかったシングルマザーの非正規労働者が、そのままでは無収入になってしまうところをプレカリアートユニオンにつながって有給の特別休暇を取ることができた例もある。組合につながっていなかったらどうなっていたのか。緊急性のある問題に今まで以上に対応する必要があるだろう。しかし、これだけ強い意志と力をもったこの仲間がいるので、私は、これから始まる1年間も対応していけると思う。世界的に、歴史的に、危機的な状況に向き合っていかなければならない。私たちは、子どもや孫の世代に、あのとき私たちは、自分のことだけ考えて、人のことは見て見ぬふりをして生き延びたのではなく、仲間と一緒に、弱い人や困っている人と助け合い、身を守って生き延びたのだと胸を張って言えるように、力を合わせて創意工夫をして取り組んでいきたい。今日、そのために必要なことを話し合い、新しい年度に向けて取り組むべきことを話し合ってほしい。」
 定期大会では、真摯な討論が行われ、提案した全ての議案が議決されました。
清水直子(執行委員長)


■団結力の強い組織を作るため
単なる組織拡大ではなく組織化を実現しよう

 9月12日に開催した定期大会では、来賓として全国ユニオン全国コミュニティ・ユニオン連合会)会長の鈴木剛さん、プレカリアートユニオンの顧問を務めていただいている労働弁護士の佐々木亮さん(旬報法律事務所)から連帯挨拶をいただきました。

■「労働組合員であることに胸を張って。サポートします」(佐々木弁護士)
 佐々木さんは、「今担当している労働事件は、プレカリアートユニオン関連の事件も多い。最近、いい判決をとることができた。変形労働時間制をとっている会社で、法律上の要件を満たしていなかった場合にどう判断されるかが問われたケースで画期的な取り組みだった。コロナの影響で、パートやアルバイトで働く労働者が休業させられても賃金補償がされない会社も多い。どうするかという選択肢で一番の正解は、労働組合に加入して声を上げること。労働組合の権利は、憲法労働組合法で手厚く保護されている。なぜかといえば、使用者は強く、労働者は弱く、生身で闘ったら使用者には勝てない。勝てなくてよいかというと、そのままでは社会がおかしくなってしまう。だからこそ社会を機能させるため、憲法や法律で労働組合の権利を保護している。だから、皆さんは、労働組合員であることに胸を張って、差別や貧困をなくす労働運動に果敢に取り組んでほしい。私も皆さんが正当な権利を行使して労働運動ができるようにサポートしていきたい。」

■「非正規労働者労働組合と出会っても合うのが私たちの役割」(鈴木会長)
 鈴木さんは、「全国ユニオンは、個人加盟の労働組合の連合体で2500人ほどが所属し、今日の会場の連合会館にあるナショナルセンターの連合に入っている。母体となっているコミュニティ・ユニオン全国ネットワークは、80組織、2万人が加入している。全国ネット以外にも様々な個人加盟のユニオンや合同労組がある。現在、日本で労働組合に加入しているのは労働者の17%程度で加入率は減っている。労働者の100人のうち80人は労働組合に加入していない。そのなかで多くの労働組合は正社員の男性の日本人で大企業の人がほとんど。従業員1000人以上の大企業では、今も半数近くには労働組合がある。中小企業では労働組合加入率は1%程度。有期雇用や派遣などの非正規労働者や非雇用の労働者の圧倒的多数は労働組合に出会っていない。そういう労働者に労働組合を知ってもらって、働きやすい職場にするのが私たちの役割。労働組合の数は減っているがユニオン、合同労組の加入人数は増えている。コロナ下の困難な課題に取り組む労働運動の一角にプレカリアートユニオンの皆さんの活動がある。」

ナショナルセンターの枠を超えた連帯メッセージ
 このたびの定期大会には、日本労働弁護団部落解放同盟中央本部、東京労働安全衛生センター、コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク全日本建設運輸連帯労働組合、全日建関西地区生コン支部、全日建近畿地区トラック支部、全労働省労働組合、全国労働金庫労働組合連合会、全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合、全国一般労働組合東京南部、下町ユニオン、全国一般岐阜一般労働組合、名古屋ふれあいユニオン、愛知連帯ユニオン、連合福岡ユニオンをはじめとするナショナルセンターの枠を超えた労働組合の皆様、労働団体の皆様、全国ユニオンに加盟する仲間の皆様、福島瑞穂様(社会民主党党首)、阿部知子様(立憲民主党衆議院議員)、西村智奈美様(立憲民主党衆議院議員)、辻元清美様(立憲民主党衆議院議員)、松田功様(立憲民主党衆議院議員)、角倉邦良様(立憲民主党群馬県議会議員)、土屋トカチ様(映画監督)より、心強い激励のメッセージをいただきました。誠に有り難うございました。

■組織の内部オーガナイジングで強い組織に
 2021年度の運動方針、ストライキ権確立をはじめ、提案した全ての議案を決議しました。プレカリアート(不安定な労働者)を組織化し、労働条件の維持向上に取り組もうと、「駆け込み寺から砦へ」をキャッチフレーズにプレカリアートユニオンを結成したのが2012年4月、結成から8年半を迎えます。今年度は、団結力の強い組織を作るため、チーム活動をより活性化し、単なる組織拡大ではない組織化を実現すること、執行委員会役員の3割を男性以外の性自認の人が参画すること、外資系企業で働く労働者のチームを作り多言語での情報発信を進めること、次世代の専従をさらに1人育成することなどの方針に則り、引き続き不安定な労働や生活を強いられる仲間の組織化、労働問題の解決に取り組み、仲間の皆様と共に、引き続き奮闘していく決意です。


2021年度役員(三役)
執行委員長  清水直子
副執行委員長 中野千曉
書記長    稲葉一良【新任】


プレカリアートユニオン2021年度活動方針
1、団結力の強い組織を作るため、単なる組織拡大ではなく、組織化を実現し、まずは2021年9月の定期大会までに、強く連帯した350人の組合員となることを目指す。
2、相談、交渉、解決、組織化を担える次世代の専従を2021年9月の定期大会までに新たに1人育成する。
3、2021年9月の定期大会で、執行委員会役員の3割を男性以外の性自認の人が参画するよう、組合活動に多様な仲間の参画を進める。
4、街宣車の老朽化を受けて、現在使用中の街宣車の車検有効期間である2021年7月22日までに適切な中古車1台を購入し、改造する。
5、毎月、街宣活動などアクションの情報共有とスケジュールを作成する争議団会議と、組合員どうしが交流してつながりを作るユニオンカフェ&バーを開催し、アクションに常に5人が参加できる態勢を作り、新入組合員へのオリエンテーションを行いながら、組合員、役員の結束を固め、組合活動への参加を促す。
6、非正規労働者の雇用形態による格差是正に取り組み、「パートタイム・有期雇用労働法」を活用して、基本給、手当、一時金、退職金、福利厚生などの格差是正を要求し、それらの職場の取り組みについて、1年間で最低3件の情報発信を行う。
7、日本の労働関連法規を遵守せず、違法な解雇などを行う外資系企業で働く労働者の相談を受けるチームを作り、多言語での情報発信を進める。
8、労働組合の意義、1人から加入できる労働組合、ユニオン、合同労組の存在や解決力について周知し、労働組合に関する誤解を払拭し、相談や加入のハードルを下げるための情報発信として、Youtubeの番組を最低1ヶ月に1回配信する。
9、2023年9月までにオーガナイザー育成担当の専従スタッフを1人配置するための準備をする。
10、2023年9月までにプレカリアートユニオンが運営するケアハウスを開設するための準備をする。

 

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