プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

「よかれ」と思ってしたことが相手の命を奪うこともある。アウティング問題について総合的に解説した1冊。『あいつゲイだって アウティングはなぜ問題なのか?』(松岡宗嗣著/柏書房)

 アウティングとは、本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露することです。今日、世界中でアウティングを受けたことにより自ら命を絶つ事件が後を絶ちません。『あいつゲイだって アウティングはなぜ問題なのか?』は、性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事である松岡宗嗣氏による1冊です。私たちの身の回りでも日常的に起こる危険性のあるアウティングについての知識を自身の体験を交えて解説しています。
■日本で起こったアウティング自死一橋大学アウティング事件」
 アウティングを受けたことにより自死に至る事件は、残念ながら日本でも起こっています。アウティング問題が人の命を奪いかねない深刻な問題であるということを一躍世に知らしめたのが、一橋大学ロースクールで起こったアウティングによる自死事件です。「一橋大学アウティング事件」の経緯・背景と、遺族が起こした裁判についてを詳細に解説し、アウティングを取り巻く様々な課題を浮き彫りにしていきます。事件を紐解いていくことにより、社会全体の性的マイノリティへの理解の低さ、当事者の生きづらさなど私たちの社会が抱える課題がひとつひとつ読者に投げかけられます。
■職場や日常生活に潜む「落とし穴」
 本書では、他にも職場や身の回りのアウティングに関する問題について幅広く紹介しています。とくに「よかれ」と思ってやってしまったことが本人を追い詰めてしまいかねないということはことアウティングの問題に関しては殊の外深刻です。性的マイノリティであることを打ち明けてくれた友人・同僚を守ろうと思い、本人の同意なく周りに伝えてしまったケースや、偏見に晒されないために本人に対してカミングアウトしないように促すケースなど、様々な「落とし穴」が紹介されます。これらの具体的事例に対し、何がいけないのか、どう考えどう行動するべきなのかを分かりやすく解説しています。
 アウティングは、命に関わる重大なハラスメントです。その多くが、知識が不十分であることから行われているということが、本書を読んで改めて分かりました。この本を読んで「ドキッ」とする読者は決して少なくないはずです。差別や偏見をなくすには、まずは知ることから。ぜひ一読をお勧めします。
 稲葉一良(書記長)

www.kashiwashobo.co.jp

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