【解決報告&組合員の手記】
多摩美術大学で無期転換逃れによる雇止めを撤回させ無期雇用を実現しました
嘱託職員として多摩美術大学に入職したのは2017年12月。以降1年ごとに契約更新を繰り返し5年目に入っていた2022年3月末、次回4月の更新で「同年12月での契約終了」とともに「更新なし」であることが人事課から通告されました。大学は年度のサイクルで動いているにもかかわらず、年度途中である12月、しかも「入職日の前日」で雇用を終了すると通知してきたのです。5年近く働いてきた職場では、担当している業務やプロジェクトが12月以降も続くため、所属長を通じて雇用継続の要望を出しました。しかし、大学からの回答は「無期転換逃れ」としかとれない内容を理由とした雇用継続を拒否するものでした。
■無期転換逃れによる雇止めが横行
労働契約法では、有期労働者が同一企業との雇用期間が通算5年を超えたとき、労働者の申込によって期限の無い「無期契約」に転換できることが定められています。しかし、多摩美術大学では嘱託職員の雇用期間を5年上限とする「不更新条項」が設けられています。仕事がなくなる訳でもなく、これまでと変わりなく働けるにもかかわらず、無期転換権が発生する直前での雇止めが当たり前に行われています。
また、有期雇用の教職員に対してクーリング期間を悪用した再雇用も横行しています。5年超えを前に一度契約を切り、契約期間がリセットされる半年後に再び雇用を結ぶ潜脱的な方法です。このように5年を超えない期間をサイクルとした再雇用も、無期転換逃れ以外のなにものでもありません。5年にわたり築いた経験やスキル、信頼をゼロにすることは、労働者にとっても職場にとっても明らかに不利益であり、こうした雇用慣行が職員の日々のモチベーション低下につながっているとも感じていました。
■団交により雇止めを撤回
12月での契約終了を通告されてから半年後、所属長を通して大学へ再び雇用継続を訴えましたがこれも拒否されたため、すでに加入していたユニオンを通じて団体交渉を行い、雇止めの撤回と雇用継続を求め続けました。団交の場でも大学側は無期転換逃れとしか言いようのない理由をつけて拒んでいましたが、数回にわたる団交と事務折衝を行った結果、12月での雇止めを撤回することができました。
■無期転換により雇用安定を実現
団交と事務折衝により雇用継続を実現した私は、就業期間が5年を超えた当日、大学へ無期転換を申入れました。そして新たな契約が更新された2023年4月より晴れて無期雇用となりました。多摩美術大学では初めての事例ではないかと思われます。
団体交渉では、有期職員の無期転換を認めることや正規雇用への登用を積極的に行うなど、期限付き教職員の雇用を不安定にさせている労働条件やあいまいな人事考課の改善も訴えました。有期雇用だからといって“使い捨て”のような扱いを許すことはできません。誠実に仕事をして大学に貢献している職員をちゃんと評価してほしいのです。
また、学内には不本意な雇止めやクーリング期間を挟んでの再雇用を迫られている教職員の方がいると思います。無期転換逃れは違法行為です。理不尽な雇止めには異議を申し立て、撤回させることができます。どうしていいかわからずに悩んでいる方がいましたら、ぜひ多摩美支部に相談してください。
組合員O
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