プレカリアートユニオンブログ

労働組合プレカリアートユニオンのブログ。解決報告や案件の紹介など。

労働運動の昨日、今日を受け継ぎ、明日につなげる社会的労働運動を。『時代へのカウンターと陽気な夢 労働運動の昨日、今日、明日』(小野寺忠昭・小畑精武・平山昇共同編集/ダルマ舎叢書/社会評論社)

『時代へのカウンターと陽気な夢 労働運動の昨日、今日、明日』(小野寺忠昭・小畑精武・平山昇共同編集/ダルマ舎叢書/社会評論社

 

 日本の労働組合企業別組合がスタンダードになっていますが、これは世界的に見てとても珍しいことです。企業内組合の構造的問題としての機能不全、第2総務部化、正社員クラブ化等の弊害は長らく問題視され、その流れの中で私たちユニオンも産声を上げます。『時代へのカウンターと陽気な夢~労働運動の昨日、今日、明日~』(共同編集:小野寺忠昭・小畑精武・平山昇)は総評運動と、解体コミュニティユニオンの誕生、国鉄闘争、そして現在に至るまでの労働運動の軌跡を、当時を闘い抜いた様々な運動家、学者の視点で振り返り、今の労働運動の課題、これからの労働組合が目指すべきものへの提言と、次世代への橋渡しの役割を果たす貴重な1冊です。
パラマウントの倒産争議から学ぶもの
 本書では詳細に生々しく、ユニオン黎明期からの争議を様々に取り上げていますが、その中でも特に印象深かったのはパラマウント製靴共働社の自主生産争議についてです。現在では非常に珍しいものとなってしまいましたが、かつては労使紛争の解決の手法として生産に係る施設設備を譲渡させ、労働者自らが自主的に運営し争議を闘うといったかたちは珍しくありませんでした。パラマウント製靴の労働者は8年にも渡る倒産争議、自主再建闘争を闘った後、自らの工場を「労働者生産協同組合」として再出発させます。職場は誰のものかという闘いにおいて、職場が経営者ではなく労働者のものであることを体現するこの闘いは、労働者の自主自立の元展開されます。労働者にとって協同組合が希望の1つであるということを示す事例だと思います。
■今こそ社会的労働運動の展開を
 本書後半では「労働する市民」としての労働組合の運動である市民運動ユニオニズム、組合自体が生産能力を持ち失業者などの仕事作りをする取り組みを行うことも含めた、労働組合と社会的連帯経済に対する展望が語られます。賃金の問題など狭義の労働問題に取り組むだけでなく、労働組合が職場を通して見える様々な社会問題の解決を訴え、市民の連帯を促すハブになり地域コミュニティを形成していくことがどこまでできるか、また、会社の枠に縛られず産業別にどれだけ力強く運動を展開していくことができるかが、これからの労働運動について特に重要だということを認識しました。
 本書は労働運動、特にユニオン運動について、何を期待されて生まれどのような役割を担い、どのような壁にぶつかり、今何が問われているのかを俯瞰的に把握することができる1冊です。この1冊を単なる「貴重な資料」の様な位置づけにしないためにも、積極的に学び、次世代の運動につなげていけたらと思います。

 稲葉一良(書記長)

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