プレカリアートユニオンブログ

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いなばの生活力向上計画第7回 お金と社会問題をテーマにした原田ひ香氏の小説『財布は踊る』で学ぶ

【※プレカリアートユニオン機関誌2022年11月号に掲載】

 毎回生活力向上に役立つ情報をお伝えしているこのコーナー、今回は少し趣向を変えて作家の原田ひ香氏の小説『財布は踊る』(新潮社)をご紹介します。
 何故小説? と思われた方もいるかと思いますが、この小説、不動産投資に自家菜園、奨学金返済の裏技、貯蓄術にNISA等々のお金の増やし方を紹介する一方、FX投資など様々なお金の落とし穴、貧困、ジェンダー生活保護、詐欺、といった社会問題を題材にしており、読むだけで現代社会における様々な具体的なお金の知識を身につけることができるからです。今回は物語の内容ではなく、お金にまつわるテクニックや知識のいくつかの触りを紹介したいと思います。
■FX投資は絶対にやってはダメ! 投資をするならNISAがオススメ
 FX投資をし、はじめは上手くいき数千万円と資産を増やしたものの、一気に財産を失いそれがきっかけで職を追われ犯罪にまで手を染める若者が出てきます。FX投資のメリットは「信用買い」ができることです。これにより実際の手持ち資産より大きなお金を動かすことで大きな利益を短期間に得ることができることですが、これはそのままデメリットにもなります。FX投資は失敗すると元本を失うどころか多額の負債を一瞬にして背負う可能性もあり非常に危険です。FXはいわば超ハイリスク・ハイリターンのギャンブルに自動借金機能が付いたようなもの。「一発当てよう」、「楽して儲けよう」は身の破綻をもたらします。証券投資をするなら非課税枠もあるNISAをリスクの少ないインデックスなどに投資し運用する法が手堅く資産が増やせます(当然ゆっくりとですが)。
奨学金返済に困ったら放送大学
 本作には奨学金の返済により、困窮してしまったことで危ない目に遭いかけてしまう若者が出てきます。奨学金は今や深刻な社会問題でもありますが、一旦学費の安い通信制の大学、放送大学などに入学し「学生」になることで返済を猶予して貰える仕組みがあります。当然先延ばしにするので返済額が減るわけではないですが、月々の生活が投資用もなくなった場合などにこの手段は有効です。本作では、通信制の在学期間中に家計を見直しコツコツ貯めたお金をNISAで運用しながら何とか奨学金を完済する様子も描かれています。
■高額すぎる賃貸は見直して、中古の安い一軒家を買うのも一手
 家計管理の基本は固定費の見直しですが、固定費の中でも家賃はトップクラス。月々10万円ちょっとの家賃を払っているなら数百万円から千数百万円程度で買える中古の一軒家を購入し手を加えて住むと、10年前後でローンを完済することができ完済後は資産として手元に残せます。実は我が家もそのようにして購入し、先日、無事ローンの返済を終えたところです。作中ではリボ払いの罠にはまって系を切り詰める必要性に駆られ、紹介された中古の安い一軒家を親からの借り入れで購入したことがきっかけで、資産を形成するとことについての知識と経験を身につけた主婦が、中古の物件を何件か扱う大家に成長するまでの過程も描かれています。
 作品に補足すると、中古住宅を安く買うときのポイントはローンを長くしすぎないことです。今の日本の労働者の置かれた状況は極めて不安定といえます。そのような中、今の職業がどんなに安定している様に見えても、20年先も安泰だと胸を張って言える人はごく一握りでしょう。ハードルは上がり、物件の選択肢も限られてきますが、少し無理をしてでも、可能ならば5年程度、長くても10年程度で完済できるローンを組むのがよいと考えます。
 原田ひ香氏の前作『3000円の使い方』は60万部の大ヒット作品。しみじみと考えさせられるお金をテーマにしたとてもためになる小説でした。今回の作品は更に具体的なケースに落とし込んで学ぶことができるのでとてもオススメです。個人的には、自分で野菜を育てると言うことにとても興味を持てたので、皆さんにもぜひぜひ読んでいただきたい1冊です。
 稲葉一良(書記長)

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